ほぼネックだけのバイオリンベース Hofner Shorty Violin Bass をドイツから取り寄せた

ポール・マッカートニーがビートルズ時代から現代に至るまで使用しているバイオリンベース。そのメーカーであるHofner(「ヘフナー」あるいは「ホフナー」)がトラベルギター/ベースシリーズ「Shorty」にバイオリンベース形状のモデル「Shorty Violin Bass」を追加しました。どうやら2021年のことのようです。2022年現在日本ではまだ流通していないようなので海外のECサイトで注文しました。

ソフトケース付き(Hofner公式サイトより)

Shorty Violin Bass CT - Sunburst (Hofner公式サイト)

本製品は"CT"(Contemporary)を冠しているのでHofnerブランドではありますが本社のあるドイツではなく中国で生産されています。

購入に踏み切った最大の理由は760mmスケールが従来のバイオリンベースと同じだからです。ドイツ製の本家バイオリンベースは既に所有していますが、気軽な代替品になると考えました。※スケール=演奏する部分の弦の全長


Shorty Violin Bassの仕様をドイツ製バイオリンベースと比較

ポール使用器をイメージしたドイツ製現行モデル「Mersey」とスペックを比較してみます。両者で同じ項目を太字で示します。

Shorty Violin BassViolin Bass - 'Mersey'
ボディソリッド(空洞なし)ホロウ(空洞あり)
ボディ材マホガニースプルース(トップ)
メイプル(サイド/バック)
ネック材 メイプルメイプル
ボディ塗装サンバーストサンバースト
ネック接合ボルト接着剤
ネック接合位置18フレット16フレット
1フレット部厚み21mm22mm
ネック接合部厚み25mm26mm
ポジションマーク指板/サイド指板のみ
ネック塗装正面のみ正面/側面/裏面
バインディングなしヘッド/ボディ
指板ローズウッドローズウッド
スケール760mm760mm
ナットの色白/黒/白の三層
ナット幅42mm42mm
12フレット幅54mm48mm
フレット数2422
ブリッジ金属製固定式エボニー製可動式
ピックアップ数12
ピックアップHofner HumbuckerHofner Staple Nickel
ノブティーカップ形状ティーカップ形状
ペグ分離型(ツマミ真珠風)2連型(ツマミ単色)
ピックガード単色直付けパーロイド着脱式
ストラップピンありなし
ヘッドロゴ金色ウムラウトあり金色ウムラウトなし
重量2.5kg2.1kg

購入経緯(ドイツのThomannがおすすめ)

日本では流通していないようなので海外の通販サイトをいくつか見ましたが、ドイツのThomannが日本への送料含めて最安のようだったので下記の通り注文しました。

Höfner Shorty Violin Bass €186.55
Höfner HCT1133B Bass Strings €25.13
送料 €53.08

標準ではラウンドワウンドの弦が付属していますが、やはりバイオリンベースはフラットワウンドだろうということで弦も合わせて注文しました。

Contemporaryなので音が現代的?

この弦はShorty専用というわけではなく一般的なバイオリンベース用ですので日本でも入手できますが、日本よりも安く入手でき、追加しても全体の送料が上がらなかったのです。僕が決済した11月26日時点は円安がピークを過ぎた直後でクレジットカード会社からの請求は39,048円でした(換算レート147.484円)。

その後円安は落ち着いたのでベース本体だけでしたら2022年12月24日時点のレートで3万4千円くらいで日本までやってきます。

楽器や弦には関税がかかりませんが、別途消費税が発生します。荷物を受け取る際にクロネコヤマトの配達員に1,700円を支払いました。総計40,748円でShorty Violin Bassとフラットワウンド弦を手に入れたことになります。

海外部分はUPSが配送を担当しており、11月26日注文~12月2日配達完了でした。迅速です。これでも予定より1日遅れとのことでした。

Thomannは価格が安いだけでなく、日本円表記ができたりサポートが手厚かったりとシステムやサービスの面でもかなりお勧めです。日本で言うとサウンドハウスのイメージです。

Shorty Violin Bassのご注文は下記リンクからどうぞ。

Höfner Shorty Violin Bass (Thomann)


Shorty Violin Bassレビュー

第一印象は「ネックが太い!」でした。前述のスペック表にある通り、12フレット付近の幅が54mmと、本家バイオリンベースの1.125倍です。両者とも指板にドットポジションマークがありますがShortyの方がマークの円が小さいのでよりネックが太く見えます。

ネックの厚みは本家の方があるのでShortyは正確には「ネックが平べったい」といことになります。本家は22フレットまでですが、Shortyは24フレットまであるのでネックはまったく別モノと考えた方が良さそうです。なお、個体差かもしれませんが僕の手元に来たものは指板の色が薄く締まりが無いのが残念です。指板材はローズウッドのはずがそうでは無いという説も…?

高フレットほどネックの幅が広い

ナット部分の幅は本家と同じ42mm(ポール所有器はさらに狭いようですが)なので、ヘッド部分の印象はかなり良いです。ロゴは本家と違ってウムラウト(oの上のチョンチョン)ありですが、同じくウムラウトありのIgnition(Hofnerの安価なバイオリンベースシリーズ)の銀色とは違い本家と同じ金色なのでポイント高いです。

ペグは最近のポール仕様最高峰モデルVintage 62 World History Premium 3rdですら金属のシャフトがペグのツマミを突き破っている不格好なものですが、Shortyはしっかり隠れています。Violinでない従来のShorty Bassも同じペグを使っているようです。

ヘッドは好印象だがカーブが全体的にゆるやか

Ignitionも現在は中国製なので、Shortyへのパーツの流用が多いように思います。ペグ、ピックアップとエスカッション、ストラップピンあたりは同じものに見えます。ジャックプレートの構造もそっくりですが、ボディに沿う曲がり具合が異なるので別部品だと思います。

ジャックプレートは丈夫そう
Hofnerロゴ付きプレートでしっかり接合

Shortyの装飾は最低限で、ヘッドやボディにバインディング(縁取り)無し、ネックはヘッド正面以外塗装無し(装飾面ではここが最も残念)、ピックガードが単色(本家は真珠っぽい見た目のパーロイド)、ナットが黒1色(これはIgnitionも同様)と高級感は無いです。

一方、本家には無いサイドポジションマーク(演奏しながらフレット位置が確認しやすい)があるので演奏しやすいと言えます。

ネックに塗装がないのは残念
ブリッジはViolinでない旧来のShorty Bassと同じ

ボディが極限まで小さいのでコンパクトなのは間違いありませんが、重量が2.5kgと本家2.1kgより重いのでこの点は残念です。ただしその重量のおかげで演奏中の重心が極端にネック寄りになることは避けられているようです。

12フレット付近のネックの幅広さに違和感はありますが、それ以外は本家バイオリンベースと同じ感覚で演奏できます。

本家と異なりピックアップは1つしかありませんが、ビートルズを意識するなら元々ネック側のピックアップしか使いませんのでネック側の1つだけ残したShorty Violin Bassの割り切りは的を射ています

バイオリンベース形状でない旧来のShortyベースはブリッジ寄りに1つピックアップを設置していますので今回はしっかり考えた結果の設計でしょう。1ピックアップのベースでネック側に配置しているものはほとんど無いのでShorty Violin Bassの仕様は貴重です。

関連記事:ビートルズのポール・マッカートニーっぽいベースの音を出す方法

2020年ごろのプロトタイプ。ピックアップやその位置は旧来のShorty Bassと同じ。ピックガードがパーロイド(真珠風模様)なのはうらやましい

肝心の音は正直あまりバイオリンベースという感じはしませんでした。張り替えたフラットワウンド弦HCT1133Bは想定よりフラットではなくデコボコがあるのでそのせいか、はたまた本家とは異なりボディに空洞が無いせいか、ピックアップの仕様がそもそも異なるのか、パキパキとした高音が耳につきます。

弦のせいのような気がするのでもう少し馴染むのを待ちつつ、他の弦に変えることも検討したいと思います。

現時点の音はこちら↓後日スタジオでアンプを通して録音します。


結論:これはこれで素敵

個人的には音についてまだ検証が必要と感じますが、本家バイオリンベースと同じスケールでありながらコンパクトかつ安価、しかも頑丈な作りなのでバンド練習やセッションでビートルズを演奏する際に気軽に持っていくのに適しています。見た目もコミカルで愛着が湧きます。Shortyシリーズは40年近い歴史があるようですが、何故今までこれを思いつかなかったのかというくらいよくまとまった商品です。

初めてのバイオリンベース用途の場合も中途半端なIgnitionに5万円台出すよりはShortyを3万円台で買って将来のドイツ製バイオリンベースに託す方が良いと思います。



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