「She Loves You」発売50周年記念ベースTAB譜

2013年8月23日はビートルズの4枚目のシングル「She Loves You」発売50周年です。同曲風のベースタブ譜を共有します。
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ビートルズにとっての初のミリオンヒットになりイギリスの当時最高記録の166.7万枚を売り上げました。ビートルズ最初期のイメージを決定づける曲で、ビートルズと言えばこの曲やこの曲を演奏している様子を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。メロディやコード進行は複雑になったものの楽曲を構成する個々の要素は前シングル「From Me To You」からの順当な進化という感じですが、この頃からリンゴ・スターの個性が発揮されてきたように思います。ビートルズ加入から1年が経とうとするこの時期にメンバーの一員として自信を持ってきたというところでしょうか。このレコーディングの直前にドラムセットをPremierからLudwigに変えていることも影響しているのかもしれません。ちなみにジョージ・ハリスンもこのレコーディングからギターはDuo Jetに代わってCountry Gentlemanを使用しています。
この曲を聴くと感じるのはまず音が悪いということです。録音や編集が雑な印象があります。何箇所かでテープをつぎはぎしているのが明らかで、継ぎ目を境に音色やテンポが変わってしまっています。録音時のテープはその後すぐに破棄してしまったようで、この曲にはステレオバージョンが存在しません。録音や編集だけでなく仕事も雑というていたらくで、それほど現場は忙しく混乱していたのかと想像してしまいます。エンジニアのノーマン・スミスによればこの曲で初めてドラムとベースの音を個々に圧縮(コンプレッサーを適用)したそうです。音が悪いと感じる一因かもしれません。
一方、演奏の勢いはすさまじく、演奏を一斉に録音している利点が出ていると思います。ビートルズの音源と一緒に演奏してみるとドラムのフィルインのところでテンポが変わるので合わせるのが難しいことがわかります(前述のテープ編集のせいもありますが)。

ベースライン分析

基本的には前作「From Me To You」に似たフレーズですが、手数が多い分同じ箇所でも微妙にフレーズを変えているところがあります。フレーズ自体はアドリブなのでしょうが、曲が進むにつれて変えようという意図はあったと思います。最初はシンプル→2番で派手に→3番で抑えて→最後は盛り上げるというイメージです。
リンゴのバスドラムに合わせようとしている箇所とお互い勝手にやっている箇所があり、とくにエンディングは勢いに任せて強引にねじ伏せているので楽譜にしてみると違和感が残ります。そもそも全般的にベースの音はバスドラムと同化して聞き取りづらいので冒頭のタブ譜は参考程度に留めておいてください。
「From Me To You」と同様レコーディング後もベースラインは進化を続けており、約7か月後の「Sie Liebt Dich」(ドイツ語版「She Loves You」)のレコーディングでは経過音を多用した手数の多いベースラインに生まれ変わっています。こういった傾向はこの頃まででして、以降はレコーディング時にピークを持ってこれるようにポール・マッカートニーは成長したのだと思います。

以下は1964年9月のライブの模様です。この月以降ライブでは披露しなくなるので最終形のベースラインと言えます。

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