ビートルズのポール・マッカートニーっぽいベースの音を出す方法

 海外のこんなページをご紹介いただきました。

How to Play Bass Guitar like Paul McCartney (Beginner Guitar HQ) 

「ポール・マッカートニーみたくベースをプレイする方法」という内容で、ギター初心者向けアフィリエイトブログの1記事です。

これに日本代表として(?)「甲虫楽団」のベース担当が対抗して「上手い!」「天才!」との呼び声が高いポールマッカートニー奏法を論じてみようと思います。ビートルズコピーバンドのポール役のみなさまからのご意見ご感想お待ちしております。

甲虫楽団による研究の成果はYouTube甲虫楽団チャンネルでご覧ください!

※当ブログにおける「コピーバンド」の定義は→こちら

ピック で弾く

まず何といってもピックで弾くことが大事です。少なくともビートルズ時代は9割以上ピックで弾いています。レコーディングではピックで弾いている曲も何故かミュージックビデオでは指弾きであてぶりすることが多いポールです。指弾きの方がかっこいいと思っている気がします(単に当てぶりでは照れ隠しで手を抜いているだけという説もあります)。ギターからベースに移行していったので生粋のベーシストのようには上手に指で弾けなかったのかもしれません。

「Help!」のMVで指弾きするポール

そのせいか、音数が少ないバラードではライブでも指で弾くことがあります。この場合はネックの最下部に親指を当てて安定させて弾きます(上掲の写真参照)。

ピックで弦をはじく位置

あえてピック弾きをするベーシストはより硬い音を出すために弦の端っこ、ブリッジ付近で弾くことが多いですが、ポールはこれまたギターの癖なのかけっこう中央付近で弾いています。

1961年。そもそも抱える位置が高い

1963年。これ以降ピッキング位置が少し後ろの方に下がる
デビュー当時はHofner(ヘフナー)のバイオリンベースをフロントピックアップの近くで弾いていますが、その後ピッキングする位置が少し下がりました。 しかし、1965年に手に入れたRickenbacker(リッケンバッカー)のベースはリアピックアップの上にフェンス(カバー)があってその上では引けないので、再びかなり前の方で弾くことになります。


 いずれにせよ、ポールっぽく弾くためには弦をしっかりはじいて振幅を味わう感覚が必要だと思います。そのためにもピックは固く厚いものを使用することをお勧めします。

ピッキングの仕方

ビートルズ初期のポールはかなり速い曲でもダウンピッキング(下方向に振り下ろす)一辺倒で弾いています。この方が粒が揃って疾走感が増すのであえてダウンピッキングに固執する人は現代にもいます。

ポールは1965年ごろからオルタネイトピッキング(弦の上の一往復で2回弾く)を積極導入したので、単にできなかったのを練習して修得したということなのかもしれません。以降、ピッキングに余裕ができたのかフレーズがメロディアスになっていきます。1967年からはオルタネイトピッキングの醍醐味の一つであるゴーストノート(指板側の指を浮かす等して音程感の無い音を出す)を多用しだします。
この辺の年代による変化を意識するとよりポールっぽくなると思います。

指板側の指の使い方

ポールが弦をしっかりはじいていることは前述しましたが、同じ発想でポールは指板側の指を次の音ギリギリまで押さえて充分に音の長さをねちっこく取ることを好むようです。この際長い音には癖のようにビブラートをかけます(『Rubber Soul』以降)。ポールのビブラートはクラシックギターでよく行われるように弦と並行に指を動かすタイプです。弦を道連れにして引っ張るのでかなり力が要ります。そのため周期はゆっくり目になります。そこもポイントです。エレキギターで一般的な弦と垂直に動かすチョーキングビブラートはより音程変化を強くしたい場合やブルージーな味付けを行う場合に飛び道具的に使うようです。

次の音ギリギリまで押さえる弊害として音と音との切れ目があいまいになってしまい躍動感が無くなるので、Hofnerの場合はピッキング時に手のひらを当て(スポンジを挟むこともあり)、Rickenbackerの場合はピックアップフェンスが邪魔で手のひらを当てられないので備え付けのミュート機能を使って音を急激に減衰させて弾いています。なお、ポールが指板を押さえる際には握るように親指が反対側から飛び出す「ロックフォーム」であるのも特徴的です。これもミュートに加担していると思います。
また、もう一つの弊害として次の音まで指の移動が間に合わないこともしばしばなので結果的にスライドが多く発生します。意図せずスライドしてしまったということも多そうです。

なお、上掲の映像では52秒ごろに、同じ音を連続で弾く際にその先の展開に備えて押さえる指を入れ替える、という典型的な行動が見られます。

フラットワウンド弦

ベース弦について現代はラウンドワウンド弦が主流ですが、当時はフラットワウンド弦しかなかったようです。ポールの音を出したければ使用弦はフラットワウンド弦一択です。

使用ベース本体(ヘフナー/リッケンバッカー/ジャズベース)

フラットワウンド弦をピックで弾きほどよくミュートを効かせればそれだけでかなりポールの音に近づきますが、ポールと言えば使用ベースが特徴的なので、やはりHofner 500/1(ヘフナー)かRickenbacker 4001S(リッケンバッカー)が欲しいところです。ポールは両者ともネック間近にあるフロントピックアップを使用し、音色も両者で大きく変えることはしていない印象なので、結局どちらを買っても満足できると思います。なお、後世のRickenbackerの代名詞になっているいわゆるゴリゴリサウンドは他のアーティストがリアピックアップを使って出したものであって、ビートルズ時代のポールはRickenbackerのリアピックアップを使用していない気がします。少なくともビートルズ時代のゴリゴリサウンドはRickenbackerではなくFender Jazz Bass(ジャズベース)によるものと思います。ここはよく勘違いされるポイントです。

Hofner 500/1やRickenbacker 4001Sに手が出なければ他のフロントピックアップがあるベースにフラットワウンド弦を張れば充分そうですが、そういったベースはなかなか無いので結局HofnerのIgnition Bassが最もコストパフォーマンスが高いと思います。

まとめ:最後は気持ち

ここまで述べたことを実践すればかなりビートルズ時代のポールに近い音が出せるはずです。そこからさらに先を目指す場合はポールになりきって取り組むしかありません。自分が見聞きしたポールの言動や仕草の記憶を総動員して「ポールだったらどう考えただろう」、「ポールだったらどうしただろう」と想像すると見えてくるものがあると思います。

 楽器の準備ができたら次は楽譜ということで、ベースのTAB譜入手方法については別記事をご覧ください。↓
ビートルズのベースTAB譜入手方法(無料/有料)を現役コピーバンドが解説

 

コメントを投稿

2 コメント

  1. 読みごたえがあってとても面白く読ませていただきました。勉強になりました。これからもこの手の記事をたくさん書いてくださいませ。

    返信削除
    返信
    1. コメントありがとうございます。自分だったらこういう記事が読みたいと思って書きました。今後ともよろしくお願いします!

      削除