2017年6月29日木曜日

書籍「サージェント・ペパー50年」2017年6月26日発売

今年発売50周年を迎えるビートルズのアルバム『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』を多角的に分析する書籍「サージェント・ペパー50年」が河出書房新社から2017年6月26日に発売されました。
サージェント・ペパー50年(河出書房新社)

 6月1日に北米で発売された「Sgt. Pepper at Fifty」の日本語版で、できたてホヤホヤの50周年記念本です。
北米版の第1章扉
 同アルバムを「ムード」「ルック」「サウンド」「レガシー」という4つの切り口で分析しています。とくに「ムード」と「ルック」が本書の特徴で、同アルバムが生まれた時代の政治・経済・文化を事細かに解説しています。とくにアートの世界について詳しいです。紙面がフルカラーでデザインも凝っており、全体的にもかなりアート方面に振った作りになっています。写真・図版225点収録とのことですが、ビートルズ以外の写真が豊富です。ビートルズに関心が無くても1967年の英米の文化に興味がある人には楽しめる内容になっています。
「ルック」では当然アルバムジャケットが出来上がるまでを念入りに説明しています。個人的にはミリタリールックの衣装についてもう少し深く掘り下げてほしかったです。
 「サウンド」ではレコーディング時のエピソードを紹介しています。この部分はすでに他の書籍で語り尽くされているでしょう。
「レガシー」は同アルバム完成後から現代に至るまでのビートルズの活動をまとめ、「サージェント・ペパー」がどう受け止められてきたかを紹介しています。

ビートルズのレコーディングや演奏の分析に関して日本は世界の最先端を行っていると思いますが、当時の英米の雰囲気の理解についてはさすがに本場にはかないません。本書はそんな得意分野を引っ提げて日本にやってきた必然性があると感じました。

2017年6月28日水曜日

衛星中継テレビ番組「Our World」でビートルズが「All You Need Is Love」を披露してから50周年

1967年6月25日に放送された世界初の衛星中継テレビ番組「Our World」の中でビートルズは「All You Need Is Love」の公開レコーディングを行いました。その様子は日本でもNHKで放送されました。世界中での視聴人数は3億人とも4億人とも言われています。
リハーサル風景
この企画のためにビートルズのメンバー内でコンペティションが行われ、ジョン=「All You Need Is Love」、ポール=「All Together Now」、ジョージ=「It's All Too Much」でエントリーしたという説があります。「All」をテーマに曲を持ち寄ろう!ということでしょうか。確かにどの曲もみんなで歌うことを想定しているようです。結局、ジョンの曲が採用されました。
衛星中継の場には有名ミュージシャンも観客として参加しています。
ミック・ジャガーとジョン・レノン
放送は白黒で行われましたが1995年のビートルズアンソロージプロジェクトで着色された映像が公開されました。
20年以上前の仕事ですが、昨年の映画「Eight Days a Week」より上手に着色していると思います。

以下は当時の出演シーンですが途中からこの着色した映像に差し替えています。

以下がビートルズ出演シーン以外の番組の様子です。

50周年を記念してビートルズ公式SNSや各国のテレビ局では特集が組まれました。
The Beatlesさん(@thebeatles)がシェアした投稿 -

甲虫楽団からのお知らせ

我々甲虫楽団は「Magical Mystery Tour」リリース50周年を記念してアルバム全曲通しライブを開催します。All You Need Is Loveも演奏します。

日時:2017年11月18日(土)18:15開場 19:00開演 21:30終演予定

内容:1stステージ『Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band』全曲
   2ndステージ『Magical Mystery Tour』全曲+α
   ※終演後22:30の閉場までご飲食・ご歓談いただけます

場所:江古田「Live House Buddy(バディ)」
    西武池袋線江古田駅南口すぐ
http://www.buddy-tokyo.com/

料金:3000円(1ドリンク込み)
   学生1000円(ドリンク含まず。受付時に学生証を提示してください)
   ※予約不要・全席自由です。来場順にお好きな席にご着席いただけます。
   ※席数に余裕があるためご予約は受け付けておりませんが
    ご来場を予定されている方はお名前と人数を
    メンバーへまたは「応援メッセージ送信フォーム」(→ https://goo.gl/Vgs9oy )よりお知らせいただければ幸いです。
    来場者数見込みを把握したくご協力をお願いいたします。
   ※前売券の販売はありません。

2017年6月25日日曜日

レポート:ニッポン放送 imagine studio 2017 MEET THE BEATLES Pepper’s 50年祭

2017年6月24日、ニッポン放送イマジンスタジオにて『ニッポン放送 imagine studio 2017 MEET THE BEATLES Pepper’s 50年祭』が150名の一般観客を招待して開催されました。実際はもっといたように見えました。梅雨時だったので多めに招待したら快晴でみんな来てしまった、というところでしょうか。椅子を増設する余裕を確保するために観客全員前に詰めてほしいとのアナウンスされるぐらいでした。
左から上柳昌彦さん、宇崎竜童さん、萩原健太さん
ビートルズの名曲を宇崎竜童・萩原健太と150名リスナーが爆音で堪能(ニッポン放送)
御礼!ニッポン放送imagine studio 2017 MEET THE BEATLES Pepper’s 50年祭【雑学と音楽 ザツオン Vol.23】
宇崎竜童、ビートルズ名盤に感激「新しい曲が作りたくなる」(サンケイスポーツ)

登壇者は上柳昌彦さん(ニッポン放送アナウンサー)、宇崎竜童さん(ミュージシャン)、萩原健太さん(音楽評論家)のお三方でした。同メンバー同所で2016年にライブアルバム『ライヴ・アット・ザ・ハリウッド・ボウル』、映画『ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK ‐ The Touring Years』リリース記念イベントが開催されています。当時のレポートは→こちら

『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』50周年記念エディションで最高音質を誇るBlu-ray版(96KHz/24bit)の音源を大音量で聴くというイベントでした。
当日流れたのは以下の曲です。
  • Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band
  • With A Little Help From My Friends
  • Lucy In The Sky With Diamonds(スピーチ、フォールス・スタート・アンド・テイク5)
    ※この音源のみBlu-rayでは無いはず
  • She's Leaving Home
  • Within You Without You
  • When I'm Sixty-four
  • Being For The Benefit Of Mr. Kite! ※観客からのリクエスト
  • Getting Better ※観客からのリクエスト
  • Sgt Pepper's Lonely Hearts Club Band (Reprise)
  • A Day In The Life
Blu-ray版のせいなのか会場の音響設備のせいなのかわかりませんが、高音から低音までまんべんなく聴こえ、左右のチャンネルがあまり分離されておらず、圧縮がかかったような音になっていたおかげで50周年記念盤特有の演出過多にも思える楽器の音量のばらつきも気にならなかったので、モノラル版を聴いているかのような迫力に圧倒されました。
Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band~With A Little Help From My Friendsのメドレーは初めてこの曲を聴いた時の感動が蘇ってきて感極まりました。

 前回(2016年同所のイベント)同様、宇崎さんのコメントには感銘を受けました。前回は気合を入れる目的でスーツで登場していましたが今回はラフな格好でした。音源が流れ出すと椅子を180度回転させて観客と同じ方向を向き(ステレオの音像を味わうため)、体を揺らしながら聞き入っていました。宇崎さんはビートルズ現役時代にアルバムが出るごとに購入していたそうで楽曲にも詳しかったですが、アルバムから読み取れる以上の事は追究しなかったようで、萩原さんの解説に逐一興味深く聞き入っていました。

宇崎さんのコメントで印象的なものをまとめます。かなり意訳です。
  • 発売当時アルバムを聴いたときはびっくりした。こういうのでいいんだ。最新作からは1作目が想像できないようなバンドを作りたいと思わせてくれたアルバム 。ビートルズがそうだった。ビートルズの生き方を知識でなく感覚でとらえるようにしようと当時の自分のバンドメンバーと話していた。
  • (音源を聴いて)すぐそこで演奏しているように感じた。当時音楽はモノラルで聴くものでステレオはまがいものの位置づけだった。
  • (Lucy~を聴いて)ジョンはこんな歌い方もできるんだ。役者が歌っているみたい。
  • (She's Leaving Homeを聴いて)当時モノラル盤で回転数を上げていた理由がわかった。こうするとハーモニーが立ってくる。
  • ダウン・タウン・ブギウギ・バンドでグループサウンズのカバーアルバム『G.S.』を作ったとき、ジャケットは出典元バンドの写真をSgt. Pepper's~のように並べようと試みたが許可が下りずに断念した。ビートルズとは違う。ビートルズはジャケットがカラフル。音も言葉もカラフル。
  • この素晴らしさはドラッグが生んだ。当時の自分の仲間もそういう感想だった。
  • (Within You~を聴いて)ジョージ・ハリスンはラヴィ・シャンカルに癒されていたのではないか。ラヴィ・シャンカルの家に行ったら居間にジョージとの写真が飾ってあった。そこでラヴィ・シャンカルの演奏を聴いた。ナチュラルに飛んだ。ドラッグなんていらない。
  •  (When I'm Sixty-fourを聴いて)ステレオにする必要が無い。大音量で聴く必要も無い。そういった曲。モノラルで始まってBメロからステレオにすればよかったかもしれない。クラリネットの音が良い。
  • (~Mr. Kite!等を聴いて)当時は譜面が無かっただろうから、変拍子をこなせるのは頭の中で曲の展開が明確にイメージできていたからだろう。
  • (A Day In The Lifeを聴いて)こんなにビートが強いのに心が癒された。明日から新しい曲を作ろうという気にさせる。
  • ボブ・ディランは言葉で語り、ビートルズはサウンドで語った。
これからも50周年記念エディションが発売され続け、このイベントがシリーズ化することを願います。

この日は甲虫楽団のドラム、まみこ☆も参加していました。まみこ☆のブログに写真入りで報告されているのでそちらも合わせてご覧ください↓
☆好奇心のかたまり☆

甲虫楽団からのお知らせ

我々甲虫楽団は「Magical Mystery Tour」リリース50周年を記念してアルバム全曲通しライブを開催します。ついでに3回目の「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」アルバム全曲通し演奏も行います。

日時:2017年11月18日(土)18:15開場 19:00開演 21:30終演予定

内容:1stステージ『Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band』全曲
   2ndステージ『Magical Mystery Tour』全曲+α
   ※終演後22:30の閉場までご飲食・ご歓談いただけます

場所:江古田「Live House Buddy(バディ)」
    西武池袋線江古田駅南口すぐ
http://www.buddy-tokyo.com/

料金:3000円(1ドリンク込み)
   学生1000円(ドリンク含まず。受付時に学生証を提示してください)
   ※予約不要・全席自由です。来場順にお好きな席にご着席いただけます。
   ※席数に余裕があるためご予約は受け付けておりませんが
    ご来場を予定されている方はお名前と人数を
    メンバーへまたは「応援メッセージ送信フォーム」(→ https://goo.gl/Vgs9oy )よりお知らせいただければ幸いです。
    来場者数見込みを把握したくご協力をお願いいたします。
   ※前売券の販売はありません。

2017年6月20日火曜日

レポート:ビートルズ『サージェント・ペパーズ』発売50周年記念トーク・イベント 「公開定例会:スタジオ・レコーディングの世界」

藤本国彦さんプロデュースによる『サージェント・ペパーズ』発売50周年記念トーク・イベント、全6回中の第4回、2017年6月16日開催「スタジオ・レコーディングの世界」に参加してきました。ゲストは川原伸司さん、杉真理さん、松尾清憲さんでした。会場は渋谷のアップリンクです。第2回「音の世界」(ゲスト:オカモトコウキ)のレポートは→こちら
ビートルズ『サージェント・ペパーズ』発売50周年記念トーク・イベント《シリーズ全6回》

川原さんは音楽プロデューサー・作曲家として1970年代からご活躍で近年はビートルズ関連の書籍にも多く参画しています。杉さんと松尾さんがBOXとして2013年The Fab Four日本公演に出演した際、甲虫楽団も前座で出演したので楽屋でお会いしたことがあります(当時のレポートは→こちら)。

この4人でビートルズをネタに「定例会」と称した飲み会を定期的に開催しており、今回は3回目の「公開定例会」とのことです。本来の定例会よりはセーブしていたようですが、お酒を飲みながらトークを展開していました。観客もワンドリンク付きなのでみんなで飲み会のような雰囲気でした。
全体として司会の藤本さんの進行のもと、川原さんが気の向くまま脱線し、杉さんが会の主旨に沿うよう的確に軌道修正を行い、松尾さんが場を和ませるという構図でした。ビートルズさながらのよいバランスだと思いました。川原さんのご経験に裏打ちされたお話の内容に非常に感銘を受けたので、今回は川原さんのご発言をまとめます。意訳しています。

Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Bandならびに今回の50周年リミックス
  • お客さんと一緒になって楽しむことを拒否したようなアルバム。レコード会社もマネジメントもこんな大胆なことをよく許した。
  • ポール・マッカートニーはビーチ・ボーイズの「ペット・サウンズ」に感動した。ポールはマーケティングが優秀だから「売れそうなペット・サウンズを作ればよい」と考えたのではないか。それが「Revolver」や「Sgt.Pepper's~」になった。
  • 普段二代目のことは評価しないがジャイルズ・マーティンは腕前がちゃんとある。ポールの「NEW」も良かった。今回はデジタル技術を使ってアナログモノ盤にあったラウド感も上手に出している。ただし、ヘッドフォン向けのミックスだと感じた。エッジが効いてハイもローも出ているがのっぺりしている印象。
  • 今回ベースやドラムのリズムのばらつきを調整しているのではないか?現代の人はクリックに乗った音楽を好むのでその志向に合わせてきたと思う。グルーブが今風になっている。ベースはこんなにタイトでは無かったはず。
  • Penny LaneとStrawberry Fields Foreverをアルバムに入れて2曲抜くとしたら、Getting Better:ロックバンドっぽくて良いがサイケデリックのアルバムに合わない、Good Morning, Good Morning:名作として残るものでは無い
  • インナーグルーブの元ネタはシュトックハウゼンの「少年の歌」
アルバムジャケットにも登場しているシュトックハウゼン

Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Bandが発売されるまで
  • わからない音楽は全部「うるさい」と感じるものだ。それがクラシック音楽だったとしても。自分にとってビートルズも最初はそうだった。
  • 「中二時代」「中二コース」などの雑誌にビートルズの写真が載っていたがジョン・レノン以外の顔は見分けがつかなかった
  • 学校の試験で一等賞を取ったら好きなアルバムを買ってくれるという約束でアルバムMEET THE BEATLESを親にねだったが反対された(代わりに別のアルバムを買ってもらった)
  • 元々映画が好きだったので映画「A Hard Day's Night」が印象に残っている。映画冒頭に出てくる駅に実際に行くと全体の雰囲気は昔から変わっておらず今だに胸がいっぱいになる。
  • 日本公演の熱狂の反動で日本でのアイドルとしてのビートルズは終わった。入れ替わりでモンキーズが流行った。
  • スパイダースの面々に「Revolver」を聴かせて1曲ずつ意見を聞いたらかまやつひろしはTomorrow Never Knowsについて「ちょっと遊び過ぎだな」とネガティブな意見だった。
  • 日本のレコード会社は親会社が電機会社なのでステレオ機器の普及のために日本のレコード業界は早くからステレオ重視で世界的に見れば異質。ビートルズ側はステレオ盤なんて眼中になかったのに、日本人は無理にステレオ盤のビートルズを聞かされていた。

ビートルズを分析
  • ビートルズのアルバムの曲の並び順が上手だなと思って調べたら前曲とのキーの変化を意識しているようだった。同じキーの曲が続くとダレる。曲の前後でキーの変化を意識するのはクラシック界では定番の手法らしい。ジョージ・マーティンのおかげか?
  • ポールは「サイケデリック」がなんたるかわかっていない。形から入ろうとする。「アバンギャルドみたいなことをやろう」なんて言ったりする。やったことが結果としてアバンギャルドになるだけだ。
  • I Saw Her Standing Thereの元ネタは「The Saints」。同じ作曲する者としてその流れがわかる。

その他ビートルズ以外の話題としては以下のようなものがありました。
ザ・ビーチ・ボーイズ
ペット・サウンズ
イエロー・サブマリン音頭
大瀧詠一
ピンク・レディ
ペッパー警部=サージェント・ペッパー

会の最後は「Penny LaneとStrawberry Fields Foreverを『Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band』に入れるならどの曲を抜くか」「『The Beatles』(ホワイトアルバム)を1枚にまとめるとしたらどうなるか」を登壇者で議論しました。客席にも同作の収録曲一覧が配布されました。

面白い企画だったので僕も便乗して選んでみます。↓

『Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band』改
  1. Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band
  2. With A Little Help From My Friends
  3. Lucy In The Sky With Diamonds
  4. Penny Lane
  5. Being For The Benefit Of Mr. Kite!
  6. Within You Without You
  7. Strawberry Fields Forever
  8. Fixing A Hole
  9. She's Leaving Home
  10. Lovely Rita
  11. Good Morning Good Morning
  12. Sgt Pepper's Lonely Hearts Club Band (Reprise)
  13. A Day In The Life

 『The Beatles』改
  1. Back In The U.S.S.R.
  2. Dear Prudence
  3. Glass Onion
  4. Ob-La-Di, Ob-La-Da
  5. While My Guitar Gently Weeps
  6. Happiness Is A Warm Gun
  7. Martha My Dear
  8. Sexy Sadie
  9. Blackbird
  10. Everybody's Got Something To Hide Except Me And My Monkey
  11. Savoy Truffle
  12. Julia
  13. Helter Skelter
  14. Good Night

 1966年にツアー活動を止め、様々な特徴を持った新しいグループが次々と売れていくなか、自分の立ち位置に悩んだビートルズが放った起死回生の一発が『Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band』であった、それは幸運にも時代にうまくはまって成功を収めた、というのが会を通じての共通見解だと感じました。


2017年6月14日水曜日

ドキュメンタリー番組「Sgt. Pepper's Musical Revolution」英米放送

追記:2017年11月3日21時~NHK BS1 にてNHKドキュメンタリー 『サージェント・ペパー~ビートルズの音楽革命~』として放送された日本版については→こちら

ビートルズのアルバム『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』発売50周年を記念したドキュメンタリー番組「Sgt. Pepper's Musical Revolution」が2017年6月3日から英米のテレビ局で順次放送されました。約1時間の番組です。
BBC to celebrate the 50th anniversary of Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band by the Beatles (BCC)
ザ・ビートルズのドキュメンタリー「Sgt Pepper’s Musical Revolution」が全米でもこの夏に公開(uDiscoverMusic)

 ナビゲーターはハワード・グッドール。昨年公開の映画「ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK ‐ The Touring Years」にも音楽の専門家として登場していました。(同映画の出演者まとめは→こちら
ハワード・グッドール
監督はこれまでに「Magical Mystery Tour Revisited」(本作については→こちら)、「Produced by George Martin」(本作については→こちら)など多くのビートルズ関連ドキュメンタリー番組を手掛けたフランシス・ハンリーです。

今作についての監督のインタビュー↓
Q&A: PBS doc explores the making of “Sgt. Pepper” (Realscreen)

この二人のタッグは知識、技術、経験、情熱いずれも充分。さらにはアップル・コア全面協力でしっかり作りこまれた良質のドキュメンタリーになっています。日本でいうとNHKスペシャルのような上質感があり、『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』に対する事前知識の多寡によらず楽しめます。マニア目線ではビートルズ以外にブライアン・エプスタイン、ジョージ・マーティン、ジェフ・エメリック、ケン・タウンゼントなどの関係者の名前がサラッと出てくるのが好印象です。

監督もインタビューで語っていましたが、とかく文化遺産的に語られることが多い『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』をあくまで音楽そのものに注目して掘り下げています。
そのために制作過程のレアな音源もふんだんに引用しており、各パートを抜き出した音源まで登場します。録音テープに残ったビートルズのスタジオでの会話が多く使われているのが印象的です。この辺は50周年記念エディションの編集方針に合わせているのかもしれません。

番組は1966年12月、ツアーを止めたビートルズに対するインタビュー映像から始まります。この決断が『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』につながったことを丁寧に描いています。

↓実際に放送されたのはもっと質が良い映像です。
次に先行シングル「Strawberry Fields Forever」「Penny Lane」のレコーディングについての解説です。この2曲によってアルバムの方向性が定まったとう主張です。この2曲はともに幼少期をコンセプトにしていますが、『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』の多くの曲で声の回転速度を上げて若々しくしているのはそのコンセプトが影響している(表向きは架空の楽団がコンセプトだが)という主張は目新しいと思いました。ここまでにじっくりと20分近く使っています。

全編に渡ってハワード・グッドールは自ら演奏し歌いながら嬉々として本作の素晴らしさを語っています。歌がうまい・・・。
Strawberry Fieldの本物の鉄柵を持ち込んだとのこと
メロトロン
ハーモニウム
Lucy in the Sky with Diamondのコード進行の斬新さを弾き語りで解説
インド音楽の専門家を呼んでジョージ・ハリスンの東西折衷感覚を解説
以下は番組では未公開のシーンです↓



音源だけでなくビートルズの映像や写真も多く使われています。珍しいものが含まれているかもしれません。前述のインタビューの映像や、ジョージ・ハリスンがラヴィ・シャンカルの個人レッスンを受ける映像が目を引きました。

↓実際に放送されたのはもっと質が良い映像です。

とくに驚いたのは1995年に公開された「Free as a bird」のプロモーションビデオの素材と思われる高精細の映像が使われていることです。
Lovely Rita
A Day in the Life
Strawberry Fields Forever
番組内で紹介されているエピソードはこれまでも多く語られてきたものですが、「『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』が多層的で複合的である」という主題に沿って音楽的に解説されており、非常に見ごたえがありました。日本でも放送されることを期待します。

追記:2017年11月3日21時~NHK BS1『ペパー軍曹の音楽革命~ビートルズ不朽の名盤は こうして生まれた~』(仮)という邦題で 放送されることが決定しました。

甲虫楽団からのお知らせ

我々甲虫楽団は「Magical Mystery Tour」リリース50周年を記念してアルバム全曲通しライブを開催します。ついでに3回目の「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」アルバム全曲通し演奏も行います。

日時:2017年11月18日(土)18:15開場 19:00開演 21:30終演予定

内容:1stステージ『Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band』全曲
   2ndステージ『Magical Mystery Tour』全曲+α
   ※終演後22:30の閉場までご飲食・ご歓談いただけます

場所:江古田「Live House Buddy(バディ)」
    西武池袋線江古田駅南口すぐ
http://www.buddy-tokyo.com/

料金:3000円(1ドリンク込み)
   学生1000円(ドリンク含まず。受付時に学生証を提示してください)
   ※予約不要・全席自由です。来場順にお好きな席にご着席いただけます。
   ※席数に余裕があるためご予約は受け付けておりませんが
    ご来場を予定されている方はお名前と人数を
    メンバーへまたは「応援メッセージ送信フォーム」(→ https://goo.gl/Vgs9oy )よりお知らせいただければ幸いです。
    来場者数見込みを把握したくご協力をお願いいたします。
   ※前売券の販売はありません。

2017年6月9日金曜日

ジャイルズ・マーティン 米人気テレビ番組に出演「Sgt.Pepper's~リミックス作業の最初に聴こえて来たのは父の声だった」

2017年5月26日に全世界同時発売された『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band 』50周年記念エディションは全英1位、全米3位、日本5位(洋楽部門では1位)と好調な売れ行きを見せています。そんななか、今作のリミックスを手掛けたジャイルズ・マーティンがアメリカの人気番組" The Tonight Show Starring Jimmy Fallon"2017年6月5日放送分に出演しました。
同番組の司会者ジミー・ファロンはポール・マッカートニーやリンゴ・スターとも何度も共演経験のある人気司会者です。

この中でジャイルズ・マーティンが語ったことは以下のようなことでした。
  • 父(ジョージ・マーティン)の葬式(2016年3月)後すぐにビートルズ側から『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band 』のリミックスのオファーがあった。作業を開始して最初にテープから聴こえてきたのは父の声だった。
  • 自分が音楽業界に入ったのは聴力が低下し始めていた父の耳となるため。 父は自身の聴力の低下を公にしたくなかった(だから息子である自分に白羽の矢が立った)。父は本来息子が音楽業界に入ることを望んでいなかった。
  • 今回はポール、リンゴ、オノ・ヨーコ、オリヴィア・ハリスンのために作業した。
ジミー・ファロンは今作への賛辞を述べてインタビューを締めくくっています。実際アメリカでも今作は好評なので出演に至ったのでしょう。

直近のジャイルズ・マーティンのインタビューでは下記が詳しいです。今回の番組で明かしたようなことに加え、『The Beatles Anthology 2』や『Love』の制作現場、ビートルズの曲をリミックスする上での心構え、ポール・マッカートニーとの仕事についても語っています。


2017年6月3日土曜日

『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』発売50周年記念日当日 世界各地の様子

2017年6月1日にビートルズのアルバム『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』は発売50周年を迎えました。世界中で祝賀ムードが高まりました。
ファンによるいたずら?アビーロードスタジオ前の横断歩道
各地の様子がわかる映像をまとめます。ここまで世界の人々に同作品が特別視されていることに驚きました。


イギリス リバプール






リバプールでは街を挙げて50周年記念行事を複数実施しています。

イギリス ロンドン アビーロードスタジオ近辺



アメリカ ロサンゼルス


キャピトル・レコード本社ビルにはシルク・ドゥ・ソレイユ『Love』のSgt.Pepper役が現れて記念旗掲揚


カナダのテレビ


ポールが左の二の腕につけているOPPのワッペンの由来、そして「Sgt. Pepper」実在説

ロックの殿堂

綺麗にまとまっています。

アメリカ デジタル配信ニュース

解説者が詳しいのでよくまとまっています。

アメリカ セントルイスのラジオ


アメリカ シアトル


アメリカ ダラス


アイルランド ダブリン


スウェーデンのテレビ


フランスの展覧会


オランダ ハールレム


ポーランド ルブリン



セルビアのテレビ


キューバ ハバナ



メキシコのテレビ


チリのテレビ


アルゼンチンのテレビ


2017年6月1日木曜日

『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』発売50周年ベースTAB譜

2017年6月1日はビートルズの8枚目のアルバム「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」が発売されてから50周年です。表題曲風のベースタブ譜を共有します。
http://www.kouchu.info/Bass01.pdf
本作でポール・マッカートニーのベースは一つの頂点を迎えました。Rickenbacker 4001Sベースを使いこなし、連日スタジオに居残って考え抜いたベースを最後の最後に録音していたようです。せーので一斉に演奏するはずのロックバンドのスタイルからはかけ離れたアプローチですので他のメンバーはやりにくかったかもしれません。

この曲も単調なベースのようでいて、よく聴くと細かな音をひっかけてノリを出していることがわかります。この辺は2017年発売の50周年記念エディションで聴こえやすくなりました。
例えばイントロ。下記楽譜の前者は市販のバンドスコアでよく目にしますが、実際は後者のように弾いています。
市販のバンドスコア(クリックで拡大します)

実際のポールの演奏(クリックで拡大します)