レビュー:映画『ポール・マッカートニー&ウィングス-ワン・ハンド・クラッピング』

ドキュメンタリー映画『ポール・マッカートニー&ウィングス-ワン・ハンド・クラッピング』(One Hand Clapping)が2024年9月26日に世界同時公開されました。日本では10月4日から映画館で通常上映しており、遅ればせながら観てきました。劇場によってはドルビーアトモスで上映されています。

'Paul McCartney and Wings - One Hand Clapping' is in Cinemas Worldwide(Paul McCartney公式サイト)

2024.9.26(木) 全世界初上映『ポール・マッカートニー&ウィングス-ワン・ハンド・クラッピング』、日本での9.26(木)ドルビーアトモス特別上映が緊急決定!(ユニバーサル ミュージック)

ライヴ・ドキュメンタリー映画『ポール・マッカートニー&ウイングス - ワン・ハンド・クラッピング』 9月26日に開催された和田唱さん×藤本国彦さんによる公開記念トーク・イベントのレポートが到着! 10月4日からは全国拡大公開がスタート! 10月6日(日)には萩原健太さん×藤本国彦さんによる第2弾トーク・イベント開催も決定!(ユニバーサル ミュージック)

1974年8月に4日間にわたってアビイ・ロード・スタジオで行われたウイングスのレコーディングセッションに立ち会う主旨の映像作品です。このときの音源についても今年6月にリリースされています。

ワン・ハンド・クラッピング (SHM-CD)(2枚組)


この映像や音声は現代に至るまで小出しに公開されていたものの全編はお蔵入りになっていました。その理由が(もっといえばこれを制作した意図も)不明ですが、撮影50周年についに公開されました。

以下、感想を列挙します。
  • ポールが2024年撮りおろした映像で念入りに解説している。思い入れが深いのか
  • ポールはウイングスのメンバーをポール、リンダ、デニー・レインの3人だけと認識しているようである(他はサポート扱い)
  • 音は最新技術でお化粧されているが映像はひどい。VHS時代の海賊版レベル
  • 顔のアップが多すぎる。演奏を味わったりコピーの参考にはならない
  • メンバーの独白が聞けて当時の心境が伝わってくるのが貴重(とくにリンダの苦悩と葛藤)
  • 演奏面ではポールのピアノ/ギター弾き語りの方がバンド演奏より楽しめた
  • ギターのジミー・マカロックが初々しい。2年後の『Wings Over America』ではふてぶてしく成長している
  • ドラムのジェフ・ブリトンは絡みづらい人に見える。ツアーには帯同せず早々に離脱したのはそのせいか
  • ビートルズ時代に活躍したエンジニアのジェフ・エメリックがいじられ役で参加している
  • ゲストサックス奏者ハウイー・ケイシー(ヒゲが特徴的でWings Over Americaにも参加したことに気づく)やオーケストラまで動員して何が目的だったのか
映像には期待せず、メンバーの独白やポールの弾き語りを楽しみに観に行くのが良いと思います。このようなニッチな作品が劇場公開されることに感謝です。

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2 コメント

  1. いつも有益な情報をありがとうございます。
    One Hand Clappingが作られた経緯は下記に詳しく書かれています。
    ご参考まで。
    https://x.com/nora_fabs/status/1801447575930998857

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    1. 共有ありがとうございます!興味深く拝見しました。
      演奏後にしきりに出来栄えを気にしていたのはそのせいだったんですね。
      だったら全体が見えるようもっと引きの映像にしてほしかったですが。

      思い付きで目的を変えて(この辺がポールっぽい)、そこからゲストミュージシャンを呼ぶことにしたんですかね。

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