アルバム「Revolver」発売50周年「Taxman」ベース奏法研究

2016年8月5日はビートルズの7枚目のアルバム「Revolver」が発売されてから50周年です。同アルバム収録「Taxman」のベース奏法について考察します。

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前作「Rubber Soul」は内省的なふんわりとした肌触りでしたが、今作はガラッと変わって鋭角的に内面世界をえぐってくるようなサウンドになっています。エンジニアがノーマン・スミスからジェフ・エメリックに替わったことによる影響が大きいと言われています。
それにしても、このアルバムを日本公演より前に完成させていたことに驚きます。これだけスタジオとステージで作り出す音にギャップがあれば、ツアーを止めたくなる気持ちもわかります。
アルバム1曲目にはジョージ・ハリスンの曲が抜擢されました。ジョージの曲でポール・マッカートニーがベースを頑張るのはいつもの通りですが、今回は頑張りすぎてジョージを差し置いてギターソロまで弾いています。非常にスリリングな、ポール本人にも二度と弾けないであろう名演となりました。
 こういったポールの出しゃばりは最年少のジョージに対して気兼ねなく好き勝手やった、という事情もあるでしょうが、ジョージの曲をビートルズの曲として一線級に引き上げようという気概や、慣れ親しんだジョン・レノンとのコラボレーションとは異なるサウンドを楽しんでいたという部分もあると思います。
この曲の印象を決定づけるベースのリフは、他のアーティストのカバーやインスパイアされた他の曲では以下のタブ譜のように弾いているケースが多いです。

これですとファンキーすぎるというか軽薄になってしまい、本来の地を這うような攻撃的な雰囲気が出ません。ポールはこんな風に弾いていると思います。

3弦5フレットではなく4弦10フレットから始めているのはその方がフレットの間隔が狭くて弾きやすい(とくに後述する中間部のフレーズ)のと、Rickenbackerのベースは12フレット近辺の音が良いのでポールもそれを好んでいると想像したからです。実際、同時期の曲Rainでは12フレット近辺を多用しています。

さて、問題の中間部です。 この速弾き部分の弾き方は諸説ありますが、僕は以下のように弾いています。最初の2回だけ特殊で、残りの4回は同じです。
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フレット上で指の横移動が無いのがポイントです。これぐらいの速さになるとこうでもしないと追いつきません・・・。ポールだったらもっと縦横無尽に動けるかもしれませんが、無理に弾きにくいフレーズを作るとも思えませんので、この見解はある程度信ぴょう性あると思っています。

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