レポート:「WANNA BE祭 -なりきりビートルズ!ヤァ!ヤァ!ヤァ!」その1 事実編

2013年3月30日に舞浜アンフィシアターで開催された「WANNA BE祭 -なりきりビートルズ!ヤァ!ヤァ!ヤァ!」のレポートです。まずは事実関係から整理します。セットリストは昨日の投稿をご覧ください。
舞浜アンフィシアター全景

当日のスケジュール

  1. 開場 1時間
  2. オープニングアクト(公募バンドによる演奏) 10分3曲まで×バンド数(昼公演=3、夜公演=2)
  3. スペシャルゲストBOX(ボックス)のステージ 約30分
  4. 休憩  15分
  5. The Fab Four(ザ・ファブ・フォー)のステージ 約1時間45分
甲虫楽団は夜公演のトップバッターとして出演しました。以下がそのときの様子です。

甲虫楽団のリハーサル時に側でキーボードの機材調整をしていたThe Fab Fourのジョン役、ロン・マクニールが演奏後にわざわざ声をかけてきて褒めてくれました。The Fab Fourの演奏面を支えている彼に評価してもらえて光栄でした。

会場の様子

  • スペシャルゲストのBOXまではステージ後方で演奏し、The Fab Fourは前方の円形ステージで演奏
  • 円形ステージを取り囲むように客席が配置されているが、両端のブロックは不使用(その席からでは演奏が見えにくいためと思われる)
  • ロビーの一画ではビートルズ専門店Get Backの手によるものと思われるビートルズ日本公演の写真パネル展示とビートルズグッズ販売を実施
  • TシャツなどのThe Fab Fourグッズ販売あり
  • 昼公演終演後はロビー(前述のパネル展示の前)でThe Fab Fourのサイン会と握手会があったらしい(グッズ購入者限定?)
  • ロビーではビール各種を中心としたアルコールが販売されており、客席に持ち込むことが可能

The Fab Fourによるビートルズ日本公演再現

今回の目玉はビートルズ日本公演の再現でした。昼公演では冒頭の4曲まで、夜公演では全曲を当時のセットリストどおりに演奏しました。両公演とも当時司会を行ったE.H.エリック、の甥である岡田眞善が呼び込みを行い、The Fab Fourが楽器を持って入場してくるという演出です。
再現元は1966年6月30日夜公演のようです。衣装も同日のダークスーツ上下を再現していました。
Yesterdayを当時と同じバンド編成で演奏、I'm Down でジョンはキーボードを弾かない、以外はレコードを元にした演奏でした。見ていて気付いたビートルズ日本公演の再現内容としては以下のようなものがありました。
  • 演奏前にチューニングを行う
  • ジョージが手を振る(She's a Woman、Paperback Writer)
  • ジョンが演奏中にマイクの位置を手で押して直す(Rock And Roll Music、If I Needed Someone)
  • ジョンがBaby's In Blackのギターをネックの上側から押さえて弾く
  • MCの役割分担
  • ポールがMCで「ドウモ」を連発
  • ジョンのMC内容(Day Tripperの前など。この国ではシングルとして発売されてたっけ?)
  • ポールのMC内容(I'm Downの前など。手拍子、足拍子)
  • リンゴが不機嫌

MCは一言一句まで同じというわけではありませんでした。
ビートルズ日本公演再現は日本側のリクエストで実現したのだと思いますが、今回の来日のために初めて準備したのはどこまでなのか興味があります。衣装は既に持っていたのでしょうか。日本公演の映像は海外でも有名だと思いますがThe Fab Fourのメンバーは以前から内容を把握していたのでしょうか。

以下、The Fab Four Facebookページに掲載された写真




The Fab Fourのショーの傾向

全体として、「アメリカから見たビートルズ」を重視して構成されていると感じました。なりきりエド・サリヴァンの登場頻度が高く、The Fab Fourの演奏が1964年前半の曲を得意としているように見えることから、1964年2月のビートルズ初訪米~エド・サリヴァンショーへの出演~映画「A Hard Day's Night」公開までのビートルズ旋風がアメリカの人々の記憶に強烈に残っていることが想像できます。
HELP!の演奏前にいわゆるジェームス・ボンド・イントロが流れましたが、これもアルバム「HELP!」のアメリカ編集盤でしか見られない特徴です。ジョン・レノンがアーミージャケットを着てImagineやRevolutionを歌うというのもアメリカ向けの演出のような気がします。
日本人の感覚からすればもう少し「Rubber Soul」や「Let It Be」といったアルバムが重視されるのではないでしょうか。
そんなThe Fab Fourに日本公演の再現を行わせたのは今回の主催者の快挙だと思います。

衣装は多くの種類用意があるようですが、今回の日本公演で使用されたのは以下の4パターンでした。
  • エド・サリヴァン・ショー出演時の黒スーツ
  • ビートルズ1966年6月30日 日本武道館夜公演時のダークスーツ
  • Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Bandのミリタリールック
  • ビートルズ1969年最後のフォトセッション風(ジョンはアーミージャケット)


The Fab Fourの機材

セットはシンプルで、一段高くなったドラムセットの周りにビートルズゆかりのギター/ベース(のレプリカ)がズラリと配置され(これ自体が演出になっている)、曲によって持ち替えるという状態でした。キーボードも左右に配置しっぱなしで、トラブル発生時以外はステージ中にスタッフが出てきて手伝うシーンは無かったように思います。他の公演も同じ様なのでこれが彼らのスタイルということなのだと思います。
ギターのブランド、遠目に見える色味やサイケデリックなペイントはビートルズ本人のものに忠実でしたが、細かい仕様まではこだわっていないようでした。この辺のこだわりは日本人の方が強いかもしれません。ポールの弾くテキサン(アコースティックギター)が右利き用なのは好印象でしたが、何故かジョージのカントリージェントルマンはシングルカッタウェイでした(本来はダブルカッタウェイ)。前々日のお台場フリーライブではダブルカッタウェイでしたが。ちなみにこのフリーライブでジョンは本番当日には使用しなかった金色のピックガードのRickenbacker 325(いわゆるワシントンDC仕様)を使用していました。
ドラムセットは終始初期仕様の小ぶりなもの(1タム)を使用していました。実際は後期仕様のものも保有しているようです。
不思議だったのは舞台上にモニタースピーカーらしきものが無かったことです。オープニングアクトでは足元にスピーカーが転がっていました。長髪のかつらに隠れて全貌は見えませんでしたが、イヤモニ(イヤフォンから演奏しやすくなるような音を聞く)をしていたようです。耳元を直すようなしぐさを見ました。これによりステージ上がすっきりしていました。前述のフリーライブでは足元にモニタースピーカーを置いていたので、本家ビートルズ同様ライブではモニターを使わないようこだわっているというわけでは無いようです。
The Fab Four Facebokページで公開された日本公演の写真


The Fab Four Facebokページで公開された日本公演の写真
ヘフナーベースにはLa Bella社のフラットワウンド弦を使用しているそうです。上掲の写真を見るとBASSMANステッカーが別包装で見えます。もしかしたら保持しているヘフナーベースは1本のみで、必要に応じて毎回ピックガードを外してステッカーを貼っているのかもしれません。昼の部の後半のヘフナーベースにはBASSMANステッカーがあったように記憶しています。

上映された映像

衣装替えの時間を稼ぐときなどに舞台後ろの大型スクリーンに映像が流れることがありました。

ビートルズ日本公演ドキュメンタリー映像
有名な首都高速を走る~ホテルや日本武道館の周辺の様子~ビートルズの日本武道館への到着、を抜粋してThe Fab Fourによる「Mr.Moonlight」(録音音声)をかぶせていました。映像が終わるとE.H.エリックならぬ岡田眞善が登場するという流れです。

Sprout Of A New Generation 

昼公演の「Yesterday」演奏前に日本語字幕付で流れた映像です。随分とポールに熱を上げているようですが、「コネが無いと会えない」と冷静に分析しているのが面白いです。

The Beatles Medley  
イギリスの一般人がビートルズの曲を口ずさんで、後からテンポとキーを合わせた伴奏を重ねてあります。最後の3人は歌が上手い人を選んでいるようです。ミリタリールックに着替える前にエド・サリヴァンがこの映像を紹介していましたが何故そのタイミングでこの映像を流したか不明です。

当日参加者による感想・レビュー

オープニングアクトの司会進行を務めた玉利かおるさんのブログ記事です。
なりきりビートルズ
http://ameblo.jp/kaorutamari/entry-11501927477.html

協力パートナー「昭和40年男」のブログ記事です。
ビートルズのライブを観た!?
http://www.s40otoko.com/archives/21028

スペシャルゲストBOXの松尾清憲さんのブログ記事です。
THE FAB FOUR !
http://cinema1-returns.blog.so-net.ne.jp/2013-04-02

ザ・ファブ・フォー | レビューぴあ
https://r.pia.jp/review/pia/list/artist/CC200020

第一弾はここまで。第二弾では感想や気付いたことなど、より細かいことを記します。

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8 コメント

  1. 甲虫楽団様詳細なレポートありがとうございます。
    私は昼の部を見たので甲虫楽団様のライブは見られず残念でした。
    youtubeで甲虫楽団様の存在を知った次第です。
    fabfourのライブはもう正に本物を見ている感覚でした。ただ一つ残念だったのはジョンのキーボードが後半不調になり音が出なくなってしまったのが心残りです。
    今回の公演で忌憚無く正直に感想を申せば、BOXのオリジナル曲は私には余計でした。
    ビートルズ以外の曲は聴きたく無かったです。
    またいつかFabFourの日本公演を期待します。
    追伸、二人目のリンゴとジョージいわゆる二軍の二人が私服でスタッフとして動き回っていました。
    最初は分からなかったのですが、「あ、間違い無い、あれは二人目のリンゴとジョージだ」と気付き、声を掛けて握手をして貰いました。
    周りは誰も気付いていませんでした。

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    1. コメントありがとうございます。
      昼公演のキーボード不調は残念でしたね(後ほど詳しくブログに書きます)。そのせいで気まずい瞬間はあったと思いますがテンションを下げずにやりきったプロ根性には感動しました。
      BOXの出演は観客動員への期待もあったのでしょうが、主催者自身がが見たかったのかもしれませんね。
      リンゴとジョージの二軍が来ているとは知りませんでした。補欠として来ていたんでしょうか。一軍ですらノーメイク・ノーかつらだと楽屋で会ってもわかりませんでした・・・。

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  2. いつも楽しみにブログを拝見しております。
    今回のTheFabFour関連情報も、ほとんどこちらのブログで収集させていただき、大変助かりました。ありがとうございます。

    さて、私は昼公演を観ました。本当に語り尽くせない感動で、今もステージを思い出しては感慨にふけっております。(夜も観ればよかった、と貴ブログを拝読してちょっと後悔してますが…)

    おっしゃるとおりキーボード不調の問題があったとは言え、それをカバーして余りあるパフォーマンスだったと思います。
    前回の貴殿のコメントにもあったように、昨年の「レイン」のクオリティを凌駕していると私も思いましたし、むしろ次元が違うとさえ思えてしまいました。
    再来日をみんなで待ちましょう!

    では、レポートの続きを楽しみにしております。

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    1. コメントありがとうございます。
      昨年の「レイン」に比べて事前の盛り上がりが少ない気がしましたので何とか情報をかき集めてブログを更新してきました。

      今回のイベントのまとめとして「レイン」と「ファブ・フォー」の比較記事を後日書いてみようと思います。そういった地道な活動が定期的な来日公演に繋がることを祈っています。

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  3. 初めてコメントさせていただきます。

    ワタシがビートルズを知った中学生の頃は既に解散してました。
    TheFabFourはふとしたところで知って、びっくりしたものでした。
    色々調べたら今年ライヴが有ると聞いて、速攻でチケット買いました。
    福岡からだったので出費がかさみましたが、価値がありました!!

    武道館の再現は流石でしたね。
    チューニング~マイク~ド~モなど(笑)

    ワタシも残念ですが、お昼の部だったため
    甲虫楽団様の演奏は観れませんでした。
    動画を拝見した所、観れなかった事が悔やまれます。
    また何かの機会があったら是非拝見したいです。
    これからもライヴなど頑張って下さい。

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    1. コメントありがとうございます。

      The Fab Fourは世界中を飛び回っているだけあって
      一期一会を大事にしていると感じました。
      どんな場合も期待を裏切らずわざわざ見に行く価値があると思いました。

      甲虫楽団は機会があれば東京圏以外でもライブを行いたいと考えていますので
      いつか演奏をお目にかける日までがんばります。

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  4. ミートさん、まみこ☆さん、他の皆様。

    先日はありがとうございました。

    >ジョンがBaby's In Blackのギターをネックの上側から押さえて弾く

    僕はポール側のほとんど真横の席だったので、

    この小技が観れませんでした(>_<)

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    1. じょぷりんさん

      当日はありがとうございました。

      >ジョンがBaby's In Blackのギターをネックの上側から押さえて弾く

      は、やるかな?と注目していたので気付きましたが、他にもネタはあったと思います。気付いた方は教えてほしいです。

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