2014年11月27日木曜日

「I Feel Fine」発売50周年記念ベースTAB譜

今日11月27日はビートルズのシングル「I Feel Fine」イギリス発売50周年です。
同曲風のベースタブ譜を共有します。
http://www.kouchu.info/Bass21.pdf
 前作「A Hard Day's Night」で1つのピークを迎えた感があるジョン・レノンが次に選んだ曲はそれまでとガラッと雰囲気が変わった挑戦的な曲でした。

まずイントロのフィードバック(ハウリング)は意図的なもので、ポール・マッカートニーが弾くベースの音にジョンが持つエレクトリックアコースティックギターJ-160Eの弦が共鳴したものです。
ジョンは後年、ロックのレコーディングにフィードバックを取り入れたのはこの曲が最初であったと豪語しています。
そしてジョンが弾く印象的なフレーズが全編にわたって曲をリードしていきます。コードを押さえたまま小指を動かして弾いており、同じ日に録音した「Kansas City」も似たような発想を取り入れていますが、ここまでメロディアスに弾いているのは後にも先にもこの曲だけです。フレーズはBobby Parkerの「Watch Your Step」からヒントを得たそうです。

さらにこの曲の突然変異感を強めているのがドラムのパターンです。あまりにそれまでのリンゴ・スターの演奏スタイルとかけ離れており、難易度も非常に高いです。リンゴはライブではより簡単なフレーズで演奏していることもあり、レコーディングでは別人が演奏しているのではないか?という説が古くからはびこってきました。アメリカのセッション・ドラマー、バーナード・パーディが「ビートルズのレコーディングでドラムを叩いた」と吹聴していたこともますますこの曲の別人説に拍車をかけました。

以下の録音時の音源を聴くと、テイク6まではその後ライブと同等のドラムパターンですが、テイク7で豹変しています。

紆余曲折ありましたが、今日では「リンゴがテープの回転速度を下げて録音した」説が有力です。ジョンが希望したテンポでは速すぎて叩けなかったということです。こういった「ゆっくり演奏して完成版で早回し」は前作「A Hard Day's Night」の間奏で実行済みなので今回そうしたとしても不思議ではありません。前述の音源を聴くとテイク6に比べてテイク7のドラムの音が甲高くなっているようです。早回し説を裏付けるものです。

これだけ様々な工夫がされている同曲ですが、ベースは至ってシンプルです。印象的なフレーズがたまにに登場するぐらいです(下図)。
流出している録音過程の音源を聞くと初期段階はもっと手数が多いのですが、結果的にこれが最も効果的だと判断したのでしょう。ビートルズはとくにシングル曲にこういった判断(贅肉を削ぎ落とす)が多い気がします。
結局1小節に2つの音を弾くだけになりましたが、音の長さはかなりシビアです。下図のように休符を入れるニュアンスだと思います。


基本パターン
このようにして完成した「I Feel Fine」はジョンにとっても手ごたえがあったのか、2年後のビートルズ最後のコンサートツアーでも演奏されました。

2014年11月24日月曜日

ジョン・レノン所有ギター オークション入札不調

2015年3月10日追記:
その後所有者に直接交渉して、NFLインディアナポリス・コルツのオーナーJim Irsayが530,000米ドル(約6,500万円)で購入したそうです。
John Lennon's 'Paperback Writer' Guitar Sells for $530K to Colts Owner


2014年11月23日にTracksAuction.com主催のオークション「Beatles And Rock 'n Roll Memorabilia Auction. November 2014」が開催されました。数多くのビートルズ関連の出品がある中、目玉はジョン・レノンがビートルズのシングル曲「Paperback Writer」の録音に使用したというGretsch 6120ギターでした。開催前は落札価格が1億円を超えるのではないかと話題になりましたが、結局は最低落札価格(40万ポンド=約7300万円)の入札が無く落札されませんでした。

John Lennon guitar misses out on £400,000 reserve at auction (Liverpool Echo)

(開催前の報道)
レノンのギター競売へ=1億円の落札予想も-英(時事通信)
ジョン・レノン愛用ギターが競売へ 落札予想額1億円(スポーツニッポン)
ジョン・レノンのグレッチ6120、100万ドルで販売(BARKS)
ジョン・レノンが「ペーパーバック・ライター」録音時に使用したギターが競売へ(女性自身)
 
John Lennon’s 1963 Gretsch 6120 Guitar

このギターはジョンのいとこのDavid Birchがジョン・レノンからもらったものだそうです。David本人は今回のギターよりさらに有名なブルーのストラトキャスターを所望したそうですが、ジョンは承諾しなかったそうです。そういう意味ではグレッチ 6120はジョンにとって価値の低いギターだったのかもしれません。
Davidがもらいそこねたストラトキャスター
出自が明確で、かつてはリバプールの博物館「The Beatles Story」やクリーブランドの「 Rock And Roll Hall Of Fame」に提示された実績や、ビートルズ研究の大家マーク・ルイソンのお墨付きがあるとなれば本物であるのは間違いないでしょう。とはいえ、このギターのジョンのキャリアへの貢献度と出品者側のつけた価格が折り合わなかったのか、落札されることはありませんでした。

ジョン・レノンの楽器関連ではもう一つ目玉の出品がありました。個人的にはこちらの方がより重要です。1本目のRickenbacker 325のピックガードとベグ(チューナー)です。
John Lennon Original Grover Tuning Pegs And Pick Guard From 1958 Rickenbacker 325 Capri Guitar Serial No. V81
 1972年にこのリッケンバッカーの調整を依頼されたRon DeMarinoがジョンから譲り受けたものとのことです。調整の結果要らなくなったパーツをもらったわけです。以前日本のジョン・レノン・ミュージアムに展示されていた同ギターはビートルズ現役時代と大きく様変わりしていましたが、これを手掛けたのがRon DeMarinoです。このギターは世間のイメージ通り黒色であるべきだとジョンに進言したものの、ジョンたっての希望で色を変えたそうです。
1本目のリッケンバッカーの近影
こちらは無事22,000ポンド(約400万円)で落札されています。おまけも様々ついており、とくに調整作業直前のギターのポラロイド写真はビートルズ時代のルックスのこのギターを収めた最後の写真ということになり貴重です。
1972年6月22日撮影
他の出品物ではポール・マッカートニーがビートルズ時代に使用したピックも目を引きました。
どの部分で弦をはじくのでしょう・・・。
 Paul McCartney 1964 Hull Stage Used Plectrum 

1964年10月16日A.B.C. Theatre(イギリス ハル)公演終了後にステージに上がった人がスタッフからもらったものだそうです。こちらは3,200ポンド(約60万円)で落札されました。

同日の公演を収めた録音テープも今回初めて出品されており、そちらは2,000ポンド(約37万円)で落札されました。

The Beatles 1964 Hull A.B.C. Theatre Concert Recording 

収録曲は下記です。
1. Twist And Shout
2. Money (That’s What I Want)
3. Can’t Buy Me Love
4. Things We Said Today
5. I’m Happy Just To Dance With You
6. I Should Have Known Better
7. If I Fell
8. I Wanna Be Your Man
9. A Hard Day’s Night
10. Long Tall Sally

このときのイギリスツアーの音源はほとんど出回っておらずI'm Happy Just to Dance with YouとI Should Have Known Betterに至ってはライブ音源自体これまで流出していなかったような気がします。

2014年11月19日水曜日

Rickenbacker ビートルズ使用器を意識したギター/ベースを24本ずつ限定発売

2014年11月21日~23日に東京ビッグサイトで開催される「2014楽器フェア」に合わせて、ビートルズ使用器を意識したリッケンバッカーのギターとベースが24本ずつ日本で発売されることが発表されました。
ジョン・レノンが一時期使用したギターと同じ型番を持つ1996とポール・マッカートニーがビートルズ中後期に使用したベースと同じ型番を持つ4001Sです。それぞれオープンプライスですが、税込399,900円が相場のようです。
 Limited Special Model !! - News:リッケンバッカー日本版ウェブサイト:rickenbacker-jp.com




 ジョンが1996を使用している写真がいくつか残されています。2本目のRickenbacker 325(黒いボディに白いピッグガード)修理中の一時的な代替器だったようで、その後リンゴ・スターに譲られたそうです。
追記:当のリンゴがそのギターを2015年12月オークションに出品することが発表されました。




基本的には325と同じなのですが、Rickenbacker製品のイギリスでの代理店Rose Morris(ローズ・モーリス)から発売されていたモデルなので若干の仕様とモデル名が本国とは異なっています。 
Rose Morrisの広告
1996の仕様を語る上で最も注目されるのはfホール(ボディに空いたf型の穴)の角度です。時計の短針の角度になぞらえて「1オクロック」と「2オクロック」に分類されます。ジョン使用器は傾きが大きい2オクロックで、今回発売される1996は角度が浅い1オクロックです。1960年代当時もこの2種類が存在して、より時代が進んだものが1オクロックのようですが、今あえてジョンと異なる仕様で出す意図は何なのでしょうか・・・。2006年頃に発売された1996 AFG(Amber Fireglo)の方がジョン使用器の再現度は高かったようです。
2006年頃に復刻された1996 AFG

4001Sはおなじみのポールが使用したベースですが、今回はビートルズ解散後のイメージが強いメイプルグロー(無着色)での登場です。とはいえ、仕様はビートルズ時代に則っています。
ポール使用器をイメージした製品はかつて4001C64(ビートルズ時代の仕様でファイヤーグロー)や4001C64S(ビートルズ解散後の仕様でメイプルグロー)が発売されていましたが、いずれもヘッドがリバースヘッド(左右反転)でした。
4001C64のリバースヘッド
この点に対する不満に応えて通常ヘッドの1999が2009年に限定発売されたことがありました。この1999というのもRose Morrisの型番です。この2009年版は当時の1999と同様、フィンガーレストがついていることが特徴でした(ポール使用器には無し)。
今回の4001Sも通常のヘッドですが、形がどうも悪いように思います。以下はポール使用器との比較画像です。
左:ポール使用器 右:新発売の4001S
写真ですので見る角度や縮尺が違う可能性がありますが、ネームプレートとヘッドの比率が明らかに両者で異なります。4001ベースのヘッドの形状や大きさは過去から現在に至るまで製品や個体によって大きく異なるので購入する際には注意が必要です。ネームプレートの上に隙間があるかないかがポイントになります。

今回発売される2製品はいずれも現行品が存在せず、とくにポール使用器をイメージしたベースはここ数年新品が製造されていなかったため、注目に値すると思います。

2014年11月20日追記
アメリカの楽器商Guitar Centerが2014年6月に同店限定の触れ込みで同機種と思われる楽器を発売していました。
Rickenbacker 1996 Special in Fireglo (P)
Rickenbacker 4001S Special (P)

2014年11月15日土曜日

漫画「僕はビートルズ」文庫版発売

2010年~2012年 雑誌「モーニング」に連載されていた漫画「僕はビートルズ」。連載当時に単行本全10巻が発売されていますが、2014年9月から文庫版が順次発売され、2014年11月14日に最終巻の第6巻が発売されました。文庫版は単行本版より小ぶりで1巻あたりのページ数が多いので総巻数が少なくなります。
 僕はビートルズ - 講談社コミックプラス ←無料で試し読みできます。
モーニング公式サイト - 『僕はビートルズ』作品情報

単行本の一部の巻に収録されていた「巻末賞味法」は加筆修正され全巻に収録されています。

日本人ビートルズコピーバンドのメンバーが2010年の東京から1961年の東京にタイムスリップするところから話が始まります。 まずはどうやって生きていくか、メンバー全員タイムスリップしているのかがテーマになります。他に資産の無い主人公は自然と専門のビートルズコピーを披露することになるのですが、時はビートルズがイギリスでデビューする前年。オーパーツであるこれら作品群に触れた人々の戸惑いが渦となって日本中を巻き込んでいくのが前半の山場です。
世界進出が視野に入ってくると ビートルズ本人との関わりに興味が湧くところです。その点もしっかり描かれていますが、話はこれからというところで終わってしまいます。50年後の知識を生かして様々な革新を起こす、追いついていない技術をアイデアでやりくりする、歴史上の悲劇を回避するなど、タイムスリップ物としていくらでも話は膨らませそうだったので残念です。
本作品はオリンピック開催を控えた東京の風景や風俗が丁寧に描かれている点も見どころです。一方、楽器の時代考証は甘いようですがそこはファンタジーとして意図的なのかもしれません。

2014年11月7日金曜日

「You Won't See Me」ベースTAB譜

ビートルズのアルバム「Rubber Soul」収録の「You Won't See Me」(ユー・ウォント・シー・ミー)風のベース譜面を共有します。

http://www.kouchu.info/Bass20.pdf
ところどころ聴き取れない箇所があるので70%くらいの再現度です。

時折シンコペーションを交えながら小節を埋め尽くすように動き回るこの種のベースラインはこの時期ポール・マッカートニーの中で流行っていたのか、同じアルバムに収録されている「Nowhere Man」も同じような雰囲気です。同年のシングル曲「Day Tripper」にも片鱗を感じます。 アルバム「Rubber Soul」からポールはリッケンバッカーのベースを弾きだしたというのが定説ですが、これらの曲はヘフナーで弾いたのではないでしょうか。演奏時にネック上の移動が激しいので小ぶりなヘフナーでフレーズを編み出したことが想像されます。

アドリブのようでいて考え尽くされているようでもあるこの曲のベースを覚えて弾くのは大変ですが、いくつかの印象的なフレーズを押さえておけば伝わると思います。例えば以下のような箇所です。重要と思われる順に記します。(数字は楽譜の小節番号)
  • Cメロは1回目と2回目でフレーズもルート音も違う(39~46、65~72)
  • Cメロ直後の1小節は特別(47、73)
  • イントロの下降フレーズは最初の1音が無い(2)
  • 後半に行くほどこの部分の下降フレーズは装飾音が増える(87~90)
  • 1番は気合が入っているのか印象的なフレーズが多く、スタッカートも多用(3~16)
  • ルートがDの箇所は3種類のフレーズを使い分ける(5、9、13)
2014年10月18日の甲虫楽団ワンマンライブでも演奏しました。ベースはフレーズが覚えきれず楽譜通りにはできませんでした・・・。