以前の投稿で紹介したビートルズの元エンジニア ケン・スコットによる自叙伝「Abbey Road to Ziggy Stardust」が今月発売されました。
日本語版の発売予定は公表されていませんが、英語版が日本のアマゾンでも買えます。
発売に際し、ケン・スコットがインタビューに応えています。
Exclusive: Ken Scott takes you inside the Beatles' recording studio in new book
http://www.examiner.com/article/interview-engineer-recalls-working-on-beatles-white-album-and-more-new-book
インタビューの内容を要約しますと
- アルバム「A Hard Day's Night」のB面からレコーディングに参加した。ビートルズは既に世界的なバンドだったし、レコーディングセッションを仕切ったことも無かったので怖かった。
- アルバム「Rubber Soul」以降2年ほどマスタリングやカッティングを担当し、その後エンジニアになった。
- ビートルズのレコーディングセッションは午後2時半から始まることになっていたが、メンバーは大抵時間通りに来なかった。
- アルバム「The Beatles」用のデモテープが多く現存していることは30年後にジョージ・ハリスンと仕事をしたときに初めて知った。
- デモテープのリリースについてはアーティスト側の「正規発売したもので充分」という立場と、ファン側の「興味津津」という立場、両方理解している。
- アルバム「The Beatles」はファンにモノとステレオ両方買わせるために意図的にミックス違いを作った。そのため、このアルバムから初めてビートルズはステレオ版の承認に参加した。
- アルバム「The Beatles」以前はビートルズの承認含むレコーディングのすべての工程がモノラルで聴かれていたので、モノラル版を聴くべき。
「意図してミックス違いを作った」は前回紹介したインタビューでも言っていました。また、ビートルズはモノラル版で聴くべきというのは多くの関係者の主張と一致します。
しかしながら、2009年のリマスター以降現在通常発売されているのはすべてステレオ版です。確かにステレオ版は荒が目立つので、ステレオ版を標準にするなら今からでもリミックスしてほしいものです。
※「Help!」と「Rubber Soul」は1987年CDでの発売時にジョージ・マーティンがリミックスしたものが現在の標準になっています。
なお、ケン・スコットは以下の日程で公の場に姿を現す予定だそうです。
2012/7/19 Grammy Museum in Los Angeles
2012/8/10~12 Fest for Beatles Fans in Chicago
0 コメント