1歳年下のケン・スコットもエンジニアとして参加しており、
とくにアルバム「The Beatles」(ホワイト・アルバム)では中心的に活躍していました。
その後はデビット・ボウイのアルバムのプロデューサーとして名を馳せています。
そのケン・スコットが2012年6月に自叙伝を出版するにあたりインタビューに答えていました。
Interview: Abbey Road Engineer Ken Scott Discusses Recording The Beatles' White Album, Says Sessions Were a 'Blast'
http://www.guitarworld.com/interview-abbey-road-engineer-ken-scott-discusses-recording-beatles-white-album-says-sessions-were-blast「Yer Blues」は狭い部屋にビートルズ4人が入って演奏した
という有名なエピソードについても触れています。
事実自体は目新しいものではありませんがジョンとのやり取りが生々しいです。
その他ホワイト・アルバムについて以下のような事を語っています。
これらは聞いたことの無い内容が多いです。
- ビートルズのメンバー間の雰囲気が悪かったとまことしやかに伝えられているが実のところは賑やかにやっていた。
- ベーシックトラックは皆で楽しく演奏するが、オーバーダビングの段になると作曲者の色が濃くなる
- メンバー全員が揃わないまま録音が進んだのはスケジュールに追われていたから(Appleレーベル初アルバムだから気合が入っていた)。締め切り前最後の24時間は使える全てのスタジオで何らかの作業を行っていた。
- While My Guitar Gently Weepsでエリック・クラプトンが参加して演奏したときのことは覚えていない。退行催眠を試したが無理だった。
- Helter Skelterは何も特別なことをしたわけではなく、いつもよりうるさく演奏したに過ぎない。
- Yer Bluesで途中からボーカルにエフェクトがかかるのはベーシックトラックでの音漏れを目立たなくするため。(←すみません、原文の読解に自信がありません)
- ホワイト・アルバム以前までは誰もステレオ盤に興味を持っていなかった。作業もいい加減で、結果としてモノラル盤とのミックス違いが生まれた。
- ミックス違いを楽しみにしてモノラル盤とステレオ盤両方を買う人がいることをファンレターで知ったポールはホワイト・アルバムの売り上げ枚数を増やすために意図的にミックス違いを作るよう指示した。
- ポールは録音に使用するマイクを見た目で選んでいた。 “That one looks good. Let’s try it.”
- ドラムの録音に使用するマイクは基本的には バスドラム:AKG D20 タム:AKG D19Cs 頭上:リボン型からコンデサ型に変遷。
- ギターの録音はキャビネットから1フィート離してNeumann UM87を使用するのを好んだ。
ケン・スコットはジョーク好きなようで、ポールに関する2つのエピソードが本当かにわかに信じられませんが、妙に納得感はありますね。
その他まとめとして
ビートルズはルール無用という点では偉大なミュージシャンだが演奏技術に長けていたわけではないという見解や、若手ミュージシャンへのアドバイス、アナログ録音とデジタル録音の使い分けなどを語ってインタビューは終わっています。
自叙伝はこちらです。日本語版発売の予定は不明です。
Abbey Road to Ziggy Stardust: Off-the-record with The Beatles, Bowie, Elton, and so much more.
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ジェフ・エメリックもビートルズのスタジオの様子を描いた書籍「ザ・ビートルズ・サウンド最後の真実」を発表していますが、ケン・スコットは記述内容の真偽に異論を唱えていたそうです。
そのあたりが自身の本ではどう描かれているか興味が沸きます。
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