関連記事:『Rubber Soul』全曲と「Day Tripper」「We Can Work It Out」のミックス違い・別テイクを整理
ビートルズの『ラバー・ソウル』スペシャル・エディションが、2026年10月2日に発売されます。7月29日の正式発表と同時に、「Michelle(Take 1)」が先行公開されました。
オリジナル盤の発売は1965年12月3日。発売60周年を迎えた2025年の翌年に、拡張版が登場することになります。
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| 4CDスーパー・デラックス |
今回の中心は、ジャイルズ・マーティンとサム・オケルによるステレオ・リミックスです。オリジナルの4トラック・テープから、ピーター・ジャクソン(『ザ・ビートルズ:Get Back』の監督)のWingNut Filmsが開発したデミックス技術で声や楽器を分離し、左右に大きく分かれていた従来のステレオを組み直しています。
商品は1CDから4CD、1LPから5LP+7インチ、さらに単品のBlu-rayまであります。
『ラバー・ソウル』2026年版の商品ラインナップ
| 商品 | 主な内容 | 日本盤価格 |
|---|---|---|
| 1CD | アルバムの2026ステレオ・ミックス | 3,410円 |
| 2CD | ニュー・ミックス+セッション、デモ、シングルの抜粋 | 4,840円 |
| 4CD | ニュー・ミックス、セッション、モノ、米国盤、88ページ本 | 27,500円 |
| 1LP | ニュー・ミックス、180グラム盤 | 7,150円 |
| 2LP | ニュー・ミックス+セッション、デモ、シングルの抜粋 | 9,350円 |
| 5LP+7インチ | 4CD版相当をLP化。シングル2曲は7インチに分離 | 41,800円 |
| Blu-ray | Atmos、96kHz/24bitステレオ、プロモ映像4本 | 6,050円 |
ディスクでそろえる場合、4CDとBlu-rayの組み合わせで、今回の商品群の収録内容をカバーできます。歴代のミックスや関連音源をすべて集めたセットという意味ではありません。
4CDスーパー・デラックスの構成
4CD版は全68トラックです。
- CD1:英国オリジナル・アルバムと同じ14曲順の2026ステレオ・ミックス
- CD2:セッション、デモ、スタジオでの会話、シングルの完成版を合わせた28トラック
- CD3:英国オリジナル・アルバムと同じ14曲順の1965年モノ・ミックス
- CD4:曲目と曲順が異なる12曲入りの米国キャピトル盤(ステレオ)
88ページのハードカバー本には、ポール・マッカートニーの新しい序文と、生前の発言から構成したジョン・レノンの前書きが収録されます。日本盤4CDはSHM-CDで、英文解説の翻訳、歌詞、対訳付きです。
2CD版の2枚目は、スーパー・デラックスから選んだ16トラックです。アルバム収録曲12曲のセッション音源に、「Day Tripper」と「We Can Work It Out」のデモ各1曲、完成版の2023年ミックス各1曲を加えています。
アルバム全14曲のセッション音源が揃うわけではなく、この抜粋盤には「You Won't See Me」と「Think For Yourself」の関連音源は入りません。後述するジョンのデモ「Little Girl」も、4CD/5LPスーパー・デラックスのみの収録です。
アウトテイクが多い曲、収録されていない曲
スーパー・デラックスのセッション盤では、曲によって収録の厚みが異なります。以下は完成版シングル2曲と「Little Girl」を除いた、曲ごとの関連トラック数です。1トラックの中に複数のテイクがまとめられている場合もあります。
| 収録の扱い | 曲と内容 |
|---|---|
| 各3トラック | 「Norwegian Wood」は3つのヴァージョン。「I'm Looking Through You」は第1ヴァージョンのTake 1と、第2ヴァージョンのTake 2・3。「Day Tripper」は作曲テープと初期テイクを収録 |
| 各2トラック | 「In My Life」「Nowhere Man」「Michelle」「We Can Work It Out」。別テイクだけでなく、未使用ソロ、リハーサル、デモなども含む |
| 各1トラック | 「Wait」「Run For Your Life」「Drive My Car」「If I Needed Someone」「What Goes On」「The Word」「Girl」。このうち「Run For Your Life」「Drive My Car」「The Word」は複数テイクを1トラックにまとめて収録 |
| ヴォーカル録音風景を収録 | 「Think For Yourself」は、ヴォーカルのオーバーダブ中の会話や歌の練習を収めた「Beatle Talk」で登場 |
| 関連セッション音源なし | 「You Won't See Me」 |
「Norwegian Wood」の最初のヴァージョンや「I'm Looking Through You」の初期形など、『Anthology 2』で知られているテイクも含まれます。ただし、同じテイクでもミックスや編集、オーバーダブの有無によって収録内容は変わるため、既発音源の単純な再収録とは限りません。公式発表では20の未発表テイクと3本の未発表ホーム・デモが案内されています。
未発表曲として注目したいのが、ジョンのデモ「Little Girl」です。完成されたビートルズの新曲ではなく、ジョンが残した曲のスケッチが紹介されます。4CDと5LPには収録されますが、2CDと2LPの抜粋版からは外れています。
一方、同時期のセッションで録音されたインストゥルメンタル「12-Bar Original」は収録されません。編集版は『Anthology 2』で公式発売済みですが、今回のセットに完全版が追加されるわけではありません。
2023年の『赤盤』と今回のステレオ・ミックスの関係
『The Beatles 1962-1966』、通称「赤盤」の2023年版には、『ラバー・ソウル』から7曲のリミックスが収録されました。「Drive My Car」「Norwegian Wood」「Nowhere Man」「Michelle」「In My Life」「Girl」「If I Needed Someone」です。
今回のアルバム本編は、全14曲が「2026ステレオ・ミックス」として案内されています。2023年版で先行してリミックスされた曲も含め、アルバム全体を現代的なステレオで通して聴けることが今回のポイントです。「2026」という表記は、すべての曲をその年に新しくミックスし直したことまで意味するものではありません。
「Day Tripper」と「We Can Work It Out」の完成版には、2023年ミックスが収録されます。同時期の両A面シングルも一緒に楽しめますが、1965年発売当時のモノ・シングルを復刻する内容ではありません。
音源分離技術を用いた過去作については過去記事「ビートルズのアルバム『Revolver』がリミックスされて2022年10月28日発売」、ジョンの声をデモから分離した例については「“ビートルズ最後の新曲”『Now And Then』」で紹介しています。
先行公開「Michelle(Take 1)」で完成版の土台を聴く
先行公開された「Michelle(Take 1)」は、完成版から装飾を外したような演奏です。ポールの歌とアコースティック・ギター、リンゴのドラムを中心に曲が進みます。
曲の構成と歌にはすでに完成形に通じるまとまりがあり、完成版の土台を聴くような印象です。「テイク1」は基本演奏の録音テイクを示す番号で、曲作りやリハーサル、オーバーダビングまで一度で済ませたという意味ではありません。
「Day Tripper(Songwriting Work Tape)」では有名なリフがまだ聴こえない
2026年8月26日、先行公開第2弾として「Day Tripper(Songwriting Work Tape)」が公開されました。これはスタジオで録音された初期テイクではなく、ジョンの自宅ケンウッド(サリー州ウェイブリッジ)で、ジョンとポールが曲を作っている途中を収めたワーク・テープです。
印象的なのは、この録音では完成版の代名詞となったギター・リフがまだ聴かれないことです。テンポも完成版より遅く、二人はギターを鳴らしながら歌詞や曲の流れを探っています。途中で歌詞を取り違えて笑い出す一方、歌の骨格と二人のハーモニーはすでに形になっています。
公式発表によれば、出発点になったのはジョンが前月に書いていたフォーク調の曲でした。その後、あのリフが加わり、完成版は約8時間に及ぶスタジオ・セッションで録音されます。
スタジオでの演奏を聴く「Michelle」に対し、こちらはジョンとポールが曲を組み立てている段階の記録です。間違えたり笑い出したりする場面も含め、二人の共同作業を身近に感じられる録音です。
「Day Tripper(Songwriting Work Tape)」は、2CD/2LPデラックスと4CD/5LPスーパー・デラックスのいずれにも収録されます。
先行公開第3弾「Norwegian Wood」は完成版と異なるシタールのアレンジ
2026年9月14日、先行公開第3弾として「Norwegian Wood(This Bird Has Flown)(Second Version – Take 2)」が配信されました。
「Norwegian Wood」は、『Rubber Soul』のレコーディング初日である1965年10月12日に、当初「This Bird Has Flown」という題で最初のヴァージョンが録音されました。しかしメンバーはその出来に満足せず、9日後の10月21日に曲を作り直しています。今回公開されたのは、この日の再録音におけるテイク2です。
ジョン・レノンのアコースティック・ギター、ポール・マッカートニーのベース、リンゴ・スターのドラム、ジョージ・ハリスンのシタールを基本に、さらにシタールとジョン、ポールのヴォーカルがオーバーダビングされています。
完成版がヴァースのメロディを奏でるイントロから始まるのに対し、このテイク2では、ブリッジ部分のメロディを弾くダブル・トラックのシタールから曲が始まります。シタールが装飾ではなくアレンジの中心に置かれ、完成版よりもインド音楽の色が濃く感じられます。
『Anthology 2』で公開済みの最初のヴァージョンとも、アルバムに採用された完成版とも異なり、曲が二度目の形へ組み替えられていく途中を聴ける録音です。「Norwegian Wood」は録音を重ねながら、イントロや伴奏、シタールの役割を試していたことが分かります。
この音源は、2CD/2LPデラックスと4CD/5LPスーパー・デラックスの両方に収録されます。詳しい録音内容はUniversal Music Japanの公式発表で紹介されています。
【10月2日追記】「I'm Looking Through You(Second Version – Take 3)」の映像が公開
発売日の2026年10月2日、「I'm Looking Through You(Second Version – Take 3)」のビジュアライザーが公開されました。The Beatles公式発表によると、1965年11月6日のセッションで録音された、2度目のヴァージョンのテイク3です。
最初のヴァージョンは10月24日に録音され、11月6日にテンポやアレンジを変えて再録音されました。この段階でも12小節の器楽部分が2か所残っており、ポールはその後、これに代わるブリッジを書き加えます。アルバムに採用された最終ヴァージョンは11月10日と11日に録音されました。
今回のテイク3は、初期形と完成版の間にある姿を伝える音源です。2CD/2LPデラックスと4CD/5LPスーパー・デラックスの両方に収録されます。
米国版『Rubber Soul』は曲目・曲順と一部のミックスが異なる
4CDスーパー・デラックスのCD4には、1965年のオリジナル・キャピトルUSステレオ盤が入ります。5LP版ではLP5に当たります。英国盤の「Drive My Car」「Nowhere Man」「What Goes On」「If I Needed Someone」を外し、『Help!』期の「I've Just Seen A Face」と「It's Only Love」を加えた12曲構成です。
1曲目が「I've Just Seen A Face」、B面1曲目が「It's Only Love」になることで、英国盤よりアコースティックでフォーク・ロック寄りに聞こえます。ブライアン・ウィルソンが強い影響を受けたのは、この米国版だという説があります。
さらに、米国ステレオ盤の「I'm Looking Through You」は、本演奏の前にギターの短い出だしが2回入ります。「The Word」も英国盤とは異なるステレオ・ミックスです。米国盤ディスクは曲順の再現だけでなく、このようなミックス違いを正式にまとめて聴ける点に意味があります。
Blu-rayはスーパー・デラックスに入らず単品発売
『Sgt. Pepper』『The Beatles』『Abbey Road』『Let It Be』の大型ボックスでは、Blu-rayがスーパー・デラックスに含まれていました。『Revolver』では物理Blu-ray自体がなく、Dolby Atmosは配信のみでした。
今回はBlu-rayが復活しましたが、4CDボックスには入りません。6,050円の単品です。Atmosだけを聴きたい人が高額ボックスを買わずに済む一方、4CDの内容とAtmosの両方をそろえる場合、日本盤の合計は33,550円になります。
Blu-rayにはアルバム14曲の2026 Atmosと96kHz/24bitステレオ、「Day Tripper」「We Can Work It Out」の2023 Atmos/ステレオを収録。さらに両曲のプロモーション映像が各2種類、計4本入ります。
日本盤の購入特典とTHE BEATLES STORE限定版の違い
日本盤の一般特典は、すべての商品が対象ではありません。
- 通常4CD(UICY-80780/3):B2サイズ・ポスター
- 2CD(UICY-80790/1):17cm角のジャケット写真ポスター
- Blu-ray(UIXY-75020):17cm角のジャケット写真ポスター
いずれも先着で、対象外の店舗もあります。上記は公式に案内された共通特典です。対象商品や特典の有無は、購入先の案内をご確認ください。
THE BEATLES STORE限定の4CDは29,700円、5LP+7インチは45,100円で、限定ポスターとアート・カードがボックスに追加されます。
同ストア限定で、Tシャツ付き商品や回転させると絵が動いて見える1LPゾートロープ・ピクチャー・ディスクも発売。オレンジ・ヴァイナルは輸入盤のみです。
発売直後に『Rubber Soul』公開録音イベントを開催
『ラバー・ソウル』スペシャル・エディションの発売翌週となる2026年10月10日(土)、ニッポン放送イマジン・スタジオで公開録音イベント「ザ・ビートルズ 名盤『ラバー・ソウル』その魅力と来日公演」が開催されます。
音楽評論家の萩原健太さんによる解説に加え、1966年のビートルズ来日公演を体験したザ・タイガースの瞳みのるさんがゲスト出演。新しくミックスされた『Rubber Soul』の試聴や商品紹介映像を交え、アルバムの魅力と来日公演について語ります。司会はニッポン放送「あさぼらけ」の上柳昌彦さんです。
- 日時:2026年10月10日(土)15時30分開場、16時開演、18時終演予定
- 会場:ニッポン放送 イマジン・スタジオ(東京都千代田区有楽町1-9-3)
- 出演:萩原健太、瞳みのる、上柳昌彦
- 招待人数:抽選で100名
- 応募締切:2026年9月25日(金)
発売後の新ミックスを会場の音響で聴き、専門家の解説と来日公演体験者の話を一度に聞けるイベントです。募集要項などは、ニッポン放送のイベント案内ページに掲載されています。
どの『ラバー・ソウル』スペシャル・エディションを選ぶか
- 新しいステレオだけ聴く:1CD、1LP、配信
- 代表的なデモとアウトテイクも聴く:2CD、2LP
- 「Little Girl」、複数テイク、モノ、米国盤、88ページ本まで必要:4CD、5LP+7インチ
- Dolby Atmosとプロモ映像が目的:単品Blu-ray
- 限定盤の造形を楽しむ:THE BEATLES STORE限定ゾートロープ盤
今回の特徴は、アルバム全14曲の現代的なステレオ・ミックスが一つに揃うこと、セッション音源やデモで制作過程をたどれること、そしてスーパー・デラックスには英国モノ盤と米国ステレオ盤も収録されることです。完成版を聴きたいのか、録音の過程や当時の盤まで集めたいのかで、選ぶエディションが変わってきます。
主な参照先:The Beatles公式発表、Universal Music Japanの商品詳細・日本盤特典、The Beatles公式ストア4CD収録内容、2023年版『The Beatles 1962-1966』




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