「I Feel Fine」発売50周年記念ベースTAB譜

今日11月27日はビートルズのシングル「I Feel Fine」イギリス発売50周年です。
同曲風のベースタブ譜を共有します。
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 前作「A Hard Day's Night」で1つのピークを迎えた感があるジョン・レノンが次に選んだ曲はそれまでとガラッと雰囲気が変わった挑戦的な曲でした。

まずイントロのフィードバック(ハウリング)は意図的なもので、ポール・マッカートニーが弾くベースの音にジョンが持つエレクトリックアコースティックギターJ-160Eの弦が共鳴したものです。
ジョンは後年、ロックのレコーディングにフィードバックを取り入れたのはこの曲が最初であったと豪語しています。
そしてジョンが弾く印象的なフレーズが全編にわたって曲をリードしていきます。コードを押さえたまま小指を動かして弾いており、同じ日に録音した「Kansas City」も似たような発想を取り入れていますが、ここまでメロディアスに弾いているのは後にも先にもこの曲だけです。フレーズはBobby Parkerの「Watch Your Step」からヒントを得たそうです。

さらにこの曲の突然変異感を強めているのがドラムのパターンです。あまりにそれまでのリンゴ・スターの演奏スタイルとかけ離れており、難易度も非常に高いです。リンゴはライブではより簡単なフレーズで演奏していることもあり、レコーディングでは別人が演奏しているのではないか?という説が古くからはびこってきました。アメリカのセッション・ドラマー、バーナード・パーディが「ビートルズのレコーディングでドラムを叩いた」と吹聴していたこともますますこの曲の別人説に拍車をかけました。

以下の録音時の音源を聴くと、テイク6まではその後ライブと同等のドラムパターンですが、テイク7で豹変しています。

紆余曲折ありましたが、今日では「リンゴがテープの回転速度を下げて録音した」説が有力です。ジョンが希望したテンポでは速すぎて叩けなかったということです。こういった「ゆっくり演奏して完成版で早回し」は前作「A Hard Day's Night」の間奏で実行済みなので今回そうしたとしても不思議ではありません。前述の音源を聴くとテイク6に比べてテイク7のドラムの音が甲高くなっているようです。早回し説を裏付けるものです。

これだけ様々な工夫がされている同曲ですが、ベースは至ってシンプルです。印象的なフレーズがたまにに登場するぐらいです(下図)。
流出している録音過程の音源を聞くと初期段階はもっと手数が多いのですが、結果的にこれが最も効果的だと判断したのでしょう。ビートルズはとくにシングル曲にこういった判断(贅肉を削ぎ落とす)が多い気がします。
結局1小節に2つの音を弾くだけになりましたが、音の長さはかなりシビアです。下図のように休符を入れるニュアンスだと思います。


基本パターン
このようにして完成した「I Feel Fine」はジョンにとっても手ごたえがあったのか、2年後のビートルズ最後のコンサートツアーでも演奏されました。

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