ビートルズ来日50周年となる今年も1か月が過ぎましたが思ったほど記念商品やイベントを目にしません。そんな中、「日本公演50周年記念 第1弾」と謳った書籍「MUSIC LIFE ザ・ビートルズ来日前夜」が2016年2月8日に発売されました。
シンコー・ミュージック・ムック MUSIC LIFE ザ・ビートルズ来日前夜
メインの特集は雑誌「ミュージック・ライフ」を軸に当時の日本での洋楽事情とビートルズの位置づけを対比させた「ザ・ビートルズ日本公演までの道」(約30ページ)です。「ミュージック・ライフ」の実際の誌面を根拠にしているので噂や伝説に左右されずに当時の様子を浮き彫りにしています。
ビートルズ本人と日本でのビートルズの状況を上下に並べた年表が圧巻です。両者の年表は2本に明確に分断されているのですが、それがビートルズの日本への出発日という接点に収斂していく様子はロマンチックですらあります。今回の特集はそこで終わっています。続きは「日本公演50周年記念 第2弾」以降で、ということでしょう。
他には「ザ・ビートルズ 1」発売記念イベント「Power Spot of The Beatles(ビートルズ神社)」のレポートで星加ルミ子さんがビートルズ来日について語っているぐらいで、本書の他の記事はビートルズ来日とは無関係なのが「日本公演50周年」というわりには少しさみしいです。
このイベントレポートに限らず「ザ・ビートルズ 1」には大きく誌面を割いています。「ザ・ビートルズ 1+ デラックス・エディション」に収録されている映像/音声について1曲ずつ複数人が短文のレビューを寄せています。統一的視点で語られているわけではないので、レビュアーの顔が浮かばないと楽しめないかもしれません。
一方、ポール・マッカートニーのスーパー・デラックス・エディション『タッグ・オブ・ウォー』
『パイプス・オブ・ピース』を分析する記事ではPCを用いて以前のバージョンと波形比較して制作意図をあぶりだしており、その徹底ぶりには目を見張ります。同様の視点で「ザ・ビートルズ 1」を分析してほしいです。いずれ出てくると思いますが。
その他は既発の「MUSIC LIFE」を冠した書籍と同様、直近のビートルズ人脈の動向、直近のビートルズ関連リリース、各国盤レコードを特定テーマで整理、で構成されており、どれも写真が豊富です。
「日本公演50周年記念」と言える記事が少ないのは残念ですが、この1年を楽しむためにもまずは第一歩として本書を読んでみることをお勧めします。
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