レビュー:『マッカートニー 3,2,1』初心者と超マニアにおすすめ(登場曲リストあり)

『マッカートニー 3,2,1』(2021年12月22日17時ディズニープラスで解禁)についてまとめます。ディズニープラスに加入すればいつでも何度でも視聴できます。前月の『ザ・ビートルズ:Get Back』に続いてディズニープラスは随分ビートルズに力を入れている印象です。

ポール・マッカートニー、6部構成の音楽史『マッカートニー 3,2,1』12月22日(水)ディズニープラスのスターにて配信!(ディズニープラス)


『マッカートニー 3,2,1』どんな作品?

ポール・マッカートニーが薄暗いスタジオで楽器を弾いたりマルチトラック音源を再生したりしながら、ポールの音楽人生や楽曲制作秘話をリック・ルービン(音楽プロデューサー)に語る番組です。
 
その他、以下のような特徴があります。
  • 30分前後×6話で構成。どの話からでも視聴可能
  • 各話のテーマは明確には決まっていないように見える。一応ポールの歴史を古い順に辿っている雰囲気はあるが頻繁に時代が前後する
  • 9割ビートルズ時代の話(解散後の話は少ない)
  • ポールとリック・ルービンの対話のシーンは全て白黒(薄暗く、照明が移動しながら照らす)
  • 対話シーンの合間に頻繁に映像や写真がカットインされるが、それらは極力カラーのものを使用している(本来白黒のものをカラーに着色していたりする)現代の白黒の映像との対比を狙っていると思われる
  • ポールやリック・ルービンがマルチトラック音源を流しながらミキシングコンソールのボリュームを操作するので、リリース版では聴けない音のバランスで楽曲が流れるのが必見(ベースだけ、ボーカルだけ、なども聴ける)
  • 流す音源はリック・ルービンが選曲しているようである。ミキシングコンソールの周囲に貼られた複数の長いテープには各音源のトラック割が書いてある(1=ボーカル、2=ギター、など)
  • 2020年撮影、初出は2021年7月Huluからの配信。日本で視聴可能になったのは2021年11月ディズニープラスにて
  • 何故マッカートニー321という名前になったかは不明。2020年にリリースされたソロアルバム『McCartney III』(マッカートニースリー)と直接的な関係は無いよう

2020年末に公開されていたトレイラー(当時はタイトル不詳だった)を見ると、エレキギターやドラムを演奏するポールなど、完成版には含まれない映像がまだまだあることがわかります。追加エピソードを期待したいです。↓

 

 

『マッカートニー 3,2,1』は誰向け?

 ポールのエピソードトークは50年間熟成された「すべらない話」なので、聞き飽きたファンも多いと思います。ポールの生演奏やマルチトラック音源もすでに過去に見聞きしているものが多いので、ある程度ポールを追っかけているファンにとっては退屈に感じるときがあるかもしれません。
 
とはいえ初めての発言や音源もあるにはあるので、超マニアの方はそれらを漏らさずキャッチしてしばらくごぶさただった新鮮な感動が味わえると思います。
一方、ビートルズ初心者(と自認している)の方にとっては興味深い話・演奏・音源のオンパレードで興味は尽きないはずです。
 
まとめますと今作がお勧めの方は以下のような人です
  • ビートルズ初心者(リリースされいてる音源以外の事に少し興味が出てきた人)
  • ビートルズ超マニア(今作初出の情報を鋭敏に察知できる人)
  • おなじみのエピソードをポール本人の口から聞きたい人
  • ポールがビートルズの他のメンバーの楽曲やエピソードについて語る様子が見たい人
  • 2020年代のポールの動く姿に飢えている人

 

『マッカートニー 3,2,1』感想

楽器やミキシングコンソールに囲まれて楽曲について語る、というスタイルは過去何度も目にしていますが、ポールの趣味なのでしょうか?

ポールの印象的な発言

(数字は話数)
  1. 「All My Loving」のレコーディングでジョンが特徴的な三連符のギターを提案したときのことを覚えている
    1995年ごろ、デビュー前に一緒に作った曲「Thinking of Linking」でジョージと盛り上がった
  2. 「Eleanor Rigby」が上手く歌えずダブルトラック(2回歌って重ねる)でごまかした
    最近の録音機材は過大入力を上手に処理できてしまうのがつまらない(昔の機材の方が面白かった)
  3. ビートルズはオーディション番組で一気にスターになったわけではなく、下積みから徐々に有名になったので対処にとまどうことは無かった
  4. "Maxwell's Silver Hammer"の間奏のピアノは速過ぎるので自分が弾いたとは思えない。ジョージ・マーティンでは?
    "Another Girl"のリードギターが誰かわからないが、ミスがひどいので自分かも
  5. 学生時代、「趣味は作曲」と言っても周りは誰も取り合わなかったがジョンだけは違った。
    ビートルズ時代、自分が作った曲じゃないのに口出しして疎まれていた。あげく「じゃ 自分でやりなよ」と言われる
  6. 故郷のリバプールはケルトの影響を受けている。ケルトは口頭伝承なのでビートルズも楽譜を使わない

 

ポールの印象的な歌唱シーン

  • 「Let It Be」パンデミック後初披露
  • 「This Boy」ジョンの歌い上げるパートを口ずさむ(カメラも「これは必見」とあわててズーム)
  • 「Yesterday」ハミング 2018年東京ドーム公演を最後にライブで封印

第4話から急激に面白くなる

正直言って、1話~3話は既知のエピソードばかりで退屈になりましたが、ミキシングコンソールの操作とリック・ルービンの追求が主体になっていく第4話以降がとても面白いです。「Come Together」について語るシーンが今シリーズのハイライトでしょう。
  • 下ハモリがポールであることが確認できた(ジョン説も根強かった)
  • 間奏のエレクトリックピアノはポールが演奏と証言(ジョン説も根強かった)
  • 録音を最後まで聴けた
  • ポールがベースを弾くところを見られた(だが運指は原曲と違う…)
  • "Come Together"の最初期バージョンをジョンから披露されたとき「ちょ、ちょ待てよ。それチャック・ベリーの曲!!」と突っ込むポールに笑った
1話から6話に向かってある程度対話の時系列順になっていると思うので、ポールとリック・ルービンが次第に温まっていったのかなと思います。
 

リック・ルービンはあっぱれだが

音楽プロデューサーとして成功しているリック・ルービンの感受性や包容力が今作の深みを増していると思います。しかし、ビートルズの音源に対する知識はごく一般的なレベルのようで、長年ファンが疑問に思っている点をあまり聞き出せていないのは残念です。その中でも、事あるごとに音源中の演奏パートを誰が担当しているのかポールに聞いているのはグッジョブです(それに対するポールの回答は必ずしも満足できませんが…)。

終活?

今年のポールは今作や書籍「The Lyrics: 1956 to the Present 」 など、過去を振り返る活動が目につきます。コロナ禍で今後を見据えた結果、終活モードに移行したんじゃないでしょうね??まだまだ来日公演期待しています!

全話見てしまってまだまだ味わいたい!と言う方はポールとリック・ルービンがインタビューに答えている以下の記事がおすすめです。
 

『マッカートニー 3,2,1』登場曲一覧

各話に登場する曲をまとめます。
※★はビートルズやポール・マッカートニーの演奏曲以外
 

1. "These Things Bring You Together"

ポール・マッカートニーが、当時の人間関係に改めて触れ、初期の頃について語る。

Here, There And Everywhere
All My Loving
Band On The Run
Chicago (That Toddling Town)★
When The Red, Red Robin (Comes Bob, Bob Bobbin' Along)★
Getting Better
We Can Work It Out
Michelle
Milord★
Good Vibrations★
Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band
With A Little Help From My Friends
Something
Thinking Of Linking
While My Guitar Gently Weeps
Ob-La-Di, Ob-La-Da

 

2. "The Notes that Like Each Other"

ポール・マッカートニーが、作曲に対する独自のアプローチについて語る。

Something
Whole Lotta Shakin' Going On★
Let It Be
Eleanor Rigby
Brandenburg Concerto No.2 Allegro assai★
Penny Lane
Lady Madonna
Band On The Run
I.T.T. (International Thief Thief)★
Why Black Men Dey Suffer★
Waterfalls
Life Can Be Hard
Blackbird

3. "The People We Loved Were Loving Us"

ポール・マッカートニーが、ビートルズに影響を与えたアーティストたちに敬意を表する。

Back In The U.S.S.R.
I Want To Hold Your Hand
Good Golly, Miss Molly★
Baby's In Black
All I Have to Do Is Dream★
And I Love Her
Oh, Pretty Woman★
It's Over★
You Really Got Me★
Just Like Tom Thumb's Blues★
Hey Joe★
Lucy In The Sky With Diamonds
Within You Without You
Dear Prudence, Won't You Come Out And Play
Hey Jude

4. "Like Professors in a Laboratory"

ポール・マッカートニーが音楽的な実験と限界を突破するビートルズの活力について語る。

Tomorrow Never Knows
Nowhere Man
Maxwell's Silver Hammer
A Hard Day's Night
What'd I Say★
I Saw Her Standing There
Let It Be
Get Back
Another Girl
Live And Let Die
Check My Machine
You Know My Name (Look Up The Number) 


5. "Couldn't You Play it Straighter?"

ポール・マッカートニーが、バンドにおける自分の居場所を見つけることや、その進化について語る。

Rain
Lovely Rita
I Lost My Little Girl
Oh! Darling
This Boy
Something
Taxman
What's Going On★
You Can't Catch Me★
Come Together
Junk
Maybe I’m Amazed
Helter Skelter


6. "The Long and Winding Road"

ポール・マッカートニーが、ジョン・レノンからソロ活動に至るまでの曲作りの進化を語る。

Yesterday
Kansas City
If You Gotta Make A Fool Of Somebody★
And Your Bird Can Sing
Here, There And Everywhere
A Day In The Life
Water Walk★
The End

Spotifyにプレイリストがあります↓


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