ビートルズの新作映画『ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK - The Touring Years』のワールド・プレミアがロンドンのレスター・スクエアで行われました。レッドカーペットイベントの中継を見つつ、9月22日の日本公開に先駆けて映画本編が鑑賞できるイベントに参加してきました。
東京会場のTOHOシネマズ 新宿ではサッシャさんが司会として登壇し、日本の各会場(東京・名古屋・大阪)のためにレッドカーペットイベントの同時通訳を担当しました。東京会場には200名以上が集まっていたと思います。J-WAVEの取材が来ていました。
ビートルズ 新作映画公開で日本のファンにメッセージ(J-WAVE)
缶バッヂ、映画についてSNSでの拡散を呼びかけるチラシ。来場者に配布された |
日本時間2016年9月16日午前2時から始まったレッドカーペットイベントはインターネットや映画館で全世界に配信されているらしく、司会やアイキャッチなど番組としてしっかり作りこまれていました。
通常この種のイベントはその名の通り赤いカーペット上で行われますが、今回は映画のイメージカラーに合わせてブルーカーペットでした。途中にはアビーロードをイメージした横断歩道のセットもあります。
次から次とセレブっぽい人が登場していましたが、インタビューを受けた人(オノ・ヨーコ、オリヴィア・ハリスン、ジャイルズ・マーティン、等)以外でわかったのはステラ・マッカートニー、マドンナ、リアム・ギャラガーくらいでした。
オリヴィア・ハリスン |
オノ・ヨーコ 独りでは歩けないようです・・・ |
映画『A Hard Day's Night』(1964年)のワールドプレミアで着用したジャケットで登場したポール |
休憩をはさんで午前3時10分から上映でした。本編に続いて1965年シェイ・スタジアム公演の映像が流れ5時半に上映終了となりました。
感想を列挙します。ドキュメンタリー映画にネタバレという概念は無いかもしれませんが一応ご注意ください。
- 「The Touring Years」といいながらスタジオのシーンもそこそこあり、デビューから順にアルバム基準で話を区切っていた
- ツアーに注目しているので地球儀上に公演地をマッピングするような演出を想像していたが無かった
- 史実通りなのでわかりきっていることだが前半陽気で後半陰気になっていくのがつらい
- 視点がアメリカ寄り(当時のアメリカの社会情勢に絡め過ぎ)
- サラッと見たことが無い写真や映像が出てくるので見逃せない
- 使用されているスタジオでの音源がどの程度レアなのか不明
- カラーライズ(モノクロ映像に着色)を積極的に行っているのは良いが出来に不満(特に肌の質感と楽器の色)
- ニュース映像などはあえてゴミや傷を除去していないようである。写真を元に構成した映像はあえて当時風に汚しているところも??
- アルバム収録音源のようでもリミックスされている。半音下げチューニングのライブ音源を原曲相当まで高く加工している
- ビートルズと直接関係ない映像、効果音、BGMの挿入が随所にあるが、映像作品として面白くするためにはもっとやってよかったと思う
- ジョージ・ハリスンが遺したインタビューがストーリーを進める上で重要(ジョージ グッジョブ)
- ジョン・レノンはビートルズ当時の映像内での発言が輝いており解散後の発言は少なめ
- ビートルズのメンバーは公の場でタバコを吸い過ぎ(現代のアメリカで問題無く上映できるんだろうか…)
- 当時の映像に登場していない人のインタビューは不要だと思った(ウーピー・ゴールドバーグの発言内容には感動したが)
- ポールはあらゆる事についてしゃべっており、映像編集時に重宝したと思う
- 浅井慎平さんのインタビューの発言内容が意味不明(英語字幕の方がよくわかる)
- ビートルズのツアーに欠かせない主要スタッフに触れているのは好感(ブライアン・エプスタイン、ニール・アスピノール、マル・エヴァンス、デレク・テイラー)
- オノ・ヨーコやオリヴィア・ハリスンが出てこないのは好印象
- ピート・ベストとジミー・ニコルが無かったことになっている(写り込んでいるのに)
- 歌詞の日本語訳字幕は蛇足
- キャンドルスティック・パークで映画がすっきり終わってほしかったが、いくら今回発掘したとはいえ素材があまりにも少なかったか。それにしても音源すら使用していないのは意外(ポールが音源聴いたことない説は本当かも?)
- オープニングはよく練られていると思ったがエンディングのまとめ上げに苦労した様子を感じた
- 先行公開された「Boys」のプロモーション映像そのものは映画では使われていない。もったいない 。あの高揚感を映画全般に反映してほしかった
- 予告編の映像や音声の一部は本編に使用されていない(予告編サギ?)
- ライブの音源だけあって映像が少ししか無いものについてはなんとかやりくりして成立させていた。これをもっとやってもよかったと思う
- いくつかの映像素材の質が悪い(コピーを繰り返したような画質)。アップルが関わっているのに・・・
- ビートルズの映像作品はいつも『A Day In The Life』の上昇フレーズに頼りすぎ
- ポールの当時のスタジオでの発言"What a suitable ending, I think"、"Keep that one, and mark it FAB." は確かに印象的だが使われすぎ(誰が選んだ?)
- 映画の最後の最後のスタッフロールで1963年当時のポールの発言「ライブもいいが一番好きなのはレコーディング」を使っているのは壮大なギャグなのだろうか
- 断片的かつ膨大な素材からここまで紡ぎ上げた監督やスタッフの努力に脱帽
ワールドプレミアの前日に行われたジョン・ビショップによるポール、リンゴ、ロンハワードへのインタビュー。ジョン・ビショップは翌日もインタビュアーを務めました。
7 コメント
はじめまして(ですよね…? たしか ^^;)
返信削除以前より御ブログに無言でお邪魔している千尋と申します。コメント失礼します。
私も当夜、新宿でライブビューイングに参加していました。
拝読した感想は逐一的確で、まさに我が意を得たりという思いです。
本編は楽しみだっただけに残念な部分もあり、映画館を出る際は複雑な気分でした。
ところで、これは質問になってしまいますが、シェアスタジアムライブの中で、首をひねるところがありました。
A hard day's nightの途中で、ジョージのギターがリッケンバッカーからグレッチに変わる映像があったのです。
これは、他の曲の映像を編集で繋げた、挟み込んだと思えるわけですが、この酷い編集は元々のシェアスタジアム映像から、こうなっていたのでしょうか…?
ご存じでしたら教えていただけませんでしょうか。
長々書きましたが、感想のまとめも楽しみにしています。失礼しましたm(_ _)m
コメントありがとうございます。
削除シェイ・スタジアム公演映像について「他の曲の映像を編集で繋げた」箇所は他にも目につきました(とくにリンゴ)。昔の映像のことはよくわかりませんが、今回の映像の最後に当時のスタッフロールが付いていたので当時からそうだったのではないでしょうか。素材から再構築したのではなく、当時の完成作品をブラッシュアップしたと想像しています。
結局、シェイスタジアムは今まで通りの編集なのね。残念。
返信削除カットされたポールとジョージの2曲もダメか。
当時、ノーカット版はブライアンエプスタインに送られた。なんて誰かの本で読んだが...
コメントありがとうございます。ビートルズの演奏シーンは過去作品と同じカット割りという見解の方が多いようです。僕自身は過去作品をあまり見たことが無いのでわかりませんが・・・。
削除カットされたボールの曲はエンドロールで復活してましたね。
削除編集は当時のママで、音源はシェイスタジアムのオリジナルに差し替えですかね。
コメントありがとうございます。
削除今回エンドロールで流れている曲はシェイ・スタジアム公演の音源ではなく『ライブ・アット・ザ・ハリウッド・ボウル』の音源のようです…。コンサート本編の音源はオリジナルを尊重しつつ、後日オーバーダビングされた音源や、スタジオ公式録音版を織り交ぜて新たに作成されているようです。
管理人さま
返信削除ご返答ありがとうございました。
それなら…と、少し気持ちを安らかにできました。
いずれにせよ、ソフトが発売されたら買うでしょうし、スクリーンでもあと二回は観る予定なので(限定ムビチケと特典のせいです)、またじっくり鑑賞して、自分の中の混ざりあった水が落ち着くのを待ちたいと思います。
m(_ _)m