『ザ・ビートルズ:Get Back』全DAYひとことコメント

2022年7月13日『ザ・ビートルズ:Get Back』 DVD / Blu-rayがようやく発売されました。本作は1969年1月のセッションを基本的に時系列に描いており、カレンダーを1日ずつ消し込んでストーリーが進んでいきます。全ての日についてひとことずつ感想をまとめます。

DAY1

ジョン「ベースとギターが1つになったのがあればいい」
のちのマジックアレックス製リバーシブルギター/ベースの伏線?

プロジェクトの方向性を相談する時にスタッフがポールとだけ話すのが印象的

頻繁に繰り出すポールの「ビートルズあるある」が周りに伝わっていない感あり

DAY2

デビュー前の曲を覚えているのがすごい。
デビュー直前に加入したリンゴも"One After 909"は一度レコーディングしているのですんなりまとまっている

ジョージの演説を聞いている各メンバーの表情は実際のその瞬間の映像では無い可能性があるので要注意

DAY3

ポールの空回りぶりが見ていて痛々しい。それを冷ややかに見ているジョージ。よせばいいのに皮肉でポールを追い詰める。ジョンは心身準備不足で語る言葉を持って無さそう

ジョン「ピアノ専門で弾く人間を呼ぶのはどうだ?」前日はビリー・プレストンの名前が出ている。巧妙な伏線

DAY4

「Get Back」作曲シーン
足でリズムを取り続けながら一瞬演奏を止めるところが特にカッコいい。ポールの中で何かを確信した瞬間。

ショーの開催地決定を迫るマイケル・リンジー=ホッグがうざったい。プロジェクトの成否を決める大事なポイントなので彼も必死なのだろうが。

DAY5

ジョージ作の「I Me Mine」にジョンはまったく興味を示さず、演奏にも参加せずヨーコとダンス。1年後の同曲のレコーディングにもジョンは参加しなかった。

にもかかわらず「激しいオルガンを付けよう」と1年後の完成形をさらっと予言するジョン

DAY6

ポールの新曲のストックの充実ぶりに驚かされる。順番待ちでリリースが2年後になった曲も。

セッション自体はグダグダを極めるが「Let It Be」が形になってきて救われる。アレンジに自分の意見が組み込まれ恐縮するグリン・ジョンズがかわいい。

DAY7

ジョージ脱退の瞬間の音声が残っているのは驚きだが映像が無いので経緯がよくわからない。ジョンとポールがジョージをないがしろにして二人の世界に入り込んでしまったことが引き金、という演出に見える。

これまでなりをひそめていたヨーコが混乱と混沌の象徴として一気に前面に

DAY8

ジョージ脱退でみんな沈んでいるところに、おじさんがひょうひょうと現れジョージ宛に花束を届けようとするところが3話8時間弱の中で最も笑った。
自分もその場にいたらマイケル・リンジー=ホッグ程度に爆笑するだろう。
この日はピーター・ジャクソン監督の演出が神がかっている

DAY9

ポールは憔悴しきっているが平静を装おうと頭を空っぽにして音楽説法したり鎖にぶら下がったりしている。そんなポールを察して場を盛り上げようといつになくはしゃいでいるリンゴ。リンゴはいつも最後の砦。
ジョンはノーアイデアなので意見を言う代わりに意味不明な事を口走るのみ

DAY10

トゥイッケナム・スタジオ撤収の日にデモ録音の名目でポールだけがやって来たのはプロジェクトが失敗していることにしたくなくて今日という日に何か意味を持たせたかったのかもしれない。

DAY11

ビートルズの入り待ち・出待ちをしているファンへのインタビュー。ビートルズを静かに見守るスタンスのファンの鑑。彼女たちが「私はポールのために来てるからね  彼を見られれば満足」と取材カメラに向かって話している後ろでポールが通り過ぎるというお笑い演出になっている。

DAY12

退屈な一日だったが・・・

ポール「ピアノを足すの?」
ジョン「ピアノ奏者が要るな」

ジョン「エレピを入れよう 他のバンドもライヴで入れてる」
ジョージ「もう1人 要る」
ジョン「そうだ」

刻一刻とその時は迫っている。

DAY13

満を持してビリー・プレストン登場。
ビートルズの人事権は俺が持つ!と張り切ってビリーを勧誘するジョン。アラン・クラインに対しても意欲的。

プロジェクトについてはジョンが楽観的(能天気)でポールが悲観的(優柔不断)。性格はその逆と言われることが多いのに

DAY14

昨日に引き続き躁状態のジョンとそれにつられるメンバー。
「She Loves You」
「I'll Get You」
「Help!」
「Please Please Me」
などの初期のナンバーを引っ張り出しておどけている。

その一方で最新シングル「Get Back」の完成が近づく

DAY15

この日はセッション内容と言うよりも…

・サイケデリックペイントのリッケンバッカーベースにブラックナイロン弦(まだ塗装はがしていない)
・ヘフナーキャバーンベース(まだ紛失していない)
・ソニーのビデオカメラ
・パティの別格感(後ろ姿の時点で)

に目が行ってしまう

DAY16

ショーについて議論するシーンを何度見ても話の流れがよくわからない。書籍版と発言の順番が違うところも多い。わかりやすくしようと並び替えてる?英語ネイティブならわかるのだろうか…。
ジョンは具体的な案を出すが、ジョージは皮肉なのか冗談なのかはっきりしない発言が多い

DAY17

切羽詰まっているはずだがほのぼのムード。
リンゴの「Octopus's Garden」の作曲を手伝うジョージ。
ジョンが「リッチー、僕は何をすればいい?」に感動。

ポールの「ドラムは最小限に」という指示に居眠りで満額回答するリンゴ

DAY18

ここに来て充実したレコーディングができるようになった。メンバーの意識がシンクロして高まっており、ついていく録音スタッフが疲弊するほど。

ルーフトップ・コンサートを終えたことによりこの雰囲気が途切れてしまい、アルバム『Get Back』が完成に至らなかったと感じる。

DAY19

ポールがいないとメンバーはリラックスしているように見える。ジョンはポールの前で本気を出すことを恐れるようになっていたのかもしれない。

ジョージはしり上がりに創作意欲が増しており、あと数日でプロジェクトが一旦終わってしまうことがもったいない。

DAY20

ルーフトップ・コンサートに対して煮え切らないポールに「僕はやりたい」と(劇中では)珍しく意見を言うリンゴ。唖然とするポール。
ジョンはメンバーを鼓舞すべく「Dig It」に演奏候補曲名を織り交ぜて叫ぶ。これが音楽で語るということか。
ついにはポールも「多分ね やるよ」

DAY21

ルーフトップ・コンサート本番はもちろんだが、それ以上にその後みんなで早速録音を聞いているときが本プロジェクトで最もメンバーや関係者が一心同体となって興奮した瞬間なのだろう。

DAY22

ルーフトップ・コンサートを終えてやりきった感がある。ピーター・ジャクソン監督も素材を見てそれを感じ取ったのだろう。この日はオマケ扱いしている。
そんな中でも100年生き続けるであろう「Let It Be」をものにするのはさすが仕事人ポール。

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