3 Savile Rowから始まる「ビートルズの2年間」 2027年/2028年新施設と映画4部作

2027年末、ビートルズが最後の公開演奏を行ったロンドンのサヴィル・ロウ3番地に、公式体験施設「The Beatles at 3 Savile Row」が開業する予定です。その翌年には、サム・メンデス監督による映画4部作と、リヴァプールの新たな公式体験施設の開業が控えています。[5][10]

こうした大型企画と同じ時期に、『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』と『The Beatles(White Album)』の発売60周年が重なります。Apple CorpsとUniversal Music Group(UMG)は、この時期をどのように捉えているのでしょうか。

10月6日にロンドンのBrand Licensing Europeで行われた講演から、施設、映画、商品を通じてビートルズに触れる機会を広げていく、2027~2028年の構想が見えてきました。[2]

2026年10月21日追記:リヴァプールの新施設と、3 Savile Rowの開業予定時期に関する公式発表を反映しました。リヴァプールの追記箇所へ。

10月の講演で見えてきた、2027~2028年の展開

業界誌License Globalによる10月6日の講演詳報で、Apple Corpsの体験事業担当ジョナサン・サンズは、次のように語っています。

「これからの2年間は、かなり忙しくなります」

出典:License Global、2026年10月6日。

講演には両社の事業担当者が登壇し、施設の未公開イメージも披露されました。ビートルズをどう届けるかという事業側の説明です。[2]

2027~2028年に重なる主な予定と節目
時期予定・節目現在わかっていること
2027年末The Beatles at 3 Savile Row開業予定展示、再現スタジオ、屋上体験、ショップを備える有料施設。10月の新発表で開業予定が「2027年末」と具体化しました。[1][10]
2027年『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』発売60周年商品展開の機会として言及。具体的な60周年商品や新音源の仕様は、今回の講演・インタビューでは示されていません。[2]
2028年4月サム・メンデス監督の映画4部作4人それぞれの視点で描く劇映画。公式に案内されている劇場公開時期で、日本の具体的な公開日を示すものではありません。[5]
2028年
映画公開後
リヴァプールのThe Beatles Storyが移転・拡張Apple Corpsが手がける新施設としてSt Johnsに開業予定。映画4部作のセットや小道具の一部も展示に活用されます。[10][11]
2028年『The Beatles(White Album)』発売60周年『Sgt. Pepper』に続く商品展開の機会として言及。企画の具体的な内容は今後の発表待ちです。[2]

ただし、この構想が10月6日に初めて公になった、というわけではありません。施設は5月11日、UMGとの新たな提携は8月19日に発表され、10月1日付のLicense Globalのインタビューでも、周年と映画を見据えた展開が説明されていました。[1][3][4]

3 Savile Rowでは何が体験できるのか

サヴィル・ロウ3番地は、かつてApple Corpsが本拠とした建物です。地下では『Let It Be』の主要な録音が行われ、屋上では1969年1月30日のルーフトップ・コンサートが行われました。[6]

5月の公式発表で案内された主な内容は、次の通りです。

  • 7フロアにわたる施設
  • Apple Corpsのアーカイブから、これまで公開されていなかった資料を展示
  • 内容を入れ替える展示
  • 『Let It Be』を録音した地下スタジオの再現
  • 実際のルーフトップ・コンサートの場所で楽しむ体験
  • ファン向けショップ

出典:ビートルズ公式発表。

さらに10月1日のインタビュー記事では、ビートルズの歴史をたどる約2時間のツアーとして紹介されています。[3]

ビートルズコピーバンドとして気になるのは、やはり地下スタジオと屋上です。映像で見慣れた場所でも、実際に立てば広さや距離の感じ方は変わるでしょう。再現スタジオの細部がどこまで作り込まれるかも、楽しみなところです。

ビートルズ公式が公開している『Get Back』の屋上演奏映像。

UMGとの契約は、公式商品と通販をどう変えるのか

2026年8月19日に発表されたApple CorpsとUMGの契約は、世界規模の独占的な長期提携です。従来の音楽カタログでの協力に加え、物理的・デジタルの商品、ライセンス、電子商取引をUMGが扱うと説明されています。[4]

ここでいうライセンスには、ビートルズの名前や図柄などを用いた商品展開が含まれます。メンバーの楽曲著作権についてのものでは無いようです。

10月1日のインタビューでは、既存の公式通販も刷新していく方針が示されました。[3]

映画4部作が、新しいファンの入口になる

『The Beatles – A Four-Film Cinematic Event』は、サム・メンデスが4人それぞれの視点から描く、相互につながる4本の劇映画です。ビートルズ公式は劇場公開を2028年4月と案内しています。[5]

映画は、曲を何曲か知っている人がメンバーの人物像に触れる機会にもなります。Apple Corpsのマーケティング担当ミランダ・ラングフォードは10月1日のインタビューで、映画を新しい観客がビートルズの世界へ入る大きな機会と捉えていました。若い世代には、配信やSNSで現役アーティストと並んでビートルズに出会う人がいる、という見方も示しています。[3]

その考え方で見ると、翌年の映画を前に3 Savile Rowが開業する予定になっていることには意味があります。映画で4人に興味を持った人が、音楽を聴き、ゆかりの場所を訪れる。長年のファンが展示を見て、もう一度映画やアルバムに戻る。そうした行き来を受け止める場所ができます。

『Sgt. Pepper』『White Album』60周年で期待できること

『Sgt. Pepper』の50周年には2017年に、『White Album』の50周年には2018年に、リミックスやセッション音源を収めた記念盤が登場しました。とりわけ『White Album』ではイーシャー・デモもまとまって収録され、作品の制作過程に触れる機会になりました。[7]

60周年と聞けば次の音源企画を期待したくなります。ただ、今回の講演やインタビューで具体的に語られているのは、周年を生かした商品・体験の展開です。実際、音源は50周年で出し尽くした感があるのでもし何か出るとしても数曲でしょう。

内容を入れ替える展示が予定されている3 Savile Rowは、こうした節目と連動する想定かもしれません。

サヴィル・ロウの仕立屋と、どう共存するか

開業への期待の一方で、周辺への影響を心配する声もあります。8月10日付のThe Sunは、Savile Row Bespoke Associationのマーク・ヘンダーソンが、狭い歩道の混雑や既存の事業への悪影響を懸念していると報じました。[8]

同協会が公式に掲げているのは、サヴィル・ロウの注文服作りと職人の育成を守ることです。ビートルズ・ファンにとっての名所は、今も仕事が行われている服飾街でもあります。[9]

周囲の店を含めた街の魅力が両立する運営を期待したいところです。

【10月21日追記】リヴァプールの新施設が2028年開業へ

10月20日、Apple CorpsはリヴァプールのThe Beatles Storyを移転・拡張し、2028年に新たな体験施設を開業する計画を発表しました。2027年に現施設の運営を引き継ぎ、現在のロイヤル・アルバート・ドックから、ライム・ストリート駅向かいのSt Johns Shopping Centreへ移転します。新施設は約10万平方フィート(約9,300平方メートル)、現施設の約4倍の規模です。[11][12]

実物の資料や没入型の演出、キャヴァーン・クラブ、アビイ・ロード、シェイ・スタジアムなどの再現を通じて、ビートルズの歩みをたどる内容です。注目したいのは、サム・メンデス監督の映画4部作で使われるセットや小道具の一部を、展示にも活用すること。開業は2028年4月の映画公開後を予定しています。[10]

St Johns Beaconには、街を360度見渡せる「Yellow Submarine」をテーマにした別の体験も設けられます。単独でも、The Beatles Storyとのセットでも楽しめる予定です。また、チケット収入の一部は、新設するApple Corps Liverpool Trustを通じて地元の若手アーティストや文化活動の支援に充てられます。[10]

今回の発表では、リヴァプールの施設は3 Savile Rowに続くApple Corpsの2番目の常設体験施設と位置付けられています。同時に、ロンドンの開業予定も2027年末と具体化しました。5月に予告されていた「もう一つの体験企画」についても、その姿が見えてきました。[10]

映画のセットがそのまま展示の一部になるという発表からは、映画と施設をつなぐ構想が具体的に伝わってきます。ロンドンの3 Savile Rowを訪れ、映画を見て、今度はリヴァプールへ。「忙しい2年間」は、ファンの旅の計画にも関わる話になってきました。

具体的な開業日やチケット情報は今後の発表待ち

引き続き詳しい発表を待ちたいこと

  • 3 Savile Rowとリヴァプール新施設の具体的な開業日、入場料、チケット発売日
  • 3 Savile Rowのフロアごとの展示内容、屋上での体験方法
  • 各アルバムの60周年に合わせた具体的な商品・音源企画

続報の登録は、3 Savile Rowの公式案内ページと、The Beatles: Liverpool 2028の公式案内ページで受け付けています。

出典・関連リンク

  1. The Beatles:The Beatles Get Back to Savile Row!(2026年5月11日)施設の公式発表。
  2. License Global:The Beatles' 3 Savile Row: Inside the Band's First Official Fan Experience(2026年10月6日)Brand Licensing Europe講演詳報。講演会場と展示の写真も掲載。
  3. License Global:Beyond Beatlemania: Exploring the Enduring Power of The Beatles for Fans Globally(2026年10月1日)Apple Corps・UMG担当者へのインタビュー。
  4. UMG:Apple Corpsとの商品・ライセンス・EC分野の提携発表(2026年8月19日)。
  5. The Beatles:映画4部作の脚本家と公開時期の公式発表(2025年5月8日)。
  6. Visit London:The first ever official Beatles fan experience is opening in London next year(2026年5月15日、7月1日更新)ロンドン公式観光案内。
  7. The Beatles:The White Album – Special Anniversary Releases(2018)。2017年の『Sgt. Pepper』記念盤にも言及。
  8. The Sun:Savile Row tailors in clash with The Beatles over plans for new museum(2026年8月10日)地元団体の懸念に関する報道。
  9. Savile Row Bespoke Association:Objectives。同協会の目的と活動。
  10. The Beatles:The Beatles: Liverpool 2028 – A new immersive experience in the heart of Liverpool。新施設、映画との連携、3 Savile Rowの開業予定時期に関する公式発表。
  11. The Beatles Story:Liverpool 2028(2026年10月20日)運営移管と移転・拡張の公式案内。
  12. The Beatles:The Beatles: Liverpool 2028。計画の概要と続報登録。

本記事の初稿は2026年10月8日(日本時間)までに確認した公式発表・報道に基づきます。2026年10月21日、リヴァプールの新施設発表と3 Savile Rowの開業予定時期を追記・更新しました。

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