書籍『真実のビートルズ・サウンド完全版 全213曲の音楽的マジックを解明』2017年4月13日発売

音楽プロデューサーである著者がビートルズの公式楽曲213曲について解説する書籍『真実のビートルズ・サウンド完全版』(リットーミュージック)から発売されました。576ページの大ボリュームです。
真実のビートルズ・サウンド完全版
真実のビートルズ・サウンド[完全版]『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』全曲解説(リットーミュージック)
『真実のビートルズ・サウンド完全版』ベストセラー記念対談 川瀬泰雄 × 野口広之(ギター・マガジン元編集長)(連載.jp)

2008年に新書版が出ており、その際はアルバムごとに数曲取り上げた程度でしたが、今回はそれらアルバムの全曲を対象としており文字通り「完全版」です。
読む前は音楽プロデューサーの経験や知識を生かして楽曲そのものを分解するアカデミックな内容と想像していましたが、実際は楽曲にまつわるエピソードや当時のレコード商品に関する記述も多く、他の研究書籍や現在の公式ラインナップ以外の音源についても確実に押さえており、マニアの思い入れたっぷりの書きっぷりです。前書を出版(2008年)以降の情報にも追い付いており好感持てます。
本書の冒頭はビートルズが使用したギター/ベースのカラーイラストで始まります。一本ずつ丁寧に解説しています。本編はほとんどが文章で構成され、楽譜の掲載はありません。楽器の写真やギターのフレットの図版(奏法を解説)がたまに登場する程度です。曲ごとに使用楽器が書かれていますが、諸説ある部分にもかかわらずさらっと断定しているので蛇足だと思いました。
技術的にはコード進行とギターの奏法についての記述が豊富です。歌については技術面というよりは単純にリスナーとして感じる素晴らしさを情熱的に語っています。
著者は自分の知見を世に共有したいというのが執筆の動機のようで、全体的には定説をベースに時折新説と感想が混ざっている内容です。キャッチコピーの通り「読みながら思わず歌って弾いて確かめたくなる本」なので複数人で輪読したら楽しそうです。

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