2019年10月23日水曜日

レポート:映画『イエスタデイ』公開初日(とくに日本語字幕)

一部で「異世界転生もの」「なろう系」「『僕はビートルズ』のパクリ」という声もある映画『イエスタデイ』を日本公開初日の2019年10月11日に観に行きました。
台風の影響で雨にけぶる看板

都内で19時台の回に行ったのですが、翌日に台風19号の上陸を控えていたせいか3割ぐらいの客の入りでした。僕は事前に海外版Blu-ray/DVDを観ていたので映画館ならではの迫力と日本語字幕に注目して鑑賞しました。内容のレビュー(ネタバレなし/中ネタバレあり/大ネタバレあり)は別の投稿をご覧ください→ こちら この投稿のネタバレ度は「小」です。

まず、やはり演奏シーンの迫力はすばらしかったです。音響にこだわった施設での上映もあるようですので要注目です(例:シネマシティ極上音響上映爆音映画祭 in ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場』)。
ビートルズの曲はタイトルも歌詞も英語、本作の言語も英語ということでビートルズ要素を自然に盛り込むことができますが、その点をどのように日本語訳するか興味津々でした。なお、映画の字幕は日本版トレイラーとは別に制作されたようで一部異なるところがありました。
直接的に曲のタイトルとして登場する場合は原題のままカタカナで表現していましたが、セリフに登場するビートルズの曲名や歌詞は日本語訳されていたので、それが引用されたものだとはわからない人もいると思いました。引用部分に「」(カッコ)でもつければ知らない人もなんとなくビートルズから引用したんだろうな、というのは伝わったと思うのですがそれもしていません。あまりにも伝わらないことを恐れたのか、元のセリフには無い「(これはビートルズの)曲のタイトルじゃないか」などという言葉を意訳している部分もありました。この辺をくどくど説明しないというポリシーは貫かれていて、結果として実際は口に出している固有名詞がまったく日本語字幕には登場しないというところが多々ありました。固有名詞を出してもわからない人にはわからないままなので、鑑賞の敷居を下げるためにそうしたのかもしれません。この投稿の冒頭に書いた指摘のような、SFファンタジー要素やビートルズ要素をあげつらうのは的外れであくまで気軽に楽しめるラブコメディですよ、という配給側の主張があるような気がします。
演奏シーンの歌詞も日本語に訳されています。細かく検証していませんが、おそらくビートルズの訳詞として公式に発表されているものとは無関係に訳しなおしていると思います。つまりは映画で登場した際のシチュエーションに沿って訳していると考えられ、歌詞の内容が芯に迫り改めて感動した人も多いようです。
 英語版を観ていてよくわからなかった概念が「column」でした。ヒロインのエリーならびに脚本家がこだわっているようで度々登場していました。これを日本語字幕では「枠」と訳していました。「21世紀枠」「芸人枠」などのの「枠」(役割、立ち位置)と同じですね。エリーは主人公のジャックが紡ぎ出すラブソングが自分について歌っていない(自分がその枠にいない)ことを敏感に察知してだんだん二人の距離が離れていくことになります。それもそのはず、他人(レノン=マッカートニー)の曲なんですから。そのたびごとにジャックはエリーに真相を話そうとするのですが、邪魔が入ってなかなか伝えられません。そのやり取りが英語版を観た時は1回しかわからなかったのですが、日本語字幕で実際はもっとあったことに気づきました。なお、脚本では「column」の他に「complicated」(込み入った)という言葉も印象的に登場しており、この言葉にもこだわったのかなと想像しています。
ジャックの相棒ロッキーはキャラ的にスラングが多いので英語版を観てもよくわかりませんでしたが、まあ、想像通りの下品で空気を読まない内容でした(そういうキャラ)。
マネージャーのデボラは何となく辛辣なことを言っているんだろうなと思いましたが、日本語字幕でここまでこき下ろしていたのかとびっくりしました。それでもジャックの才能に敬意を持って売り出そうとしてくれていたので、根は真面目な人なのだと思いました。例えば、ジャックを作曲家の枠に押し込めて他のアーティストに歌わせることもできたはずです。
 登場人物がみんないい人なので、全体的にあまり難しくならないよう、ラブストーリーに重点を置いて訳していると感じました。その分説明不足になっているところもあり、とくに終盤は事前の宣伝文句と矛盾する部分があって困惑している人も多いようです(※ネット調べ)。そこは意訳で補足するべきと思いました。

甲虫楽団からライブのお知らせ

『イエスタデイ』でビートルズの楽曲に興味を持った方、ライブで体感するのはいかがですか?
祝ビートルズのアルバム『Abbey Road』リリース50周年!

我々「甲虫楽団」は、10月5日に同作全曲通しライブを行いました。
お客様約90名!満員御礼でメンバー一同感謝しております!!

まだまだ至らない点が多々ありましたが、一度では終われない!終わりたくない!
2019年最後は、久しぶりの横浜、ゆず所縁の伊勢佐木町にて、
アビーロードアンコールライブをもって締めたいと思います!
時期的にあのクリスマスソングも入れようかなー、、、と思ってます。
みなさまぜひまたお越しくださいませ!

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Abbey Roadリリース50周年記念アンコールライブ(イエサブもやるよ)

日時:2019年12月15日(日)18時45分開場 19:15開演 21:15終演予定
場所:横浜伊勢佐木町「Cross Street(クロスストリート)」
   JR関内駅北口から徒歩12分、京急日ノ出町または黄金町より徒歩7分
http://www.isezakicho.or.jp/~ueda/cs/
料金:2000円
※飲食物の販売はありません。お持ち込みは自由ですが、スナック類などカスの落ち易い食べ物はご遠慮ください。ゴミは各自お持ち帰りいただけますよう、ご協力お願いいたします。
※前売料金/学生料金はありません。
※ご予約は受け付けておりません。
※全席自由席です。50席ご用意しています。それを超えた場合はお立見になります。椅子や座布団を持ち込んでお座りいただくこともできます。
※甲虫楽団サポータプログラム「甲虫拡団」にご登録いただくと本来の開場時間より前にご入場いただけます。
 甲虫拡団については→こちら 
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2019年10月17日木曜日

ビートルズのシングルレコード集『ザ・シングルス・コレクション』 11月22日 全世界同時発売

ビートルズのシングルレコードのボックスセット『ザ・シングルス・コレクション』が 11月22日 全世界同時発売されることが発表されました。


ザ・ビートルズ 『ザ・シングルス・コレクション』 11月22日 全世界同時発売決定!!
(ユニバーサル ミュージック ジャパン)
ザ・ビートルズ、最新リマスター音源で23枚収録完全限定盤7インチ・シングル・コレクション発売(プレスリリース)

ビートルズ現役時代に発売されたシングルに加え、解散後に発表された「フリー・アズ・ア・バード」(1995年)「リアル・ラヴ」(1996年)の両A面シングルを収録しています。
当時のイギリスはシングルレコードに専用のジャケットを持たないのが通例で、ビートルズについては「Strawberry Fields Forever / Penny Lane」と「Let It Be」のみが専用でした。
 

そのため、今回は世界各国のピクチャー・スリーヴを採用しており、日本からは「 レディ・マドンナ」が選出されています。
「Let It Be」はイギリス版を採用していますが、「Strawberry Fields Forever / Penny Lane」はなぜかオーストラリア版を採用しています。使用されている写真はイギリス版と同じに見えるので、単に波型のジャケットを再現したくなかっただけでしょうか?

商品説明に「オリジナルのモノラルおよびステレオのマスター・テープからマスタリング及びカッティング」とあるので少なくとも現役時代のシングルについてはデジタル工程は介在していないようです。
編集方針や発売時期の意図が不明な商品ですが通して聴くことでビートルズの成長や当時のリスナーの驚きを感じられるかもしれません。

2019年10月14日月曜日

ジョン・レノン79回目の誕生日

2019年10月9日はジョン・レノン79回目の誕生日でした。ニューヨークのセントラルパーク内にあるStrawberry Fieldsのモニュメントに今年も多くの人が集まりました。今年は雨だったようです。
2019年9月にドキュメンタリー映画のリマスター版が発売




また、レイキャビックのイマジン・ピース・タワーも毎年恒例同日から点灯開始しています。
関係者は誕生日のコメントを寄せています。同日はジョンだけでなく息子のショーンの誕生日でもあります。また、近年ビートルズ作品のリミックスを一手にてがけているジャイルズ・マーティンも同日が誕生日なのは奇遇です。さらにはポール・マッカートニーと妻ナンシーの結婚記念日もこの日です。
リンゴ・スターは今月発売のニューアルバム『What's My Name』にジョン・レノンがデモテープを遺していた「Grow Old With Me」を収録することを発表し、ミュージックビデオを公開しました。このレコーディングにはポール・マッカートニーもベース、コーラスなどで参加しています。ポールはベースに気合が入っているように感じます。この曲の編曲にはジョージ・ハリスンの「Here Comes The Sun」のフレーズを引用しているとのことで、リンゴはこれを「僕たち四人全員揃っているといえる(So in a way, it’s the four of us.)」と評しています。


日本では10月5日~20日まで東京・笹塚でHAPPY BIRTHDAY, JOHN! 展が開催されます。今年の9~10月はアルバム『Abbey Road』50周年記念盤発売、ビートルズ・トリビュートショー『レット・イット・ビー』来日ツアー、映画『イエスタデイ』公開、「ビートルズが、Zeppにやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!映画『ハード・デイズ・ナイト』一夜限りのキネマ最響上映」などビートルズ関連の話題に事欠きません。

2019年10月10日木曜日

レビュー:映画『Yesterday』(邦題:『イエスタデイ』)

※日本語字幕に注目した公開初日レポートは→こちら

映画『イエスタデイ』に登場(曲名、歌詞、演奏)するビートルズの楽曲でプレイリストを作成しました。登場順に並んでいます。→ Spotify YouTube

ビートルズが存在しない世界を舞台にした映画『イエスタデイ』が2019年10月11日から日本で公開されます。海外で先月Blu-ray&DVDが発売されたのでそれを一足先に見ました。感想をネタバレ無し→中ネタばれあり→大ネタバレあり という順に考察を加えながら書きます。
海外版Blu-ray/DVD


ネタバレ無し感想

本作に非常に近いモチーフを持つ日本の漫画『僕はビートルズ』を読んだことがあるかないかで本作の見方が変わってくると思います。僕は連載時から愛読していたので『僕はビートルズ』と比べてどうなのかがどうしても気になります。
その観点では本作は不完全燃焼でした。恋愛要素が強すぎます。監督や脚本家はインタビューで、当初はここまで恋愛重視では無かったと語っています。エンターテインメントとしてクライマックスを盛り上げ、エンディングにきれいに収束させるためには必要だったのでしょう。『僕はビートルズ』も最後の最後はほんの少し恋愛を絡めていました。とはいえ、もう少しビートルズの楽曲の素晴らしさや、ビートルズという存在が世界に与える影響を描いてほしかったです。実際はそれを表現するのは難しかったことはわかります。ビートルズが世界に支持されたのは曲や歌詞だけではなく、歌声(とくにハーモニー)、演奏、ファッション、時代との融合など様々な奇跡が積み重なってのことです。本作はそのうち曲と歌詞だけで世界と勝負しているので現実感に欠けます。現代ならではの要素としてSNSが起爆剤になったことを描こうとしているのはわかるのですが、表現が効果的だったとは思えません。その点『僕はビートルズ』はビートルズ登場前夜に現代のビートルズコピーバンドがタイムスリップするので世界を巻き込む必然性と説得力がありました。
結局は「本当に大切なものに気づく」的な定番のストーリー展開になってしまいました。それはそれでよいのですが、もう少しミュージシャン視点のエピソードは絡められたと思います。日本版トレーラーはしっかり本作のカラーを理解しており、海外版トレーラーよりラブコメ要素を押し出しているのは誠実だと思いました。
それもこれも結局はリリー・ジェームズの魅力がなせる業だったのかもしれません。本作の主役は彼女と言ってもいいと思います。(中ネタバレあり感想に続く)



中ネタバレあり感想

『僕はビートルズ』の主人公と違って本作の主人公ジャックはそこまでビートルマニアというわけではありません。曲や歌詞はうろ覚えで、それをひねり出す様子が面白おかしく描かれています。本作の挿入歌の歌詞やコード進行が原曲と微妙に違うのはその事情を表現しているそうです。この路線を突き進めばよかったと思います。例えば、クライマックスで大事な曲の歌詞をとうとう思い出すとか、どうしても思い出せないので自身の体験から創作したら偶然原曲の歌詞と同じになったとか、演出のしようはいくらでもあったと思います。
ジャックがビートルマニアで無いのは良いのですが、世界が切り替わる前にもう少しビートルズを登場させていてもよかったと思います。少なくともヒロインのエリーはビートルズについて言及しておくべきでしたし、ジャックとエリーの学生時代の思い出の曲はビートルズの方が良かったと思います。例えば世界が切り替わった後にその曲をジャックが披露して「知らない曲なのになぜか懐かしい」などとエリーに言わせることも可能でした。
ジャックとエリーのレコーディング風景はブレイク前の無邪気で楽しかった時期を表現する序盤の山場でしょう。ビートルズの実験的なレコーディングへのオマージュがもっとあっても良かったと思います。なんとなく、このシーンは映画「ボヘミアン・ラプソディ」に影響されている気がします。
その後ジャックは世界中に知られることになるのですが、その過程も不満です。ここがもっとも感動的に演出できたはずです。この点のピークは最序盤の「Yesterday」を披露するシーンで、思わず涙ぐんでしまいます(リリー・ジェームズの演技が素晴らしい!)。ビートルズの曲を利用して世に打って出ることを決めた第一歩として親類知人に希代の名曲「Let It Be」を世界初披露したらとことんぞんざいな扱いを受ける、これはとても良いシーンでした。そのあとライブで「I Want To Hold Your Hand」を演奏しても受けが悪くジャックは意気消沈してしまいます。ここは、最初は誰も耳を傾けてくれなかったが、それまで走りまわっていた子供が立ち止まって聞き出し、次第にその輪が広がっていく・・・など、世界がビートルズに触れた感動が表現されてほしかったです。
と思ったら、Blu-ray/DVDに収録されている削除シーンではロシア公演の長尺版で同様の演出がなされていました。バラードで少しずつ興味は引いているもののなかなか火が付かず「Back in the U.S.S.R.」で盛り上がっていくというシーンです。これをカットしてしまうなんてもったいない・・・。
なんとか地元のプロデューサー兼エンジニアのギャビンの目に留まり、自主制作CDを配布したことをきっかけに知名度が上がっていくのですが、人々がCDを再生してそれに反応する描写がありません。CDを貸し借りしたり、エリーの学校の生徒の話題になったりする様子がなぜ描かれなかったのでしょうか・・・。ついには地元テレビに出演してそれを見たエド・シーランがコンタクトしてくることになるのですが、ここまでが急すぎます。
もしかしたら監督はジャックの歌と演奏にそこまでの力が無いと感じたのかもしれません。エド・シーランとジャックで即興作曲合戦をやるシーンがあります。ジャックは「Long and Winding Road」を引っ張り出してきて当然のごとく勝利するのですが、対するエド・シーランの歌唱と演奏が素晴らしすぎてジャックに脱帽するエド・シーランの様子も白々しく感じてしまいました。
『僕はビートルズ』もそうだったのですが、主人公が世にビートルズを提示する際の戦略が凡庸です。楽曲の登場順が無秩序なので、なぜ今この曲(内容/曲調)を発表したのか、というなんとなくの違和感を抱かせることになります(ジャックもこの点にさいなまれていく)。ジャックも自身のメジャーデビューアルバムのタイトル候補に『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』『White Album』『Abbey Road』を挙げるのはあまりに拙速です。結局ことごとく却下されることになります。まあ、ここはギャグシーンなのでしょうが。
前段のネタバレ無し感想ですでに本作の強すぎる恋愛要素が不満であると述べましたが、その恋愛要素の中にも納得がいかないところがあります。終盤にジャックの恋敵が登場しますが、前述のギャビンです。突然すぎます。Blu-ray/DVDに収録されている削除シーンでいくつかギャビンが登場するので丁寧にはぐくむつもりはあったのかもしれませんが削除したら意味がありません。エリーの献身さやギャビンがジャックとエリーに近づいた理由が安っぽくなってしまいます。三人を幼馴染にするか、エリーの職場の同僚などもう少し近い関係にしていたらまだ納得感ありました。突然三角関係に持ち込むならジャック側に新キャラクターを登場させた方がよかったです。ジャックのブレイク自体突然なのですから違和感ありません。テレビ番組で女優(アナ・デ・アルマス)に向けて即興で「Something」を披露してメロメロにしてしまうというちょうどよいシーンを収録してトレーラーにも使用していたのにそれをまるごと削除してしまいました(Blu-ray/DVDにはおまけとして収録)。監督の弁ではジャックとエリーのストーリーに水を差したくなかったとのことですが、だったらギャビンもいらないと思います。クライマックスを盛り上げる道具に過ぎませんでした。(大ネタバレあり感想に続く)



大ネタバレあり感想

物語の核心に迫るネタバレポイント1つずつについて感想を述べます。
監督/脚本家のインタビュー記事も合わせてご覧ください。
『イエスタデイ』ダニー・ボイル監督が語る、ビートルズファン垂涎の名シーンの舞台裏(Movie Walker)
主役は“ザ・ビートルズの楽曲”…映画『イエスタデイ』脚本家が選曲理由を語る(music.jp)

ジャックはエド・シーランの公演にゲスト出演し、ステージ上でエリーに愛を告白

感動的なシーンですがステージにエリーの顔を大写しにするのはやりすぎでした。映像としてはとても綺麗でした。

ジャックは発表した曲がビートルズの盗作と認め無償公開する

この行動がクライマックスに使用されました。こうするしかストーリーを決着できないのはしかたありませんが(過去の同種の作品も同様)、そもそもビートルズが存在しないので説明が意味不明になってしまっています。無償公開を含めレコード会社にも少なからず損害を与えたはずで、この行動は自己満足だと思いました。ただ、ビートルズの著作権は証明できず、ジャックも権利主張しないのでデビューアルバムはそのまま発売されてかえって売れた可能性はあります。レコード会社との訴訟が回避できたのならよかったです。ネットで無償公開という発想は現代的だと思いました。その後ジャックはビートルズの全楽曲を公開したのかが気がかりです。それができるのはジャックだけなので。うまくやればYouTuberとして安定した収入を得られたかもしれません。

ビートルズ以外にも世界から失われたものがある

まずはバンドのオアシス。ビートルズが存在しなければオアシスも存在しないというのは誰もが思いつきそうです。ただし、ジャックとエリーの思い出の曲はオアシスの曲だったので、これがこちらの世界ではどうなっているのかは面白くできるポイントでした(実際はまったく無視)。次にコカ・コーラとタバコ。この二つはビートルズの曲で歌われていますが(前者は「Come Together」、後者は「I’m So Tired」)そのせいでしょうか?どちらもビートルズ登場以前から存在しているので、考えすぎかもしれません(監督いわく「ランダム」とのこと)。コカ・コーラVSペプシというのは古くからネタとして取り上げられていますし、タバコは近年エンターテインメント作品からとことん排除されていますのでその風潮を皮肉ったのかもしれません。アメリカでは『Abbey Road』のジャケット写真でポールが右手に持っているタバコが消されるといった騒動がありました。
物語の最後の会話でハリー・ポッターも存在しないことがわかります。これはビートルズと同じイギリスの世界的有名作品だから選ばれたのかなと思いました。それともハリー・ポッターの両親の名前が "リリー" "ジェームズ" だから??Blu-ray/DVDに収録されているもう一つのエンディング(採用されなかったエンディング)にもこの会話は登場しますが、なんとセリフの分担が正規のエンディングとは逆で、ハリー・ポッターを知らないのはジャックの方です。これはつまり、ジャックが元居た世界は映画を見ている我々の世界と同じでは無く、ハリー・ポッターが居ない世界だったということです。これには驚かされました。このどんでん返しであればハリー・ポッターを選ぶ必然性もあって非常に良いエンディングだと思うのですが複雑すぎたので見送られたのでしょうか。このもう一つのエンディングはそれまでの騒動と打って変わってひそやかな雰囲気で進行し、ジャックとエリーの結婚生活を能天気に描く正規のエンディングより良いと思いました。
ビートルズがいなかったことによる影響についてはいくらでも遊べたのにあまり触れていないので欲求不満です。ファッションや生活習慣でなんの言及も説明も無くさらっと「映画を見ている我々の世界とは違う」違和感を表現することはできたのに。

ジャックは78歳のジョン・レノンに出会う

なんらかの形での登場は予想されていましたが、ジャックを導く重要な役割として登場しジョン・レノン役(ロバート・カーライル)の風貌が想像以上にそっくりで息を呑みました。ジャックがジョンに年齢を尋ね78歳と答えるシーンが感動的でした。ビートルズを結成していなければ凶弾に倒れることもないということですね。また、この世界でもオノ・ヨーコと結ばれたことを想像させるやりとりも良かったです(Fought hard to keep her/There were complications/Prejudice and prideといった発言から)。ただ、ビートルズファンならもっと聞きたいことがたくさんあるのでジャックに聞いてほしかったです。ポール・マッカートニーを知っているか?エルヴィス・プレスリーは好きか?楽器は手にしたのか?ここでポール死亡説というビートルズファン定番のネタを盛り込むこともできたでしょう。ビートルズがいない世界=ジョンとポールが出会っていない世界と言えそうです。

ジャック以外にもビートルズを覚えている人がいる

これが本作最大の衝撃でしょう。本作の宣伝文句の多くがジャックだけがビートルズを知っている前提で表現されているのでそれらが覆ります。実際はジャックと同様ビートルズが存在した世界線の記憶を保持したままの人がロシアとリバプールに一人ずついることが終盤に明かされました。それまでさんざんサスペンス的に「謎の男女二人」として存在をあおっていたわりにジャックの楽屋に二人でひょっこり現れてビートルズトークで盛り上がるのはギャグのつもりでしょうか?緊張と緩和を表現するのでしたら二人がジャックの目の前に出現する際にもっと工夫した方が良かったと思います。二人が記者会見でジャックを追い込んだ理由がよくわからなくなってしまいました。おとぎ話なのでしょうがないのですが、この三人だけがビートルズを覚えていた理由をなんでもいいから説明してほしかったです(例:三人とも停電の瞬間に歯を折った)。なぜこの二人がストーリーに必要だったかわかりませんが、少なくともジャックをジョン・レノンにつなぐ重要な役割を果たしました。
ちなみにこの事実を僕は海外公開直後に知ってしまったので、当ブログの紹介記事では「主人公だけがビートルズを知っている」と断言することを避けていました→こちら

いろいろ批判的に書いてしまいましたが、全体としては非常に楽しくワクワクドキドキ見させていただきました。ビートルズを取り上げて盛り上げてくれて感謝です。
公開初日に映画館に見に行くつもりなので(台風の影響がなければ)、日本語訳についてや、細かなポイントについて後日投稿する予定です。

追記:日本語字幕に注目した公開初日レポートは→こちら

甲虫楽団からライブのお知らせ

『イエスタデイ』でビートルズの楽曲に興味を持った方、ライブで体感するのはいかがですか?
祝ビートルズのアルバム『Abbey Road』リリース50周年!

我々「甲虫楽団」は、10月5日に同作全曲通しライブを行いました。
お客様約90名!満員御礼でメンバー一同感謝しております!!

まだまだ至らない点が多々ありましたが、一度では終われない!終わりたくない!
2019年最後は、久しぶりの横浜、ゆず所縁の伊勢佐木町にて、
アビーロードアンコールライブをもって締めたいと思います!
時期的にあのクリスマスソングも入れようかなー、、、と思ってます。
みなさまぜひまたお越しくださいませ!

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Abbey Roadリリース50周年記念アンコールライブ(イエサブもやるよ)

日時:2019年12月15日(日)18時45分開場 19:15開演 21:15終演予定
場所:横浜伊勢佐木町「Cross Street(クロスストリート)」
   JR関内駅北口から徒歩12分、京急日ノ出町または黄金町より徒歩7分
http://www.isezakicho.or.jp/~ueda/cs/
料金:2000円
※飲食物の販売はありません。お持ち込みは自由ですが、スナック類などカスの落ち易い食べ物はご遠慮ください。ゴミは各自お持ち帰りいただけますよう、ご協力お願いいたします。
※前売料金/学生料金はありません。
※ご予約は受け付けておりません。
※全席自由席です。50席ご用意しています。それを超えた場合はお立見になります。椅子や座布団を持ち込んでお座りいただくこともできます。
※甲虫楽団サポータプログラム「甲虫拡団」にご登録いただくと本来の開場時間より前にご入場いただけます。
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2019年10月7日月曜日

ジンジャー・ベイカー死去

Creamのドラマーとして有名なジンジャー・ベイカーが2019年10月6日に亡くなりました。80歳でした。
ラゴスにて。左からジンジャー・ベイカー、ポール・マッカートニー、リンダ・マッカートニー
リンダ・マッカートニーとジンジャー・ベイカー
ビートルズ界隈ではポール・マッカートニー&ウイングスのアルバム『Band on the Run』のレコーディングにラゴスにある自身のスタジオを提供し、「ピカソの遺言」にパーカッションで参加したエピソードが有名です。ポールも追悼コメントで触れています。
他のミュージシャンへの毒舌でも有名だったジンジャー・ベイカーはポールならびにビートルズへのコメントが残っています。
「ヘヴィ・メタルの連中は楽譜が読めない。ポール・マッカートニーでさえ、彼のために書き出す人が必要だ。彼はそれがいいと思っている。彼が“もし楽譜の読み方を勉強してたら、同じように曲は書けなかったかもしれない”って話している記事があった。俺らは1963年、ビートルズについて“あいつらはハチェット(手斧)とクロチェット(四分音符)の区別もついてない”って言っていたもんだよ」(引用元

同じドラマーとあってその矛先がリンゴ・スターに向けられることも多かったようですが、リンゴも追悼コメントを寄せています。

リンゴとジンジャー・ベイカーが共演している様子?(詳細不明)


2019年10月1日火曜日

レポート:「レット・イット・ビー」2019年9月27日 日本公演初日 新宿文化センター

ビートルズのトリビュートショー「レット・イット・ビー」の2019年日本ツアー初日に行って来ました。
ポール・マッカートニー役 Neil CandeloraのFacebookより
ビートルズの歴史を体感できる再現コンサート「LET IT BE」全国ツアー開幕 (プレスリリース)
今回、最安の「当日座席指定」(4800円)を買ったのですが、アリーナ席に化けることはなく、2階のA席(5800円)相当の席になりました。2階は3~4割の入りでしたが、1階は盛況だったようです。

世界的なビートルズトリビュートショーの定番の演出で、時代に沿って衣装と楽器を変えていくという構成です。今回は昨年に続き「1980年のジョンレノンの誕生日にビートルズが再結成されたら」という設定が売りです。二幕構成でそれぞれ1時間演奏しますが、第二幕全部をこの設定に割いており野心的だと感じました。マンネリを避けるよい試みだと思います。
第一幕の内容が日本公演直前に変更になり、再現シーンが「シェア・スタジアム」から日本武道館公演に変更されました。演奏直前には当時のE・H・エリックを真似た日本語のアナウンスも流れます。とはいえ衣装は再現しておらず、黒いスーツのネクタイを外しただけでした。
 セットリストは日本ツアー公式サイトに掲載されているもの(→こちら)から「Paperback Writer」がカットされていただけであとは同じでした。

「Because」は  口パクでしたが他は実際生演奏しているようで、大きく違和感を感じることは無く楽しめました。
衣装も楽器もツボをついていて好印象でした。『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』の衣装の再現性はかなり高かったです。数多くの演奏曲をこなす都合上、構成を端折って演奏することも多かったですがその分退屈せずに楽しめました。初日ということで、機材トラブルや段取りのミスなどもありましたが、集中力を切らすことなく真摯に対応していたと思います。

来日公演のメンバーはジョージ・ハリスン役を除いて昨年と同じようです。

ジョン・レノン役:Michael Gagliano
まず、体型を維持しているのが偉いです。MCもジョンっぽく会場を盛り上げていました。トラブルの対処も冷静でプロ意識を持って取り組んでいるように見えました。ジョン役にありがちな口先だけの歌唱に陥るところも多かったですが、ソロ曲ではそれも薄らいで聞きやすかったです。「Watching The Wheels」にとくに感動しました。
↓以下の映像は2019年日本公演とは別です。


ポール・マッカートニー役:Neil Candelora
こちらも体型を維持しています。The Fab Fourの一員として出演することもある実力派です。YouTubeでビートルズ曲の演奏する映像を公開しています。ギターもベースも左利きで(左利きに矯正しているポール役もギターは右利きのことが多い)ビートルズ好きであることが伺えます。
シャウトが得意で第二幕での「Live and Let Die」もお手のものでした。「She's a Woman」が印象的でした。
↓以下の映像は「レット・イット・ビー」とは別のものです。

ジョージ・ハリスン役:John Brosnan
こちらはここ数年でかなり体重が増えたようです。テンションが低めでアイドル期の演奏には不釣り合いな感がありましたが、解散後の曲はその物静かさがジョージのミステリアスさを表現しているようで気にならなくなりました。
↓以下の映像は2019年日本公演とは別です。

リンゴ・スター役:Chris McBurney
「レット・イット・ビー」の前進の「レイン(RAIN)」から日本公演のドラマーと言えばこの人です。確か奥様が日本人です。陽気に軽快にドラムを叩いていました。第二幕のリンゴ・スターの扮装は笑いどころでしょう。
↓以下の映像は2019年日本公演とは別です。

キーボード:Daniel A. Weiss
間違いなく上手いのですが、ビートルズを再現しようとする意気込みは感じられませんでした。

 この日はアルバム『Abbey Road』50周年記念エディションの世界同時発売日でしたが、とくにMCでは触れていませんでした。「Here Comes the Sun」の前に一言「Abbey Road」と叫んだだけでした。MCは全体的に少な目で、ビートルズの有名なMCを再現したり、立ち上がることやスマートフォンのライトをつけるよう促す程度でした。日本語は「ありがとう」と言っているのが確認できました。

この種の来日ショーに何度か参加した方も「1980年のジョンレノンの誕生日にビートルズが再結成されたら」の第二幕は新鮮な気持ちで楽しめると思います。選曲も日本人の感覚からすると変わっており、マニアの方も満足すると思います。


甲虫楽団からライブのお知らせ

『レット・イット・ビー』には負けていられません!ライブのお知らせです。
祝ビートルズのアルバム『Abbey Road』リリース50周年!

我々「甲虫楽団」は、10月5日に同作全曲通しライブを行いました。
お客様約90名!満員御礼でメンバー一同感謝しております!!

まだまだ至らない点が多々ありましたが、一度では終われない!終わりたくない!
2019年最後は、久しぶりの横浜、ゆず所縁の伊勢佐木町にて、
アビーロードアンコールライブをもって締めたいと思います!
時期的にあのクリスマスソングも入れようかなー、、、と思ってます。
みなさまぜひまたお越しくださいませ!

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Abbey Roadリリース50周年記念アンコールライブ(イエサブもやるよ)

日時:2019年12月15日(日)18時45分開場 19:15開演 21:15終演予定
場所:横浜伊勢佐木町「Cross Street(クロスストリート)」
   JR関内駅北口から徒歩12分、京急日ノ出町または黄金町より徒歩7分
http://www.isezakicho.or.jp/~ueda/cs/
料金:2000円
※飲食物の販売はありません。お持ち込みは自由ですが、スナック類などカスの落ち易い食べ物はご遠慮ください。ゴミは各自お持ち帰りいただけますよう、ご協力お願いいたします。
※前売料金/学生料金はありません。
※ご予約は受け付けておりません。
※全席自由席です。50席ご用意しています。それを超えた場合はお立見になります。椅子や座布団を持ち込んでお座りいただくこともできます。
※甲虫楽団サポータプログラム「甲虫拡団」にご登録いただくと本来の開場時間より前にご入場いただけます。
 甲虫拡団については→こちら 
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