ビートルズコピーバンドでウクレレベースを弾くという提案

「ビートルズのベースといえばバイオリンベース」もちろん、それは間違いではありません。しかし今回ご提案したいのはウクレレベースという、小さいけども大きな可能性を秘めた楽器です。

Kala の "Journeyman"

見た目の可愛らしさとは裏腹に、実力は本物。その音色は、ポール・マッカートニーの演奏するヘフナーバイオリンベースを彷彿とさせます。この記事では、ウクレレベースの誕生からビートルズのコピーに適している理由までを、詳しくご紹介します。


ウクレレベースの誕生と進化

1986年にGuild社から登場した"Ashbory Bass"は、18インチという超短スケールとシリコンゴム弦により、アップライトベースのようなサウンドを奏でる革新的なベースでした。

Ashbory Bass

その後しばらく同様の製品は現れませんでしたが、2007年までにカリフォルニアのOwen HoltがRoad Toad Musicからウクレレベースのプロトタイプとなる"Big Bufo Bass"を開発。すぐにウクレレメーカーKala社と提携し、2009年に"U-BASS"として商業化されました。U-BASSのヘッドにあるカエルの絵はRoad Toad Musicのロゴのようです。

What is a U•BASS®? (Kalaのウェブサイト)

このU-BASSは、極太のゴム弦とホロウボディにより、見た目からは想像もつかないほどの深く豊かな低音を実現。4つの弦の音程は通常と同じため(EADG)、ベーシストは違和感無く使用できます。一気に現代のウクレレベースのスタンダードとなりました。


ヘフナーバイオリンベースとの驚くべき共通点

  • ホロウボディ構造による空気感のある響き
  • 短いスケール
  • フラットワウンド弦やポリウレタン弦がもたらす温かく丸みのある音色
  • 小型・軽量ボディの取り回しの良さ
ヘフナーバイオリンベースもベース業界では異例のサイズ・重量ですが、U-BASSはさらに一回りも二回りも小さいです。

スペック比較
項目 Kala U-BASS Journeyman Höfner Violin Bass
スケール長 20.875インチ(約530mm) 30インチ(約762mm)
全長 29.625インチ(約752mm) 約42インチ(〜1100mm)
重量 約1.6kg 約2.5kg
フレット数 16フレット 22フレット
ボディ/ ネック マホガニー メイプル
指板材 ローズウッド または ローリエ ローズウッド
ピックアップ U-BASS UK-500B ピエゾピックアップ Höfner Staple Nickel ハムバッカー ×2
プリアンプ アクティブ3バンドEQ(ボリューム/ベース/ミッド/トレブル)※チューナー付 パッシブ(Volume ×2, Bass/Trebleスイッチ)
標準弦 ラウンドワウンド弦 フラットワウンド弦

U-BASSは内蔵のプリアンプが秀逸で、そのサウンドはアップライトベースのような柔らかく包み込むような低音です。これがビートルズのとくに初期楽曲にマッチするのは、むしろ当然かもしれません。


小規模ライブ・アコースティック編成にぴったり

  • コンパクトで軽量、電車移動も楽々
  • 小音量でも存在感のある音
  • MC映えするルックスと話題性
  • チューナー内蔵で取り回し良し

アンプに繋げばしっかり鳴り、アンプラグドでも柔らかく響く。多様な演奏シーンに柔軟に対応できるのが、ウクレレベースの大きな魅力です。

僕は甲虫楽団(「ビートルズ中後期サウンド追求バンド」東京圏で活動中)での遠征時や複数バンドが入り乱れるイベントで小回りよく使っています。


おすすめモデル:Kala U-BASS Journeyman

  • マホガニー製ボディにFホール、カッタウェイ付きのクラシカルなデザイン
  • アクティブピックアップ(UK-500B)内蔵で即戦力
  • 約5万円台の価格帯で、品質とコストのバランス良好
  • ギグバッグ付属で持ち運びも便利

ウクレレというとボディに丸い穴がぽっかり空いた陽気で牧歌的なイメージで(ハワイっぽい)、あまりロック向きとは思えません。U-BASSも実際そのような仕様のものが多いのですが、その中でもひときわ異彩を放つJourneymanというモデルをお勧めしたいです。

KALA カラ UBass ユーベース ウクレレベース Journeyman

Fホールとカッタウェイが印象的な端正なルックスはビートルズがデビュー前に使用していたHöfner PresidentHöfner 500/5を彷彿とさせます。これならビートルズを演奏しても違和感ありません。

Presidentを持つジョージ・ハリスン
500/5を持つスチュアート・サトクリフ

弦を交換してさらなる深化

Journeymanの出荷時にはラウンドワウンド弦が張られていますが、ここでぜひ試していただきたいのが、U-BASS用フラットワウンド弦 Kala Flatwound U•BASS 4-String Set by Gallistrings (KA-BASS-4FW)

Gallistrings Kala Flatwound

音自体はU-BASSの代名詞であるゴム弦の方が良い感もあるのですが、ゴム弦は太い・テンション低い・スライドしにくい・チューニング合いにくい、とライブでビートルズの曲をピックを使ってガシガシ弾くのには向いていません。このフラット弦も標準装備の弦よりは太いので、ナットの加工が必要になる場合があります。


コピー製品との違いにも注意

Journeymanはよほどの名機ということなのでしょう、よく似た安価なコピーモデルも存在します。僕も試したことがあるのですが本家と同じUK-500Bプリアンプを搭載しているので音自体は良好です。しかし、

  • ネックの精度
  • チューナー(ペグ)の操作性
  • ボディ構造の信頼性

などにおいて、やはり本家Kalaの品質にはかないません。現場で安定して長く使いたいと考えるなら、最初から正規品を選ぶのが賢明です。


まとめ:小さなベースがもたらす大きな発見

ビートルズを演奏するベーシストのみなさん、ぜひ一度ウクレレベースを手に取ってみてください。そのサイズ感、音色、そして演奏体験は、あなたのビートルズライフに新たな風を吹き込んでくれるに違いありません。

最後にビートルズコピーへの使用例(Journeymanにフラットワウンド弦を装着)↓

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