ビートルズが1966年に発表したアルバム『Revolver』が最新技術でリミックスされ「スペシャル・エディション」として2022年10月28日に世界同時発売されます。
5CDスーパー・デラックス |
ザ・ビートルズが1966年に発表したアルバム『リボルバー』がスペシャル・エディションで発売!(ユニバーサル ミュージック)
The Beatles’ Unheard ‘Revolver’: An Exclusive Preview of a Blockbuster Archival Release (RollingStone)
アルバム1曲目「Taxman」2022年リミックス版と「Tomorrow Never Knows」Take 1が先行公開されています。
「Tomorrow Never Knows」Take 1は『The Beatles Anthology 2』(1996年)にも収録されていましたが、当時はフェードアウトしていました。今回は演奏の最後まで聴くことができます。
音楽配信サービスでの試聴はこちら↓
The Beatles - Taxman (2022 Mix)
『Revolver』スペシャル・エディション商品構成
網羅する音源によって商品が3種類に分かれ、それぞれがダウンロード/ストリーム、CD、レコード(ビニール盤)でリリースされます。 日本盤のみ英文ライナー翻訳付/歌詞対訳付です。
スーパー・デラックス:63 曲(3媒体で発売)
- デジタル・オーディオ・コレクション (ステレオ & ハイレゾ 96kHz/24ビット・ステレオ+モノラル+ドルビーアトモス・ミックス)
- 5CD 21,450円税込
- 4LP+7インチ 32,450円税込
※本文100ページの豪華ブックレット付(ダウンロード/ストリームはどうなるか不明)
※CDのスーパー・デラックスにハイレゾ音源は含まれない(Blu-rayディスクは同梱されない)
デラックス:29 曲(CDでのみ発売)
- 2CD 3,960円税込
※40ページのブックレット付
スタンダード:14 曲(3媒体で発売。LPは限定盤も別途発売)
- デジタル (アルバム本体のステレオ・ミックス & ハイレゾ 96kHz/24ビット・ステレオ+ドルビーアトモス・ミックス)
- 1CD 2,860円税込
- 1LP 6,380円税込
- 1LP限定盤ピクチャー・ディスク 6,600円税込
『Revolver』スーパー・デラックス収録曲
アルバム全体の2022年リミックス、アルバム全体の1966年モノ音源に加えて、
Tomorrow Never Knows (Take 1)
Tomorrow Never Knows (Mono mix RM 11)
Got To Get You Into My Life (First version) – Take 5
Got To Get You Into My Life (Second version) – Unnumbered mix - mono
Got To Get You Into My Life (Second version) – Take 8
Love You To (Take 1) - mono
Love You To (Unnumbered rehearsal) - mono
Love You To (Take 7)
Paperback Writer (Takes 1 and 2) – Backing track – mono
Rain (Take 5 – Actual speed)
Rain (Take 5 – Slowed down for master tape)
Doctor Robert (Take 7)
And Your Bird Can Sing (First version) – Take 2
And Your Bird Can Sing (First version) – Take 2 (giggling)
And Your Bird Can Sing (Second version) – Take 5
Taxman (Take 11)
I’m Only Sleeping (Rehearsal fragment) - mono
I’m Only Sleeping (Take 2) - mono
I’m Only Sleeping (Take 5) - mono
I’m Only Sleeping (Mono mix RM1)
Eleanor Rigby (Speech before Take 2)
Eleanor Rigby (Take 2)
For No One (Take 10) – Backing track
Yellow Submarine (Songwriting work tape – Part 1) - mono
Yellow Submarine (Songwriting work tape – Part 2) – mono
Yellow Submarine (Take 4 before sound effects)
Yellow Submarine (Highlighted sound effects)
I Want To Tell You (Speech and Take 4)
Here, There And Everywhere (Take 6)
She Said She Said (John’s demo) - mono
She Said She Said (Take 15) – Backing track rehearsal
Paperback Writer (New stereo mix)
Rain (New stereo mix)
Paperback Writer (Original mono mix remastered)
Rain (Original mono mix remastered)
所感
2017年の『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』50周年記念盤から始まったリミックスプロジェクトはその後、編年体で進行し2021年の『Let It Be』で完了しました。ビートルズは今年デビュー60周年なのでそのまま60周年記念をしばらく続ける選択肢もあったでしょうが、実際は発売56周年の『Revolver』がターゲットになりました。これ以降は時代をさかのぼってリミックスしていくのでしょうか?
それはありえるかもしれません。今回はデミックス(1つの音源から各楽器の音を分離・抽出する)が積極利用されているようです。2021年公開の映像作品『ザ・ビートルズ: Get Back』のために開発されたAI音源抽出システム「MAL」を今作にも活用したことが明かされています。2009年のゲーム『The Beatles: Rock Band』でもデミックスは行われていましたが、『Rock Band』に比べMALの抽出は格段に優秀なようです。デミックスはベースギターの抽出が苦手なようでMALですらもいまいちな感があります(MALによるベースの抽出結果はいわゆる「100分版」Get Backで紹介されていました)。
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『Revolver』の録音のころからベースの後録りが始まったようなので、デビュー当時の音源よりはデミックスの負担が減ります。来年以降時代をさかのぼりながらデミックス技術の向上に期待する作戦かもしれないと思いました。
「Taxman」はドラムとベースとギター(バッキング)が一緒くたに録音されているはずですが、先行公開された2022年版はギターだけきれいに分離され聞きやすくなりました。ドラムもバスドラムのアタックやスネアの高音が強調され軽快になっています(強調し過ぎの感も…)。ボーカルは前工程の音源に戻ってミックスされなおしたようでスッキリ。ベースだけが高音質化から取り残された印象です。断片的に聴ける他の曲の2022年版もくっきりすっきり霞が晴れたような音のようですが、『Revolver』はくぐもったような音の悪さも作品のイメージに貢献しているように思うので、全体を通して聞くとどのように感じるか今から楽しみです。
ちなみに2022年版「Taxman」は旧版の左右を逆にしたイメージからリミックス作業を開始したように感じます。何故でしょうか…。
昨今の世界的なインフレと円安に影響されてか、最上位盤は2万円越えとなりました。Blu-rayが含まれないのも何とか価格を抑えようと苦心した結果かもしれません。ダウンロード販売でも「本文100ページの豪華ブックレット」相当の内容がPDFファイルなどで入手できるようでしたらダウンロード版を購入しようと思います(期待薄ですが…)。
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