レビュー:書籍「ザ・ビートルズ 全パフォーマンス徹底解剖」

2012年9月29日に発売された書籍「THE DIG Special Edition ザ・ビートルズ 全パフォーマンス徹底解剖 (シンコー・ミュージックMOOK)」を購入しました。


ビートルズ解散までのメンバーのパフォーマンスを網羅することを目的としています。ここでいう「パフォーマンス」はライブのみならずテレビ/ラジオ/映画まで及びます。
まずは各時代のビートルズの活動をパフォーマンスという観点で論じた後、時系列に沿ってパフォーマンスを行った日時・場所・内容(演奏なら曲目や使用楽器)を一覧で提示し、メンバーの発言を織り交ぜながら当時の様子を説明しています。ビートルズの活動のうち多くを散発的に占めるレコーディングについて基本的に排し、大衆とのコミュニケーションに注目することになるのでメンバー自身や周囲の変化の流れがつかみやすくなると思いました。
ビートルズ結成前の1956年から対象にしており、日付や場所などどこで調べたのか不思議になるくらいの情報量です。1969年のゲット・バックセッションもパフォーマンスとみなされており、膨大な量の演奏曲が列挙されています。各パフォーマンスを実際に見聞きできる公式発売商品(そのうちの多くは今は手に入らない)が紹介されているのが興味深かったです。
何故か最後に2011年~2012年のビートルズ関連のニュースが20ページにわたりまとめられていましたがこれはこれで面白いです。
1,575円と少々高価な書籍ですが、情報の網羅性や一覧性に資料的意義を見出せるなら持っておく価値はあると思います。一度読んだら終わりという類の本では無いです。


個人的にはビートルズのパフォーマンス関連の様々な謎について当時の時代背景を踏まえつつ解説してほしかったです。例えばこんなことです。誰が考えたことなのでしょうか。

メンバーの立ち位置

ポールが左なのは左利きだから?現代ではベーシストが左に位置することが多いがこれはビートルズの影響?

何故ボーカルマイクは2本なのか

技術面や資金面で3本にできなかったわけではないはず。1本のマイクで複数人が歌うのは当時一般的だったのだろうか?

何故ライブは30分、アンコール無し、MCに雑談無しなのか?

ハンブルグ時代は延々と演奏していたと聞く。ブレイク後のMCは曲紹介程度しかない。ツアーに飽きてしまったのはこういったルールのせいもあるのでは?

何故ライブでカバー曲を演奏するのか?

ライブ活動の頂点となったシェイ(シェア)・スタジアムのライブでも数曲カバーを取り上げている。オリジナル曲が充分あったはずの1966年のツアーでも1曲目はカバー曲。

何故演奏映像は顔のアップが多いのか

手元の方が見たい。

何故マイミングはいい加減なのか

テレビ出演時には流れる曲に合わせて弾くという場合も多いがやっていることがあまりにも適当すぎる。やらない方が良いのではと思うくらい。




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