2012年12月31日月曜日

2012年ビートルズ十大ニュース

2012年も今日で終わりです。当ブログの独自視点による2012年のビートルズ関連十大ニュースをカウントダウン形式で振り返りたいと思います。過去に各ニュースに関連する記事を投稿しているのでそちらもご覧ください。

第10位 ビートルズデビュー50周年

2012年10月5日はビートルズがシングル「Love Me Do」でデビューしてからちょうど50年にあたります。50周年にかこつけた細かなイベントやリリースはありましたが、それほど大きな盛り上がりは無かったように思います。

第9位 ビートルズ関連オークションの賑わい

今年はオークションでの様々なビートルズ関連出品が話題になっていました。音源関連ではWhat Goes OnとLove You Toのデモや、デッカ・オーディションの自称マスターテープが目玉でした。
その他定番の装飾品やサインは多く出品されています。当ブログでは紹介しませんでしたが、マーク・チャップマンがジョン・レノン暗殺実行当日にジョンからサインをもらったアルバム「ダブル・ファンタジー」も売りに出されていました。

第8位 フジテレビ ロック特番集中的に放送

今年の後半はフジテレビで「Magical Mystery Tour」が放送されたことを皮切りに立て続けにビートルズなどのロックに焦点を当てた番組が複数放送されました。来年もこの勢いが続いてほしいものです。

第7位 アニメ映画「Yellow Submarine」リニューアル版発売

日本でのビートルズ作品初のBlu-ray化となりました。発売記念の試写会イベントも開かれました。

第6位 ビートルズ展開催

日本橋三越で開催されたビートルズ展は想像以上に充実した内容でした。来場者の多さや年齢層の幅広さに普遍的な注目度の高さを感じました。

第5位 ビートルズ解散の原因議論再燃

ポールがインタビュー番組で解散原因はオノ・ヨーコに無いと発言したことが世界中でニュースになっていました。その後ヨーコが感謝の言葉を述べるなど、しばらく友好的なムードが続いていましたが、過去にヨーコがビートルズ解散の原因がポールにあると取れる発言をしたことが先週あたりから取り上げられて再び議論が熱くなっています。このヨーコの発言については後日ご紹介します。

第4位 テレビ映画「Magical Mystery Tour」リニューアル版発売

ビートルズ本人が深く関与した作品として「Yellow Submarine」よりは盛り上がっていたように思います。テレビ放送や映画館での上映もありました。

第3位 2009年リマスター版アナログLP発売

ビートルズのオリジナルアルバム14作品が2009年リマスター版の音源を使用して再発売されました。その品質については賛否両論あるようです。

第2位 「レイン~ビートルズに捧ぐ~」日本公演開催

ビートルズのトリビュートショーが東京・名古屋・大阪で行われました。何よりのべ3万もの人が足を運んだということが驚きです。ビートルズの曲を生演奏するショーに需要があることを思い知らされたイベントでした。

第1位 ポール・マッカートニー ロンドン五輪開会式で「Hey Jude」を演奏

放送上のトラブルがあったことも手伝ってこの件についての当ブログの記事のアクセスは1万を越えました。オリンピックの影響力の甚大さを実感しました。これを機にビートルズの再評価熱が高まることを期待します。

2012年12月30日日曜日

雑誌「beatleg magazine」 2012年2月号 (vol.151)特集は「ビートルズ ライブ! 1962~1966」

洋楽音源研究を中心とした、コレクターズ向けの音楽総合誌beatleg magazineの2012年12月28日発売vol.151の特集は「ビートルズ ライブ! 1962~1966」です。

ビートルズが1962年~1966年に行ったライブのうち、音源や映像の存在が確認されているものを時代順に整理する記事です。それら音源や映像の詳しいレビューに加えて、最も品質が良いリソースの入手元(正規版とは限りません)を紹介しています。近年はインターネット経由で初めて人目に触れることも増えてきているようです。
デビューから50年経つ現代においてもビートルズのライブ活動の全貌はまだ明らかになっておらず、これ以上の発掘は期待できないのかもしれませんが、The Beatles Live! Project(以前の投稿参照)に期待を寄せて記事は終わっています。

ビートルズの1964年のインタビュー記事も含んだ全70ページ以上の読み応えのある特集です。2012年9月に発売された「ザ・ビートルズ 全パフォーマンス徹底解剖」(以前の投稿参照)とあわせて読むことでビートルズのライブ活動について現時点での情報は網羅できると思います。

なお、今号には「レイン~ビートルズに捧ぐ~」東京公演初日のライブレポートも掲載されています。

2012年12月26日水曜日

ビートサウンド ビートルズ [音盤] デビュー50周年記念本祝祭号 発売

AV鑑賞系出版社ステレオサウンドの季刊誌「BeatSound(ビートサウンド)」2012年12月24日発売号は「ビートルズ [音盤] デビュー50周年記念本祝祭号」と銘打ち、2012年11月14日に日本発売されたビートルズのアナログLPについて特集しています。
全アルバム2ページずつ誌面を割いて2009年リマスターのCD/USBを中心とした過去の音源と今回発売されたアナログLPの聴き比べ結果を記しています。アルバムごとにレビュアーが異なりますが、総じて今回のアナログLPは2009年リマスターならではの解像度が高さがありつつも音のきらびやかさが抑えられて中低域がふくよか、という印象のようでした。ネガティブな評価は無かったように思います。
レビュアー各人はしきりにアナログ盤特有の内周歪みの有無を気にしていましたがその点はよく対策されているというのが一致した見解のようでした。
同社の雑誌らしく、様々な機材でアナログLPやUSB版(24bit/44.1kHz)を鑑賞する記事も充実しています。やはりUSB版の音質が衝撃的に良いという評価のようです。

その他にも今年発売されたBlu-ray版「Yellow Submarine」と「Magical Mystery Tour」のレビューや今年オープンして話題のビートルズ資料館「THE FAB FOUR ARCHIVES」の紹介などのニュース性のある記事に加え、ジョージ・マーティンのインタビューなどの過去の記事の再掲載、高音質のアナログ盤として必ず引き合いに出されるモービルフィデリティ盤の時代背景の解説などバラエティに富んだ内容になっています。

「保存版」と謳っている今号ですが、2012年がビートルズ作品にとってどんな年だったかを振り返るために保存しておくのも良いと思います。

 

2012年12月24日月曜日

甲虫楽団機材紹介:キーボード編


今後、甲虫楽団のメンバーの使用機材を折りに触れご紹介していきます。今回注目するのはキーボード担当セイイチです。ライブではMIDI音源Roland SC-8850を持ち込んで会場のキーボードに接続していますが、他にも様々な機材を保有しています。以下、本人のコメント入りでご紹介します。

【Group A】
YAMAHA Acoustic Piano 88key
唯一自分のじゃありません。嫁入り道具です。

【Group B】
Roland RD-700GX (Digital Piano 88key)
メインで使用しているピアノ
Roland Sonic Cell (Synthe Module)
所有する中で最新の音源モジュール

【Group C】
Roland Fantom-X8 (Synthesizer 88key)
メインで使用しているシンセサイザー
Roland SC-55mkⅡ (Synthe Module)
Roland SC-8850 (Synthe Module)
音源モジュールの親亀と小亀です。親亀はいつもバンドに持参し愛用しています。

【Group D】
KORG SG-1 (Digital Piano 76key)
社員時代に社員割引で購入したピアノ
 Roland SK-88pro (Synthesizer 37key)
一番最初に所属したビートルズ・コピバン当時使用していたシンセ

【Group E】
上段から
 Roland SH-2 (Analog Synthesizer 37key)
大学時代、最初に買ったシンセ。この時から音楽人生がスタート!
 Roland PC-70 (MIDI Controller 49key)
脳足りんキーボード。音源を内蔵してません。
 Roland U-20 (Synthesizer 61key)
シンセ鍵盤タイプの中でメインで使用
 Roland A-33 (MIDI Controller 76key)
この子も脳足りん。ピアノ鍵盤ながらライトタイプで、グリッサンドの練習に最適

2012年12月21日金曜日

レビュー:ドキュメンタリーDVD「Beatles Stories」(邦題:「ビートルズと私」)

※本作品は「ビートルズと私」という邦題で2013年に映画館上映されます。詳しくはこちら

以前の投稿で紹介したドキュメンタリーDVD「Beatles Stories」をアマゾンで購入しました。北米版もNTSCフォーマットでリージョンALLなので日本の機器でも再生できます。音声は英語のみで字幕はありません。
DVDジャケット
DVDラベル
本作はシンガーソングライターのセス・スワースキーがカメラ片手にビートルズ関係者を訪問してビートルズとの思い出についてインタビューするという内容です。書籍等で名前を目にしていた人が実際に語る様子を見るのはなかなか刺激的です。2011年に完成した映画ですが既に故人となった方のインタビューも収録されています(ビクター・スピネッティ、ノーマン・スミスなど)。語る人は皆いくら時間があっても足りないといった風情ですが、そこをテンポ良く繋いで85分にまとめています。映像特典は本編から漏れたインタビューが30分超、ビートルズの初代エンジニアであるノーマン・スミスのインタビュー約25分、監督のオーディオコメンタリーです。

ビートルズの曲に関する新事実はあまり無いようでしたが(一度もビートルズの曲は流れません)写真はいくつか珍しいものがありました。何より語っている人全て、それを聞いているセス・スワースキーも皆楽しそうに懐かしそうにしているのが感動的でした。
アメリカ人の視点から制作されており、1964年の初訪米のエピソードを重視しているようでした。本編最後は初訪米時ビートルズを招いて開催されたパーティーに参加した少年(今はおじさん)のインタビューでした。

英語ですら字幕が無いのが残念ですが、その点を克服できるなら見る価値あると思います。

2012年12月18日火曜日

Hofner HCT500/1 キャヴァン・ベース日本限定発売

Hofner(カール・ヘフナー社)ブランドの中国製シリーズ「HCT」に、通称「キャバーンベース」と呼ばれているタイプの500/1ベースが登場しました。型番はHCT-500/1CVで、日本限定発売だそうです。

ポール・マッカートニーがデビュー前から1963年まで使用していた初代500/1ベースは当時根城にしていたライブハウス「CAVERN CLUB」にちなんで「キャヴァーン・タイプ」と、二代目500/1と区別して呼ばれています(カタカナ表記は様々あります)。
今回発売されたのはその初代に近付けた仕様で、リアピックアップがネック寄り(したがってピックガードの形状も異なる)、ピックアップにカバーがあり菱形のロゴがある(通称「ダイヤモンド・トップ」)、ヘッドのロゴが異なる(通称「バーチカル・ロゴ」)が特徴です。他にも初代と二代目には細かな仕様の違いがあるのですが、今回はそこまで追求しておらず、既存のHCT500/1Jから前述の仕様を変更しただけのようです。
HCT500/1Jも日本限定仕様で、世界標準仕様と異なりポール使用器を意識してネックのバインディングがありません(あって良いヘッドのバインディングも無くなってしまっていますが・・・)。こちらは元々ポールの二代目500/1を意識したモデルですが細かいところが多数違うので、それを元にした今回のHCT-500/1CVも特殊な仕様になっています。

現時点ではイケベ楽器で販売されていることを確認済みです。

紹介文には「特製専用ペグ」とありますが、写真を見る限りではポールが使用した通称「ラグビーボール・タイプ」のものとは違うようです。
販売価格は9万円程度で、HCT5001/Jと同じ相場です。これだったらHCT-500/1CVの方がお得感あります。

2012年12月16日日曜日

Get Back ベースTAB譜

「Get Back」風のベース譜面を共有します。

http://www.kouchu.info/Bass05.pdf

単調ですが開放弦の使いどころと時折あるオカズが楽しい曲です。要所のG→Dのコードチェンジにベースが参加するのは間奏の1箇所のみであるところもポイントだと思います。

2012年12月13日木曜日

ラヴィ・シャンカル死去 ビートルズに与えた影響

ミュージシャン、シタール奏者として世界的に有名でジョージ・ハリスンが「ワールドミュージック界のゴッドファーザー」と評したラヴィ・シャンカル(”ラビー・シャンカール”とも表記)が2012年12月11日アメリカで亡くなりました。92歳でした。公式サイトに家族の声明文が掲載されています。http://www.ravishankar.org/
ジョージとラヴィ・シャンカル
ビートルズ公式YouTubeチャンネルには追悼動画が掲載されました。
 

ビートルズ関係者も続々声明を発表しています。
リンゴ・スター「ラヴィの死は音楽的、精神的、物質的に大きな損失だ。」
ジョージ・マーティン(ビートルズのプロデューサー)「インド音楽の複雑なリズムや調性を理解するにあたって彼からとても多くのことを学んだ。友人であることを常に誇りに思っていた。」
その他ジョージ・マーティンの息子ジャイルズ・マーティンやジョン・レノンの息子ショーン・オノ・レノンもコメントを寄せています。
また、ラヴィ・シャンカルの娘であるグラミー賞歌手ノラ・ジョーンズは"My Dad's music touched millions of people. He will be greatly missed by me and music lovers everywhere."と発言しています。

1950年代から世界を股にかけて活躍していたラヴィ・シャンカルですが、なんと言ってもジョージ・ハリスンのシタール(インドの弦楽器)の師匠となったことが大ブレイクのきっかけだと思っています。本人もビートルズのジョージのグルとしてスーパースターのような扱いを受けたと語っていました。ジョージが2001年11月29日に死去した際、ラヴィ・シャンカルが寄稿した以下の文章に記載あります。二人の交友関係がよくわかる文章です。

George Harrison, World-Music Catalyst And Great-Souled Man; A Childlike Simplicity, Full of Love and Fun
http://www.nytimes.com/2001/12/09/arts/george-harrison-world-music-catalyst-great-souled-man-childlike-simplicity-full.html?smid=pl-share

今回改めてラヴィ・シャンカルとジョージの関係を調べてみるとビートルズの音楽に与えた直接的な影響は限定的であることに気付きました。ジョージがシタールに興味を持ったのは映画「ヘルプ!」にシタール演奏者が出演した際だというのが定説です。その後バーズ(The Byrds)のメンバーからラヴィ・シャンカルの音楽を紹介されましたが(詳細はこちら)、本人に会ったのは1966年の春が初めてであり、二人がインドの地で師弟としてひざを突き合わせてシタールを追求したのは1996年の夏から秋にかけての短い期間でした。その時のニュース映像が以下です。
この後ジョージがシタールをビートルズのレコーディングで弾いたのは「Within You Without you」の間奏だけだったようです。同じくインドの弦楽器タンブーラをジョージが弾くことはその後もありましたが、タンブーラは開放弦を鳴らし続けるものらしいのでラヴィ・シャンカルの手ほどきが影響するものでも無いように思います。シタールはじめ、大抵のインド楽器はインド人ミュージシャンを招聘して録音していましたが、ラヴィ・シャンカルが参加することはありませんでした。
ジョージは1968年までにシタールを弾くことを止めてしまったようで、ビートルズ全員でインドに行った後のアルバム「The Beatles」ではインド楽器を使用していません。しかしその後もジョージとラヴィ・シャンカルは親交を深めていきました。サウンドよりも精神面でビートルズに影響を与えた人だったのかもしれません。

ビートルズの曲でシタールが使用されたものを列挙します。
Norwegian Wood (This Bird Has Flown)
Love You To
Within You Without you
The Inner Light
上記以外で聴こえるインド風の音はタンブーラかソードマンデル(琴のような楽器)のようです。


最後に本物のシタールでビートルズの曲をコピーしている人たちの映像を以下に共有します。



日本での報道

世界文化賞受賞のラヴィ・シャンカール氏死去 インド民族楽器「シタール」第一人者

ラビ・シャンカール氏が死去 インドの弦楽器シタール奏者

ビートルズに影響…ラヴィ・シャンカール氏死去

ラビ・シャンカールさん死去 民族楽器シタールの演奏家

シタールのシャンカール氏死去
ラヴィ・シャンカール、死去

世界的なシタール奏者、ラヴィ・シャンカールが92歳で死去

グラミー授賞式を待たず 伝説のシタール奏者ラビ・シャンカールさん逝く
http://eiga.com/news/20121212/13/

歌手ノラ・ジョーンズの父で、ビートルズにも影響を与えた伝説のシタール奏者のラヴィ・シャンカールさんが死去
http://www.cinematoday.jp/page/N0048656

シタール奏者シャンカール氏死去 ジョージ・ハリスンが師事
http://www.47news.jp/CN/201212/CN2012121201001338.html

G・ハリスンも師事したシタール奏者ラヴィ・シャンカール、享年92歳で他界
http://news.mynavi.jp/news/2012/12/13/149/index.html

【ビートルズにも大きな影響】ノラ・ジョーンズの父、シタールの第一人者、ラヴィ・シャンカルが死亡
http://listen.jp/store/musicnews_42325_all.htm

シタール奏者のラヴィ・シャンカールが他界
http://ro69.jp/news/detail/76035

ノラ・ジョーンズの父親、世界的シタール奏者ラヴィ・シャンカールが死去
http://www.mtvjapan.com/news/music/21971

シタール奏者シャンカル氏、グラミー功労賞を受賞へ

インドの伝統楽器シタール奏者のラビ・シャンカル氏死去

N・ジョーンズの父親、シタール奏者R・シャンカールが死去

ラビ・シャンカール氏死去、92歳 シタールの世界的奏者

シタールの世界的奏者、シャンカール氏死去

2012年12月10日月曜日

ポール・マッカートニー オリンピック口パク騒動の真相を語る

2012年夏に開催されたロンドンオリンピックの開会式でポール・マッカートニーが「Hey Jude」を演奏した際、ポールの声が重なって(ダブって)聴こえるトラブルがありました。その原因について「口パク失敗」「音響トラブル」など様々な憶測を呼んでいましたが、今回ポール自身が真相を語りました。

Paul McCartney explains Olympics embarrassment 
http://www.express.co.uk/news/showbiz/363762/Paul-McCartney-explains-Olympics-embarrassment

本番当時の様子は以前の投稿をご参照ください。
演奏直後のポール。失敗を悔いているのか。隣はドラマーのエイブラハム・ラボリエルJr
まず、ポール出演前に音響トラブルが発生していたことにより、このような時のために事前録音しておいた音源を流すことになったようです。でもポールはライブで演奏することを主張しました。折衷案として事前録音音源と生演奏を同期させることにしたのかもしれません。
この日演奏した「The End」と「Hey Jude」の間にステージ後方の大きな鐘が鳴りましたが、この演出をポールは事前に知らされておらず、その爆音に「Hey Jude」の出だしの音を見失ってしまいました。本来スタッフの指示を待ってから演奏を始めるはずでしたが、この出来事に慌てたポールは鐘が鳴り止んだ沈黙に耐えきれず先走って演奏を始めてしまいました。その事態にさらに慌てたスタッフが遅れて事前録音の音源を流し始めてしまったというのが真相のようです。
事の重大さに気付いても時既に遅し、バンドは演奏を継続するしかありませんでした。ドラマー(エイブラハム・ラボリエルJr)はヒステリックになってポールに一瞥もくれなかったそうです。

ポールが実はステージ上で緊張しやすいことは様々なエピソードで伝わってきています。本来ギターのテクニックがビートルズ随一であるにも関わらずジョージ・ハリスンにリード・ギターの座を明け渡していたのは、ポールが緊張のあげくステージでギターを失敗した事件が原因の一つとして語られています。その後、閉鎖的なレコーディングという場で機材の進歩により個別パートのやり直しが利くようになると喜々としてリードギターを弾きだしたのは周知の通りです。
この性分を経験と観客の暖かさによって克服してきたと語っていたポールですが(以前の投稿参照)、さすがにオリンピックの開会式という大舞台での想定外での出来事につい癖が出てしまったというところでしょうか。

2012年12月9日日曜日

書籍「ビートルズの作曲法」発売

当ブログでも紹介してきたセミナー「ビートルズの作曲法」が書籍として2012年11月16日に発売されました。セミナーの報告は以下をご覧ください。

セミナー「ビートルズの作曲法」第1回『ヘイ・ジュード』開催
http://blog.kouchu.info/2012/08/Hey-Jude-Seminar.html

セミナー「ビートルズの作曲法」第2回『ストロベリー・フィールズ・フォーエバー』開催
http://blog.kouchu.info/2012/09/Strawberry-Seminar.html.html

セミナー「ビートルズの作曲法」第3回『イエスタデイ』開催
http://blog.kouchu.info/2012/10/Yesterday-Seminar.html

セミナー「ビートルズの作曲法」第4回『ヘルプ』開催
http://blog.kouchu.info/2012/11/Help-Seminar.html

書籍ではセミナーで取り上げた上記4曲に加え、セミナー未登場のジョージ作「ヒア・カムズ・ザ・サン」も題材にしています。メロディ/コード進行/アレンジ/構成の切り口で分析しており、基本的にはセミナーの内容を踏襲していますが、書籍用に新たに書き起こしているようです。
ビートルズの曲を楽典を駆使して分析する書籍は過去にもいくつかありますが、この書籍は以下のような特色があると思いました。
  • 対象曲の楽譜が載っている:権利の関係かこれまで楽譜が開催されている例はあまり無かった
  • ロックやブルースにも造詣が深い:これまでの書籍はクラシックの楽典のみのアプローチが多かった
  • ギター、ベース、ドラムも対象にしている:これまでの書籍はメロディとコード進行のみが多かった
  • 当時の世相、ビートルズの活動状況、メンバーの身の上を踏まえている:これまではビートルズファンとは思えない著者の書籍が多かった
  • 歌詞の音や内容とメロディやコードの関連性に注目している:これまでほとんど無かった視点
これらの特色により非常に興味深い内容になっています。2100円という少々高価な書籍ですが、一読の価値があると思います。




2012年12月6日木曜日

レビュー:フジテレビ放送「ザ・ビートルズ・イン・ザ・スタジオ」

フジテレビ「メディア工房」枠の「FUJITV THE ROCK MOVIES」という特番で「ザ・ビートルズ・イン・ザ・スタジオ」(The Beatles in the Studio)が2012年12月5日26時15分から放送されました。
※2013年以降フジテレビNEXTで何度か再放送されています。

番組の構成

ビートルズのメンバーとプロデューサー(ジョージ・マーティン)の語りでビートルズのレコーディングについて全時代を網羅したドキュメンタリーです。
今回は本編の前後に10月の「Magical Mystery Tour」放送時(レビューはこちら)と同様LOVE PSYCHEDELICOが語っています。2012年11月に発売されたアナログLP盤や「Love Me Do」のシングルレコード復刻版の現物を手に持って紹介していました。
本編部分はイギリスのBBCが「THE BEATLES ON RECORD」という題名で放送した作品で、NHKが2009年9月に「よみがえるビートルズ 完全版~THE BEATLES Reborn~」として放送した際の本編と同じです。3本の番組を見比べましたが編集はまったく同じでした。日本放送時の字幕はそれぞれ独自に作成しており、NHK版の方が文章量が増えることを厭わず一言一句丁寧に訳していたようですが誤訳もありました。ジョージ・マーティンのみですます調で訳してあるのが面白いです。スタジオ内の何気ない会話についてはフジテレビ版の方が熱心に訳していました。歌詞を訳していたのもフジテレビ版だけです。なお、NHK版は本編の前にビートルズの歴史や2009年のリマスターについて紹介する10分弱の独自映像が追加されています。

内容・感想

スタジオ内での会話音声・写真・映像をふんだんに使用しているところが見所です。それ以外もテレビや映画の演奏シーンなどで臨場感が出ています。写真は前景と背景を切り離して立体的に見えるように動かしたり、映像はズームやコラージュを多用するなどしてダイナミックな作りになっています。「Blackbird」をスタジオで弾き語るポール・マッカートニーの映像が最も驚きました。他にスタジオ内の映像と音が同期しているのは「Hey Bulldog」や映画「Let It Be」からの映像くらいでした。
レコーディングに重点を置いているため、それ以外の話題はビートルマニア旋風、コンサートツアーの停止、インド旅行くらいで、たっぷりレコーディングに浸ることができます。ビートルズの曲作りに興味がある方にとっては欠かせない番組だと思います。
なお、2009年リマスターCDステレオボックスに付属しているDVD「THE MINI DOCUMENTARIES」と素材を一部共有していますが、編集が異なりますし、それぞれ独自の素材も使用しているので両方見ることをお勧めします。

登場曲

「THE BEATLES IN THE STUDIO」と「THE MINI DOCUMENTARIES」収録曲を登場順に列挙します。基本的には後者の方が曲数が多いのですが、後者がアルバムごとのドキュメンタリーということもあり、シングル曲を中心に前者のみに登場する曲もあります。また、一部両者で順番が異なるところもあります。両者とも1時間弱の作品で、前者は全体的な流れを重視し当時のインタビュー映像なども交えていることから、1時間にまとめるために曲を削ったのかもしれません。なお、エンドクレジットにかぶせたスタジオ内の会話は前者にのみ存在します。

青字は登場順が両者で異なる曲
THE BEATLES IN THE STUDIO THE MINI DOCUMENTARIES
I Saw Her Standing There I Saw Her Standing There
Love Me Do Please Please Me
Please Please Me Love Me Do
  Baby It's You
  Boys
Do You Want to Know a Secret Do You Want to Know a Secret
Twist and Shout Twist and Shout
From Me to You  
  It Won't Be Long
All My Loving All My Loving
  Don't Bother Me
  Till There Was You
I Wanna Be Your Man I Wanna Be Your Man
Roll Over Beethoven  
Please Mr. Postman Please Mr. Postman
  Money (That's What I Want)
She Loves You  
I Want to Hold Your Hand  
A Hard Day's Night A Hard Day's Night
And I Love Her And I Love Her
Can't Buy Me Love Can't Buy Me Love
If I Fell If I Fell
I'm Happy Just to Dance with You I'm Happy Just to Dance with You
  You Can't Do That
  I'll Be Back
I Feel Fine  
No Reply No Reply
I'll Follow the Sun I'll Follow the Sun
  Everybody's Trying to Be My Baby
  Honey Don't
  Baby's in Black
  Eight Days a Week
  Kansas City/Hey, Hey, Hey, Hey
Help! Help!
Ticket to Ride Ticket to Ride
  The Night Before
You're Going to Lose That Girl You're Going to Lose That Girl
Yesterday Yesterday
  Act Naturally
I Need You I Need You
Drive My Car Drive My Car
Girl Girl
If I Needed Someone If I Needed Someone
  Michelle
Norwegian Wood (This Bird Has Flown) Norwegian Wood (This Bird Has Flown)
  In My Life
  I'm Looking Through You
And Your Bird Can Sing And Your Bird Can Sing
Good Day Sunshine Good Day Sunshine
Eleanor Rigby Eleanor Rigby
I'm Only Sleeping I'm Only Sleeping
Taxman Taxman
Tomorrow Never Knows Tomorrow Never Knows
  Got to Get You into My Life
Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band
Lucy in the Sky with Diamonds  
With a Little Help from My Friends With a Little Help from My Friends
Within You Without You Within You Without You
  When I'm Sixty-Four
  Lucy in the Sky with Diamonds
  Getting Better
A Day in the Life A Day in the Life
Magical Mystery Tour Magical Mystery Tour
  Flying
I Am the Walrus I Am the Walrus
Strawberry Fields Forever Strawberry Fields Forever
Penny Lane  
Blue Jay Way Blue Jay Way
  The Fool on the Hill
Hello, Goodbye Hello, Goodbye
  Back in the U.S.S.R.
  Yer Blues
Julia Julia
  I Will
  Dear Prudence
While My Guitar Gently Weeps While My Guitar Gently Weeps
Blackbird Blackbird
Helter Skelter Helter Skelter
I'm So Tired I'm So Tired
  Why Don't We Do It in the Road?
  Sexy Sadie
Good Night Good Night
Pepperland※ジョージ・マーティン作 Pepperland※ジョージ・マーティン作
Yellow Submarine Yellow Submarine
All You Need Is Love All You Need Is Love
  All Together Now
Only a Northern Song Only a Northern Song
Hey Bulldog Hey Bulldog
Let It Be Let It Be
I Me Mine I Me Mine
I've Got a Feeling I've Got a Feeling
For You Blue For You Blue
One After 909 One After 909
  Maggie May
Get Back Get Back
The Long and Winding Road The Long and Winding Road
Because Because
Come Together Come Together
Something Something
Octopus's Garden Octopus's Garden
Mean Mr. Mustard Mean Mr. Mustard
Polythene Pam Polythene Pam
Carry That Weight Carry That Weight
The End The End



2012年12月5日水曜日

デッカ・オーディションのテープ EMIの妨害を免れ日本人が450万円超で落札

ビートルズが不合格となったデッカ・レコードのオーディションでの演奏を収録したテープが2012年11月27日に開催されたロンドンのオークションに出品されたことは日本でも話題になっていました。結局日本人が35,000英ポンドで落札したようです。
Rejected Beatles audition tape fetches £35,000 at auction after last-minute legal wrangle

直前になってEMIが販売差し止め請求をしたようですが、結局取り下げて無事販売されたそうです。

日本円にして450万円超で落札されたこのテープ、オークション主催者は「safety master」と主張していますが、正確にはアメリカのBackstage Recordsが1980年代前半に発売したレコードのマスターテープなのではないかと思っています。
Silver Beatles - Like Dreamers Do

デッカ・オーディションの音源は15曲残っているというのが通説ですが、今回のテープには10曲のみが収録されています。このレコードも同じく10曲収録で曲順まで同じです。また、今回出品物に含まれるネガフィルムはこのレコードのレーベルと同じです。写真を加工してロゴのようにデザインしてあるので、オーディション用に作ったとは考えにくい(=後年このレコード用に作られた)と思います。
さらに、今回のテープのパッケージ内面には「BSR-1111」と記載がありますが、これはまさしく上記レコードの型番です。
以上のことから、このテープより前の世代の音源が他に存在する可能性が高いです。となれば今回のテープの希少価値は限定的です。

真相は不明ですが、落札者はこの辺の事情を織り込み済みなのでしょうか…。
落札者は日本人とのことなので日本在住ならそろそろこのテープが日本に到着したころでしょうか。詳しくお話を聞きたいところです。

2012年12月4日火曜日

月刊『Player』2013年1月号は「THE BEATLES1967-1968 ACTIVITY & NAKED GEAR STORY」後編


プレイヤー・コーポレーションが発行する日本のギター雑誌「Player」の2013年1月号(2012年12月2日発売)は前号に続きビートルズの特集記事が掲載されています(前号についてはこちらをご覧ください)。
「THE BEATLES1967-1968 ACTIVITY & NAKED GEAR STORY」と題された本記事では1967年~1968年の間に起きた6つの出来事について関係者の証言を交えて紹介し、その当時の象徴的なギターを写真入りで解説しています。後編となる今回は残った最後の出来事、映画「Yellow Submarine」をアル・ブロダックスの証言を中心に掘り下げています。

前回はジョン・レノンとジョージ・ハリスンのギターを紹介していましたが、今回はポール・マッカートニーのベース(Hofner 500/1とRickenbacker 4001S)、リンゴ・スターのドラム(Ludwig Hollywood)ついて写真入りで紹介しています。この特集のテーマ「サイケデリックからネイキッドへの移行」に沿って、ポールもリンゴも塗装がナチュラルな楽器を使用するようになったと解説していました。

今号は全部で6ページの小さな記事です。どうせなら先月に全部まとめて掲載していたらまとまりが良かったと思います。


2012年12月3日月曜日

アビーロードスタジオ見学イベントチケット一般販売中

ロンドンにあるアビーロード・スタジオでイベント「Inside Abbey Road: the Best Studio in the World」が2013年3月に計12回開催されます。現在インターネットで入場チケットを販売中です。チケット代金は80ポンド(約1万円)です。

Inside Abbey Road: the Best Studio in the World
http://www.abbeyroad.com/News/Article/266/Inside-Abbey-Road-the-Best-Studio-in-the-World
Abbey Road Studios Tickets and Dates
http://www.seetickets.com/tour/abbey-road-studios/

2012年3月にアビーロード・スタジオ設立80周年を記念して一般公開された際にも同種のイベントが開催されました。今回もビートルズが使用した第2スタジオに入ることができます。前回同様、「Recording The Beatles」( http://www.recordingthebeatles.com/ )の著者ブライアン・ケヒューとケビン・ライアンを招いて1時間半のトーク・ショーが行われます。
書籍「RECORDING THE BEATLES」

前回のイベントに参加した方による日本語の素晴らしいレポートは以下をご覧ください。

アビーロードスタジオ
http://1966.seesaa.net/article/262218814.html
※前回と今回でイベント内容が異なる可能性があることにご留意ください

今回は2週にわたり金土日(3/8~10、3/15~17)に開催されます。
各日2回開催され、金曜は午後3時と午後8時、土曜・日曜は午前11時と午後4時です。
イベント開始1時間前から敷地内に入ることができます。

今回はそうでは無いでしょうが、「ビートルズと同じ機材を使ってビートルズの楽曲を演奏して録音したら同じ音になるのか」を試せるイベントがあればいいなと思います。

報道


アビー・ロード・スタジオ、一般公開へ
http://nmn.nifty.com/cs/catalog/nmn_topics/catalog_121114086166_1.htm

アビー・ロード・スタジオの一般公開が2013年3月に再び行われることに
http://amass.jp/13645

2013年9月20日追記
CNETのサイトに現在のアビーロードスタジオ内部の写真が22枚掲載されました。

Take a tour of Abbey Road Studios
http://reviews.cnet.com/8301-33199_7-57603025-221/take-a-tour-of-abbey-road-studios/