2014年7月21日月曜日

ポール・マッカートニー 静養生活を語る「学校の夏休みのようなものだった」

ポール・マッカートニーはツアーに復帰したオールバニ公演の翌日にRolling Stone(ローリングストーン)の電話インタビューに応じ、日本で病に倒れてからの1か月以上に及ぶ静養生活について語りました。
イビサ島でくつろぐポールと妻ナンシー(2014年6月)
Paul McCartney: The Long and Winding Q&A
An in-depth conversation about Sir Paul's latest dance-music experiments, why he has no plans to retire from touring, and what it was really like to be a Beatle

このインタビューの一部の日本語訳が日本のニュースサイトに掲載されました。

ポール・マッカートニー、そんな気分になったら引退するがそれは今ではないと語る(RO69)

以下に意訳を交えて全編を要約します。

静養中の様子とダンスミュージックとの関わり

  • 静養期間中はイギリスでゆったり過ごした。
  • スタジオに入ってきままにあてもなく音源を作成した。
  • コンピューターは得意ではないがCubase(DAWシステム)を数年使っている。中毒性が高く誰かに止められるまでは6時間でも使っていられる。
  • Cubaseを使ってオーケストラ部分を作成していたが、人に「Cubaseはポップミュージック向けのソフトウェアだ」と言われ、それではとダンスミュージックを作成することにした。
  • 1980年発売のアルバム「McCartney II」で当時創成期だったシーケンサーとシンセサイザーでの音楽制作を実験した。 再びそのようなことをやりたかったがこれまで時間を取れずにいた。
  • 今回CubaseとシーケンサーにつないでリズムトラックをPro Tools(DAWシステム)に落とし込んでめちゃくちゃにしてみた。
  • そうやってアフリカンな曲を作って「Mombasa」「Botswana」と名付けた。良い刺激になった。
  • ダンスミュージック業界の友人がいることもあり、料理中や車の中でダンスミュージックを聴いている。 Pharrell Williamsの「Happy」には売れる前から目をつけていた。
  • 静養期間中に行ったイビサ島はそこかしこでダンスミュージックが流れていた。宿泊先に良いオーディオシステムが無かったので取り寄せて、自分が作成した曲(おそらく前述の2曲など)を再生したらとても良かった。
  • (静養期間中に作成したものも含めて)未完成の作品がたくさんあるが、それを完成させる予定は今のところ立っていない。

ツアーのセットリスト

  • 自分は少年時代からショーやレコードの金銭的価値にシビアな消費者だった。ショーに前座が出たり、レコードの片面に手を抜いているのを見ると騙されたと感じていた。逆の立場で自分の行動が金銭的価値に見合うかどうかはビートルズ時代から常に意識している。ジョージ・マーティンはこれをVFM(Value For Money)と呼んでいた。
  • 2014年7月5日オールバニ公演で演奏した「On My Way To Work」のようなサプライズ演奏を期待する人もいるがそうでない人もいる。
  • 同公演でも言ったが、観客が自分の新曲をどう思っているか知っている。「And I Love Her」などの古い曲を演奏すると観客が一斉にスマートフォンを取り出す(撮影するために)。つまりそういうことだ。観客を騙したくない。ボブ・ディランのように自分のやりたいことだけやればよいと言う人もいるがヒット曲を期待する人がいる以上そうもいかない。

ツアーを続ける理由

  • エリック・クラプトンがツアーからの引退をほのめかしているが、彼はとても良い演奏をしている。座っててもいいから引退するなと言いたい。
  • 人は安住の地で過ごしたいものだが、自分はそれに加えてあちこち回るのが好きだ。観客は暖かく、反応も良い。3時間出ずっぱりで疲れないかと聞かれるが自分は元気だ。ショーの翌日は昔に比べて休むようにしているし。
  • ビートルズ時代は35分のステージだった。ジョン・レノンとボーカルを分け合い、ジョージ・ハリスンやリンゴ・スターが歌う曲もあったので自分の担当分は15分以下だっただろう。
  • それが今は3時間でずっぱりで、ジョンと初めて一緒に演奏したころ失敗して以来ビートルズでは避けていたライブでのリードギター演奏を今はやっている。 これらは成長だと前向きにとらえている。
  • 「ツアーから引退するか?」という質問に対する答えは「やめたくなったら」だ。それは今ではない。

「Early Days」のテーマ

  • 「Early Days」のテーマは歴史修正主義だ。ジョンの悲劇的な死のせいでビートルズについては間違った情報が氾濫しており、それを歴史的事実だと信じている人も多い。当事者である自分が訂正しても信じてくれない。
  • 自分はジョンと二人で「I Saw Her Standing There」や「One After 909」を作曲した時のことを今でも鮮明に覚えている。それが事実だ。
  • 映画「Nowhere Boy」には事実と異なる描写があっていくつか修正指示を出したが、結局はフィクションとして納得した。曲の内容を深読みする本、例えば「Revolution in the Head」はひどい。
  • ビートルズの出来事全てに意味があるように感じる人が多いが当事者にとってはなんでもないことだ。
  • 以前はこの状況にフラストレーションを感じていたが今は乗り越えた。

このインタビューで興味深かったことがいくつかあります。

ポールはCubaseとPro Toolsを両方使用している
両方とも同じことができるはずですが、Cubaseは楽曲制作に強く、Pro Toolsはレコーディングに強いようなのでそのように使い分けているのかもしれません。

「On My Way To Work」のライブ初披露はサプライズだった
インタビュアーによれば「On My Way To Work」はバンドメンバーにも事前に伝えずステージで演奏したそうです。確かに上に載せた映像ではそのようなことを言っているようです。復帰ツアー初日でやってみて客の反応次第では以降の公演に取り入れるつもりだったのかもしれません。実際はその日以降演奏されないまま7月分の公演を終了しました。

ステージ上から観客がスマートフォンを手にしているのがわかる
曲によっては一斉にスマートフォンのスクリーンの明かりが客席に灯るのが見えるそうです。2013年11月日本公演前サウンドチェックで、スマートフォンを手にしているのをポールはわかるという理由で撮影が制限されていたことを思い出します。その時はCブロック前の通路でステージから遠いのですが、それでもわかるのでしょう。

今回のインタビューでは日本からイギリスに帰った後の様子を語りましたが、日本滞在中の様子については触れませんでした。

5 件のコメント:

  1. 悪く言えば、韓国と日本のファンは完全に眼中にないのか?

    今はアメリカツアーに集中して、その後は休暇でしょうね。

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  2. 日本向けに少しでもなにかコメント欲しかったですね。残念です。やはりアジアに興味ないのかな?

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  3. アジア云々ではなくて、病気のことを語りたくないだけではないでしょうか。日本のこととなると、それに言及せざるをえなくなるので。元気だということを強調して、ファンに心配かけないようにするという、ポールなりのプロ意識では?

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  4. セットリストについては、ホールも複雑かもね。
    ジョンだったか「40歳になったらシーラヴズユーは歌わない」的な発言を何かで読んだことがある。
    ポールが「今、歌いたい歌」を歌ってほしい。

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  5. 生きていてくれるだけでいい、
    と言ってはなんですが、
    もし東京で重体・・・ということでもあれば
    大変だったと思うし。

    日本よりもアメリカ重視だとは思いますが、
    静養しながら、日本のことも振り返っていたと思います。

    ただ、日本ではポール熱は完全に冷めてしまったから
    再来日しても、どこまでフィーバーできるか・・・
    静かに迎えることになるのかな?
    キョードーさんも、赤字覚悟でやるのか
    どうするつもりなのでしょうね。

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