2012年9月10日月曜日

イギリスの数学者が「A Hard Day's Night」のイントロのコードを解明したと主張

「A Hard Day's Night」のイントロのコード一発は強烈で不思議な音だっただけに、これまで数多くの人が解明しようと挑んできました。1990年代まではG7sus4という説が有力だったように思います。
それがここ数年新たな切り口でこのコードを解明したと主張する人が増えて来ました。
A Hard Day's Nightのイントロの弦を押さえているジョン・レノン
A Hard Day's Nightのイントロの弦を押えている?ジョージ・ハリスン
きっかけはカナダのダルハウジー大学で数学教授を務めるジェイソン・ブラウン氏の論文でしょう。2004年に発表されていましたが一般的に知られるようになったのは2008年になってからでした。日本でもネットで報道されていました。

Mathematics, Physics and A Hard Day’s Night
http://www.mscs.dal.ca/~brown/n-oct04-harddayjib.pdf

ここでは数学者らしくフーリエ変換を行って構成音を特定し、そこから各楽器の演奏内容を推定しています。とはいえ楽器演奏やビートルズの録音方法についての調査が足りないようで違和感のある内容であったことは否めません。
2013年2月16日追記
2013年2月15日放送 22:00 - 22:45 NHK総合「頭がしびれるテレビ 名曲は数学でできている!?」にジェイソン・ブラウン氏が登場し本件について語りました。こちらの投稿をご参照ください。http://blog.kouchu.info/2013/02/JasonBrown.html
今回この説に異論を唱えたのはイギリスのリーズ大学数学講師ケヴィン・ヒューストン氏です。2012年9月5日に自身のブログに解説ビデオを掲載しました。



ジェイソン・ブラウン氏の分析の問題点を指摘しながら持論を展開しています。フーリエ変換を使用している点は両者とも同じでケヴィン・ヒューストン氏は専用ソフト「melodyne」を使用して解析しているとのことでした。上記のビデオでは視覚的にわかりやすいよう同種の目的の他のソフト「Transcribe!」を使用しています。

少しさかのぼって2011年12月にはギタリストのランディ・バックマンが自身のCBCラジオ番組「Guitarology 101」でこのコードを解説し、その再現性と信憑性の高さが話題になりました。こちらも日本でネット報道されていました。



現代のビートルズ音源を一手に引き受けてるジャイルズ・マーティン(ジョージ・マーティンの息子)にAbbey Road Studioに招かれたときに「A Hard Day's Night」のイントロのマルチトラック音源を聴かせてもらったことが根拠になっているようです。とはいえ、「A Hard Day's Night」は全ての楽器を別々に録音したわけではないので、楽器ごとの音を聴いたとすれば「LOVE」や「The Beatles RockBand」用にデジタル処理で楽器を分離したトラックを聞いたのかもしれません。ピアノについて触れていないことも気がかりです。

おそらくこのニュースに触発されたのでしょう、その月のうちにWaynus of Uranusという人物(?)がより多くの音源(「LOVE」、BBCスタジオやコンサートでの演奏)から分析した結果を発表しました。


分析結果については専用のWebページを作成して説明しています。

A Hard Day's Night Chord
https://sites.google.com/site/ahdnchord/home

ジェイソン・ブラウン氏やランディ・バックマンの説の問題点も指摘して自分の説が正しいことを主張しています。確かにこの説が一番納得感があります。ただ、3者ともジョージの12弦ギターは基本的にFadd9のフォーム(エンディングのアルペジオと同じ)という点では一致しています。
実は今回のケヴィン・ヒューストン氏の説はこのWaynus of Uranus説とまったく同じです。ケヴィン・ヒューストン氏のビデオにWaynus of Uranusについて触れているので単なるパクリというわけでは無さそうですが、最終的に同じ結果となるなら今改めて世界に公表するものでは無いかもしれません。上記サイトを見るとWaynus of Uranus説は2010年には完成していた可能性があります。

Waynus of Uranus&ケヴィン・ヒューストン説による肝心の解析結果はこうです。

ギター:F2 A2 F3 A3 C4 G4 (6弦から1-0-3-2-1-3フレット 6弦は親指で押さえる)
※ジョン・レノンのアコースティックギターとジョージ・ハリソンの12弦ギターは同じフォーム
※実際は12弦ギターの複弦によりF4 A4も足され、F3 A3 C4 G4は二重になる
ベース:D2 (3弦5フレット)
ピアノ:D2 G2 D3 G3 C4※ペダルを踏んで残響を長くする


10 件のコメント:

  1. 素晴らしい!思いもつかないコードですね。長年の疑問が解消しました!

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  2. ある日本のミュージシャンが1990年前後の雑誌で書いていたのですが
    今、チューナーで平均律でジャストに調弦しますよね。
    この響きは音叉でチューニングしないと再現できないって。

    とはいえ自分はやったことないので検証していないのですが。

    ちなみに
    ギターチューナーが普及したのは1980年代半ば。

    チューニングはプロでも1080年前半まで意識がいい加減だったらしく、ある日本の別のギタリスト(T中さん)が昔の録音を聞いて悔しがっていました。

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    1. もとい
      >1080年前半 --> 1980年代前半

      最近老眼なんで(笑)

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  3. 今の人は知らないと思うので念のために追記しますが

    1980年代前半に自分は初めてフォークギターを買ったのですが

    その頃は、
    Aの音叉もしくは
    チューニング笛?(正確な名称はなんだったか)
    ハモニカの6音だけみたいなものでチューニングしていて

    音叉の場合、5弦を合わせた後
    6,5,4,3弦は5フレット7フレットのハーモニクスで
    2,1弦は6、5弦7フレのハーモニクスと2,1弦の実音で
    チューニングするのがフォーク系の教則本に書いてありました。

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  4. たびたびごめんなさい
    自分でも拾ってみました。

    6弦から (5) 5 3 5 3 3
    結局G7sus4(/A)ですね。

    6弦はなくてもいいけど途中から共鳴して響くんですよね。
    記事中の3弦のラは自分には聞こえません。

    12弦ギターなく6弦ギターでコピーする場合、試しにこれも弾いてみてね。

    それで音叉とハーモニクスでチューニングしたとき
    平均律チューニングとの誤差を計算しました。

    平均律との差(セント)
    6弦2セント
    5弦0セント
    4弦-2セント
    3弦-4セント
    2弦4セント
    1弦2セント
     
    それで自分の経験上20セント違うと気持ち悪いのですが
    10セント程度はそんなでもなかった気がします。

    ただ2弦と3弦が8セント差も違って、私の押さえ方だと
    ドとレの2度で本来なら濁る音だけど8セント分広くなるので
    少しだけ濁りが抑えられます。

    ちなみに平均律、純正率で問題になるミの音は-14セント差です。

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  5. さらにたびたびごめんなさい。

    耳コピソフトで見て気が付いたのですが
    最初のコードが完全に終わってから歌が始まってるんです。
     
    つまりイントロコードだけ編集でダビングされた可能性があります。
     
    これはUS版のhelpのイントロでもそんなコラージュ?ありまよね。 
     
    ひょっとしたらイントロが弱くて後で足された・・・・

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  6. 本当にたびたびごめんなさい。
     
    自分はbeatlesの詳しいファンではないし
    エンジニアの要素も弱いのですが

    まずビートルズの録音について
    コンプレッサー(リミッター)がかけられていて
    全体の録音にもたぶんかけられています。

    なのでピアノらしき音が聞こえるのですが
    (自分にもピアノに聞こえます)
    アタック(音の出だし)がないです。

    これは考えるに
    「トータルコンプをかけて聞こえなかった」
    ところがこの曲はピアノは入っていません。

    「なのでピアノをペダルを踏んでリバーブとして使った」
    もしくは
    「ギターの音がコンプで余韻の音量があがってピアノのように聞こえた」
    (これは無いかも)
    「ダビング時に切られた」
    などいろいろな憶測ができます。

    しかもいくつものバージョンがあり、入っている音が違う可能性があります。

    磁気テープは劣化するし別のトラックに音が移ります。
    しかも没トラックをリマスターで使っている可能性もあります。
     
    2000年前後だっけ、リマスターの雑誌記事で読んだのは
    録音テープをアビーロードスタジオでスピーカーで流して
    そのスタジオの残響音を含めて再録音するみたいな
    かなり無茶なことをやっていて、
    だからどんな音が付加されていても不思議はないです。
     
    なので本来なら60年代発売時の音源で考えるべきです。
     
    さらにレコードになったものとライブでのコードは押さえ方が違う可能性があります。
    (youtubeで見たライブだと1弦Fをハンマリングして3弦Gにも聞こえなくもないが本元記事の押さえ方っぽい)


    自分の聞いた音だと6弦の1fretファと3弦の2fretラは聞こえません。
    たまたま自分が聞いたバージョンがそうだったのかもしれません。

    本物はどうであれ、自分はコピーするとしたらどう弾くかが大切で
    2弦のレがないと違和感があります。
    だったらG7sus4(6弦抜き)を弾いた方がいいと思います。

    また自分にはポールのベース音が聞こえません。
    なのでベースはオクターブ上のレを弾いているのかもしれませんが、

    一つ謎があってハーモニクスのようにうっすらと
    ギターでいったら6弦5フレット(5弦解放弦)のラの音程が聞けるのですが
    ベースでラもしくはドロップチューニングしたレの倍音が共鳴しなければ聞こえないはずです。

    でも低い音が聞こえません。
    なのでベースがイコライザーで削られた、
    もしくはマルチトラックテープの音が
    うっすら混ざってしまった可能性が無いわけではないと思います。




    最後に自分が聞いたヴァージョンですが
    たまたま最初に聞いたyoutubeです(笑)

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  7. 本当にたびたびでごめんなさい。
    ごめんなさい。また文章も多少おかしくてごめんなさい。

    実は耳コピソフトをモノラルで再生して
    ステレオで聞いていませんでした。

    右のアコギはまだ少しクリアに5弦解放にラ当たる音が聞こえます。
    コンプのせいか倍音なのか途中から大きくなります。

    結論、自分がコピーバンドをやるのなら、まず
    アコギ(6弦ギター)5弦0、4弦3、3弦0、2弦1、1弦3フレット
    エレキ(6弦ギター)5弦5、4弦3、3弦5、2弦3、1弦3フレット
    で合わせて違ったら調整します。
    アコギ3弦は何を弾いているかは良くわかりません。
    若干解放のソに聞こえます。

    それで12弦ギターで3弦ラは否定します。なぜなら復弦オクターブ上のラは明らかに聞こえないから。

    またピアノの音ですが、少し歪んだギターにコンプがかかるとピアノに聞こえるのかもしれません。

    尚、ライブバージョンはFadd9(6弦は弾いているかどうかはわからないけど)であっているかもしれません。




    そもそも、なんでこのコードの事を書いているのかというと
    あるワイドショーでビートルズのコピーの中継がありました。

    ところが最初のコードが素人めに聞いて違ったのね。
    どう考えてもビートルズをかなり好きな人たちなのに。
     
    「どういうこと???」それが始まりです。

    録画しなかったんで何を押さえていたのかはわからないし、
    ギター1人で6弦ギターだったからかもしれません。

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    1. 追記、上のアコギが違った場合
      アコギ(6弦ギター)の候補は
      3弦が0,3,5フレットのどれか
      2弦は1か3フレットのどちらかだと思っています。

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    2. 非常に含蓄のあるコメントありがとうございます。

      この記事の説を知った後でも、実際に演奏してみると
      やはりG7sus4の方がしっくりくる、という人は多いようです。

      A Hard Day's Nightについてはある程度トラックを分離した
      音源が流出しているので以下に共有します。
      https://youtu.be/IMnnwvh-4tY
      https://youtu.be/RdEI8Qf0JpU

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