2013年5月16日木曜日

レポート:ポール・マッカートニー&ウイングス「ROCKSHOW」完全版映画館上映

2013年5月29日に日本先行発売となるリニューアル&完全版「ロックショウ」が日本各地の映画館で上映されました。初日の5月16日にTOHOシネマズ六本木へ見に行きました。
19:00~の一回のみ上映

映画館上映の経緯

この「ROCKSHOW」はPaul McCartney & Wingsによる1976年の全米ツアーの様子を収めた映像作品で、1ステージまるごとを追体験できるストレートな内容です。1981年に日本でのみ劇場公開された「完全版」(他国劇場版や映像ソフト版より7曲多い)がこの度映像と音をブラッシュアップしてDVDとBlu-rayでリリースされます。
http://www.yamaha-mv.co.jp/paulmccartney/rockshow

発売に先立ち、2013年5月15日のプレミア上映イベントを皮切りに全世界の映画館で上映されています。ロンドンのBAFTAではポール本人の舞台挨拶がありました。

当日の様子は以下で報告されています。

McCartney mania! Paul fights through a throng of fans to attend screening of Rockshow with Nancy 
http://www.dailymail.co.uk/tvshowbiz/article-2325356/Paul-McCartney-fights-throng-fans-attend-screening-Rockshow-Nancy.html

Paul Attends VIP Premiere of 'Rockshow' At BAFTA
http://www.paulmccartney.com/news-blogs/news/27543-paul-attends-vip-rockshow-bafta-premiere

ポール・マッカートニー、『ロックショウ』スペシャル・スクリーニング現地レポート
http://www.universal-music.co.jp/paul-mccartney/news/2013/05/23_report/

ポールのTwitterのアカウントに投稿された画像
入り待ちに遭遇するポール
登壇したポール
他の映画館でも冒頭でポールによる紹介映像が流れます。これはDVD/Blu-rayには含まれていないものです。さらに映画館で上映される本編はBlu-rayそのままでは無く、専用に制作されたDCP(デジタル・シネマ・パッケージ)だそうですから、解像度が最高で4K(フルHDの4倍)で24P(秒間24フレーム)のままで視聴できるということで、家庭では味わえない現状考えうる最高画質で楽しめます。

日本では全国22か所で5月16日、5月17日に上映されます(追記:西宮では5月22日まで、六本木はその後5月30日まで上映が延長されました)。

映画館の様子

http://www.tohotheater.jp/theater/009/info/event/rockshow.html
TOHOシネマズ六本木ヒルズ内で最大規模の646席を有するSCREEN 7での上映でした。
座席は6割~7割が埋まっていたと思います。年齢層は幅広かったですが、昨年の「Magical Mystery Tour」上映に比べて平均年齢が低く、女性の割合が多いように見えました。

ポールのハイテンションな言動に笑いがそこかしこで聞こえ、最後の曲が終わった時には拍手が巻き起こる一体感のある雰囲気でした。

ロビーでは劇場限定パンフレットが800円で販売されており、チケットを持たなくても購入可能です。僕は買いませんでした。通常の映画パンフレットより一回り小さいようでした(B5サイズ?)。その後売り切れと補充を繰り返したようです。
http://paulrockshow.tumblr.com/post/50471679032/5-16-5-17
TOHOシネマズ六本木のロビー

ポール・マッカートニーからのメッセージ

本編に先立ち映写されたポールからのメッセージ(日本語字幕付)は約4分と想像より長かったです。以下のような内容でした。うろ覚えです。
  • Wingsは何も無いところから始まって最初は大変だったがついにアメリカツアーにまでこぎつけられて幸せな時期だった
  • リンダ(死別した妻でウイングスの一員)は当初まったくの初心者で批判も多かったが、最終的にはコーラスも演奏も完璧だった。ビートルズだって最初は素人でハンブルクで修行したのだからみんなで成長するのは慣れっこだ
  • 何よりリンダはチアリーダーとして会場を盛り上げてくれて、バンドの精神的支柱になった
  • イギリスのバンドにとって常にアメリカでのツアーは夢である
  • シアトルでの入場待ちの長蛇の列や大観衆には興奮した
  • 当時リリースしたばかりの「Silly Love Songs」がツアー中にヒットして、徐々に観客の反応が変わっていくのが面白かった
  • ホーンセクションと一緒に演奏したのはこの頃だけだったので「Call Me Back Again」は印象的だった
  • ジミー(ギター)やジョー(ドラム)の素晴しい演奏が映像で見られて嬉しい
  • 今回の映像や音声の刷新には満足している
  • 携帯電話の電源は切って見てね
リンダの話に多く時間を割いているのが印象的でした。

本編の感想

僕は「Rockshow」を1990年代半ばに一度VHSで鑑賞しただけですが、その時の印象は「赤暗い」「顔のアップが多い」「ベースの音が大きい」、でした。今回も印象はさほど変わりませんでしたが、「赤暗い」に関しては暗さの中にも髪の毛一本までディティールが確認できる場合があり(ピント次第)、高画質化の威力が感じられました。ただ、赤い照明の時は一気に解像度や色の再現性が低くなるようでした。また、完全版として追加された7曲は他に比べて低画質・粗編集に見えました。
「顔のアップが多い」のはビートルズの映像もそうなので、時代のせいでしょうか。高画質化のおかげで情報量が増えて顔アップでも充分楽しめましたが、もう少し手元やメンバー間のやりとりが見たいです。
「ベースの音が大きい」は少し低減されたように感じました。映画館の音響のせいかもしれませんが、リミックスしたせいかもしれません。音は全体的にすっきりと聞きやすくなり、特にドラムのニュアンスや残響が感じられるようになりました。サラウンド化は四方八方からの歓声で実感しました。ただ映画館ということで音量が控えめだったのが少し残念でした。
日本語字幕はMCにも歌詞にもありませんでした(日本版のDVD/Blu-rayには付属)。

映像の中のポールは自信に満ち溢れていて楽しくてしょうがないという様子です。他のメンバーも曲ごとの自分の役割に誇りを持っているように見えます。
演奏も申し分ないですが、これはおそらく後から編集してあると思います。YouTubeで当時のライブ映像を見るととくにリンダ・マッカートニーの演奏やコーラスに難があるようでした。また、映像も複数公演日のものをつなぎ合わせてあるようで、1曲内で持っているベースや衣装が変わっていることもありました。
ビートルズ解散後のポールのベースというとやはりこの映像での音が象徴的ですが、どうやってこの弾力のある音を出しているか興味があります。リアピックアップをビートルズ時代のものから変更しているのでそのせいでしょうか。ピックアップセレクターはセンターのようでした(=フロントとリア両方のピックアップを使う)。

「Go Now」で1本のマイクで楽しそうに歌うポールとリンダ、その次の曲「My Love」でコーラスをするリンダ(=My Love本人)を見たらしんみりしてしまいました。

どうやら音は単なるリマスターではなく、編集されているようです。
例えば旧版では「Jet」のリンダによるキーボードソロは終盤のフレーズがスタジオバージョンの半分の手数でしたが(速過ぎて弾けないから?)、今回上映されたものはスタジオ版と同様になっていました。CD「Wings Over America」からこの音を持ってきたのでしょうか?
以下は旧版の該当箇所の映像です。
http://youtu.be/HFjTN11CnNY?t=2m18s

登場するビートルズナンバー

ポールにとってビートルズなど不要と思わせるほどの圧巻のステージですが、ビートルズ時代の曲も取り上げています。ビートルズの他のメンバー色が薄い曲・ライブで演奏したかった曲・当時のポールやアメリカにとって大事な曲を選んだような気がします。以下の5曲が収録されています。

Lady Madonna ※完全版のみに収録
The Long And Winding Road ※完全版のみに収録
I've Just Seen A Face
Blackbird
Yesterday

Lady Madonna

基本的にビートルズ時代のアレンジを踏襲していますが、より跳ねた演奏になっています。エンディングが追加されているのが特徴的です。途中「 Listen to the music playing in your head」でメロディを変えて叫ぶというのは現在のツアーでも定着しています。

The Long And Winding Road

ビートルズのアルバム「LET IT BE」収録バージョンのフィル・スペクターのアレンジにポールが激怒したというのは有名なエピソードですが、ここではポールの意図通りのアレンジにしているということでしょう。「LET IT BE」版での間奏の壮大なフレーズは無く、代わりにトランペットのソロになっています。このツアーらしく全般的にホーンセクションが音に厚みを加えています。
イントロにピアノのアドリブソロ、後半で「Don't keep me waiting」という掛け合い、エンディングに「LET IT BE」版とは異なるコード進行、という現在に至るまでの同曲のポール版アレンジの基本が既にこの時点で完成されています。 1990年代以降はさらに「Still they leads me back」のところでメロディを盛り上げてハモるというのも定番になっています。

I've Just Seen A Face

イントロが省略されコミカルなエンディングが追加されていますが、基本的にビートルズ時代の演奏に忠実です。
ビートルズのアルバム「Help!」収録バージョンのキーはAでしたが、ここでは1音低いGで演奏されています。
ポールはWings解散後もキーGで演奏しているので、「Help!」ではギターの2フレットにカポタストを装着してGのフォームで演奏していたことが想像されます。

Blackbird

この次の「Yesterday」のためにギターのチューニングを一音下げているので、キーは本来のGではなくFで演奏されています。この曲は2000年代のポールのツアーでも頻繁に取り上げられていますが、ここではビートルズ時代に近い躍動感のある演奏です。間奏(いったん演奏が止まる)がカットされています。

Yesterday

ビートルズのアルバム「Help!」収録バージョンと同じく一音下げたギターで演奏しています。弦楽四重奏の代わりにホーンセクションが色を添えています。サビが1回分カットされています。

2013年5月29日のリリース内容

2013年5月29日は「ロック・ショウ」関連作品が一斉にリリースされます。

『ロックショウ』(DVD/Blu-ray)
・特典映像「A Very Lovely Party」収録
・ハードブックカバー&32ページブックレット仕様
・日本語訳詞字幕


『ウイングス・オーヴァー・アメリカ』(通常版/スーパー・デラックス・エディション)
スーパー・デラックス・エディションには以下の特典がつきます。
・4種類のブック(総計約400ページ)
・DVD(1979年TV放映のドキュメンタリー、最新短編ツアールート・フォト・ムービー)
・別会場での8曲の演奏を収めたCD(これまで未発表)
・24bit 96kHzリマスター・ハイレゾ音源の全36曲ダウンロード権利
・こまごまとした紙片

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