ポール・マッカートニーは2018年を最後に来日していません。2026年の来日を祈念してこれまでのポール日本公演の履歴をまとめます。
1990年、1993年、2002年については情報源が乏しいため誤りもあるかもしれません。ご指摘あればお知らせください。
公演日まとめ
1990年 Get Back Tour in Japan
3月
2(金) →延期3/13に振替
3(土)
5(月)
6(火) →3/7に振替
7(水) ※振替公演
8(木) ※中止
9(金) ※クローズドサーキット中継実施
11(日)
13(火) ※振替公演
1993年 The New World Tour
11月
12(金)
14(日)
15(月)
18(木) 福岡
19(金) 福岡
2002年 Driving Japan Tour
11月
11(月)
13(水)
14(木)
17(日) 大阪
18(月) 大阪
2013年 Out There! Japan Tour
11月
11(月) 大阪 ※追加公演
12(火) 大阪
15(金) 福岡
18(月)
19(火)
21(木)
2014年 Out There! Japan Tour 2014 ※未遂
5月
17(土) 東京・国立競技場 ※中止
18(日) 東京・国立競技場 ※中止
21(水) 東京・日本武道館 ※中止
24(土) 大阪・ヤンマースタジアム長居 ※中止
2015年 Out There! Japan Tour 2015
4月
21(火) 大阪
23(木)
25(土)
27(月)
28(火) 東京・日本武道館
2017年 One On One Japan Tour 2017
4月
25(火) 東京・日本武道館
27(木)
29(土)
30(日)
2018 Freshen Up Japan Tour 2018
10月
31(水)
1(木)
5(月) 東京・両国国技館
8(木) 名古屋
※僕はこれまで14回行きました。1993/11/14(おそらく)、2002/11/11、2013/11/11(VIP)、2013/11/18、2013/11/21、2015/4/21(VIP)、2015/4/23、2015/4/28(武道館)、2017/4/25(武道館)、2017/4/27(VIP)、2017/4/30、2018/10/31、2018/11/5(国技館)、2018/11/8(VIP)
I. 序論:ポール・マッカートニーと日本の絆
ポール・マッカートニーと日本のファンの間には、数十年にわたる深い絆が存在します。ビートルズ時代から熱狂的な支持を受け、その音楽は世代を超えて愛され続けてきました。ソロアーティストとしても、彼の日本における人気は絶大であり、来日公演は常に音楽界のビッグイベントとして注目を集めてきました。
ウイングス時代には、1975年および1980年に来日公演が計画されながらも、マッカートニー自身の過去の薬物関連の問題により直前で中止となる事態が発生しました。これらの出来事は、日本のファンにとって長年の悲願とも言えるソロとしての来日公演への期待を一層高めることとなりました。それだけに、1990年に初めてソロとしての日本公演が実現した際のファンの熱狂ぶりは筆舌に尽くしがたいものがあり、その後の度重なる来日公演も、常に大きな感動と話題を提供し続けています。
II. ポール・マッカートニー日本公演クロニクル
A. 1990年 – The Paul McCartney World Tour / Get Back Tour in Japan
1. 背景:世界的ツアーと日本への期待
1990年の日本公演は、ポール・マッカートニーにとってソロとして初の本格的なワールドツアー「The Paul McCartney World Tour」(日本では「Get Back Tour in Japan」とも呼称)の一環として実現しました。ビートルズ解散後、そしてウイングスの活動停止後、彼が再び大規模なツアーを行うこと自体が世界的に大きな注目を集めていましたが、特に過去にウイングスとしての来日公演が二度にわたり中止となった経緯を持つ日本のファンにとっては、まさに待望久しい出来事でした。
2. 公式発表:前年12月
長年の待望に応える形で、ポール・マッカートニーのソロ初来日公演は、12月23日ごろに告知されました。チケットは翌1990年1月7日に発売開始となり、ファンにとってはまさに吉報となりました。
3. 特記事項:中止や変更
1990年2月の北米ツアー中にポールが重い風邪をひき体調を崩したため、同年2月17日に日本公演の日程変更が発表されました。これにより、当初7公演の予定だったものが6公演に縮小されました。
この日程変更と一部中止という事態を受け、特に地方のファンへの配慮として、ポール側の提案により、3月9日の東京ドーム公演の模様が、札幌、仙台、新潟、名古屋、大阪、高松、松山、広島、博多、熊本の全国10会場(諸説あり)に向けてクローズドサーキット(衛星生中継)の形式で上映されました。このクローズドサーキットの告知は2月21日、チケット販売は2月24日に行われました。
4. チケット料金:現代から考えると安い!
S席の価格は7,000円でした。A席も存在したようですが、その具体的な価格に関する情報は確認できませんでした。この価格設定は、長年待ち望まれた世界的スーパースターの初ソロ来日公演としては比較的抑えられている印象で、後のツアーで見られる価格帯と比較すると、ファンへの配慮が感じられるものでした。
B. 1993年 – The New World Tour
1. 背景:アルバム『オフ・ザ・グラウンド』と新たな世界観
1990年の初来日公演の成功から3年後、ポール・マッカートニーは再び日本のファンの前に姿を現しました。この1993年の公演は、同年にリリースされたアルバム『オフ・ザ・グラウンド』を引っ提げた「The New World Tour」の一環として行われました。
世界的には当時、「ポール死亡説」という根強い噂が存在し、このツアー中に録音され同年にリリースされたライブ盤『ポール・イズ・ライヴ』のタイトルやジャケットアートワークは、この噂を逆手に取ったものであったことが知られています。
2. 公式発表:時期は不明
1993年の日本公演の公式発表が具体的にいつ行われたかについては特定できませんでした。
3. 特記事項:初の地方公演は福岡
特筆すべきは、初の福岡公演が福岡ドーム(当時)で開催されたことです。これにより、東京以外の地域のファンもポールのライブを体験する機会が広がりました。
4. チケット料金:詳細不明
1993年の一般公演のチケット価格に関する明確な情報は見つかりませんでした。
この1993年のツアーで特筆すべきは、LIPA(リバプール・インスティテュート・フォー・パフォーミング・アーツ)への寄付を募るため、10万円という高額なチャリティーサウンドチェックチケットが販売されたことです。これは、通常のコンサートチケットとは別に、リハーサルを見学できるという特別な体験を提供するもので、後のツアーで見られるVIPパッケージの先駆けとも言える試みでした。
C. 2002年 – Driving Japan Tour
1. 背景:9年ぶりの来日と新たなバンド
1993年の「The New World Tour」から9年という歳月を経て、ポール・マッカートニーは2002年11月に再び日本の地を踏みました。この来日公演は「Driving Japan Tour」と名付けられ、世界的には「Back in the U.S. Tour」や「Driving World Tour」として知られる大規模なツアーの一環でした。
また、このツアーは、現在に至るまでポールを支え続けるポール "ウィックス" ウィケンズ(キーボード)、ブライアン・レイ(ベース/ギター)、ラスティ・アンダーソン(ギター)、エイブ・ラボリエル・ジュニア(ドラムス)という、ファンにはお馴染みの強力なバックバンドとの初の日本公演でもありました。
2002年5月に行われたロサンゼルス公演を観た日本人ツアー客の熱狂的な反応が素晴らしく、それがきっかけでポール自身が日本公演を強く希望したと伝えられています。
2. 公式発表:同年8月
日本公演の正式発表は、2002年8月5日に行われました。チケットの一般発売は同年9月29日から開始されました。
3. 特記事項:2002年の特殊性
特筆すべき点として、セットリストにおいて、当時アメリカでリリースされたライブ盤『BACK IN THE U.S. LIVE 2002』に収録されていた9.11テロへの応答歌ともいえる「Freedom」などの楽曲が日本公演ではカットされたことが挙げられます。
4. チケット料金:約10年で2倍に
チケット価格は、S席が14,000円、A席が12,000円でした。1990年の初来日公演時のS席7,000円と比較すると大幅な価格上昇が見られますが、これは9年間の物価変動や世界的なコンサート市場のギャラ高騰を反映したものであると考えられます。また、プレイガイドの企画で二階後方席などが7,000円の割引価格で販売されたという情報がありました。
この9年間のブランク、そしてその間にポールが経験した妻リンダ・マッカートニーや盟友ジョージ・ハリスンとの死別、さらには9.11という世界的な悲劇といった背景は、このツアーに特別な感情的な重みを与えました。
D. 2013年 – Out There! Japan Tour
1. 背景:11年ぶりの来日、精力的な活動継続
2002年の「Driving Japan Tour」から実に11年ぶりとなる2013年、ポール・マッカートニーは「Out There! Japan Tour」と銘打たれたツアーで再び日本のファンの前に立ちました。当時71歳という年齢を感じさせない精力的なワールドツアーの一環であり、これが4度目のソロ来日公演となりました。
2. 公式発表:同年7月
「Out There! Japan Tour」の開催は、2013年7月16日に正式に発表されました。しかし、前述の通り大阪公演の詳細は後日発表とされ、ファンをやきもきさせました。大阪公演の会場が京セラドーム大阪であると発表されたのは、公演の約2ヶ月前となる2013年9月12日16時のことで、この際には大阪で号外が配布されるほどの注目を集めました。さらに、好評を受けて大阪での追加公演(11月11日)が決定し、これは同年10月14日に発表されました。
3. 特記事項:大阪会場なかなか決まらず
大阪公演の会場発表が遅れたことや、その後の追加公演決定が特筆されます。
4. チケット料金:2500円アップ
S席16,500円、A席14,500円、B席12,500円(いずれも税込・全席指定)という価格設定が基本でした。大阪公演では、これらに加えて「バルコニー席」が一般発売時から登場しました。これは京セラドーム大阪の企業向け特別観覧席「ビスタルーム」に付随する座席を活用したもので、通常のスタンド席とは異なる環境でした。
E. 2014年 – Out There! Japan Tour 2014 (全公演中止)
1. 背景:前年の成功を受けての連続来日予定
2013年の「Out There! Japan Tour」の大成功を受け、ポール・マッカートニーは翌2014年にも連続して日本公演を行うことを計画していました。これは、日本のファンとの強い結びつきと、日本市場の重要性を改めて示すものでした。
2. 公式発表:突然の中止
最終的にこのツアーはポール本人の急病により、全公演が中止となりました。初日であった2014年5月17日の国立競技場公演は、公演当日に中止が発表されるという異例の事態となりました。その後、5月20日午前10時に、日本武道館公演、ヤンマースタジアム長居公演を含む全日本ツアーの中止が正式に発表されました。
3. 特記事項:全公演中止
全公演が中止となった理由は、ポール本人の「ウイルス性炎症」による体調不良と発表されました。特に初日の国立競技場公演が当日中止となったことは、遠方からのファンも含め多くの人々に衝撃と混乱をもたらしました。
4. チケット料金:1000円アップ
基本的に前年から1000円アップしました。中止後のチケット払い戻しの際に、その高額さゆえに一部のコンビニエンスストアで返金処理に支障が出たと報じられました。
国立競技場という大規模野外会場と、ビートルズ初来日の地である日本武道館、そして大阪のスタジアムという組み合わせは、多様なコンサート体験を提供しようとする意欲的な計画であっただけに、その実現が見送られたことはファンにとって痛恨の極みでした。
F. 2015年 – Out There! Japan Tour 2015
1. 背景:前年のリベンジ公演
2014年の日本公演がポール・マッカートニー本人の急病により全公演中止となったことを受け、その翌年2015年4月に「Out There! Japan Tour 2015」が実現しました。これは多くのファンにとって「リベンジ公演」として位置づけられ、ポールが日本のファンとの約束を果たす形となりました。結果的に3年連続(2013年公演、2014年予定、2015年公演)で日本への来訪が計画されたことになります。
2014年のツアーで予定されながら幻となった日本武道館での公演は、2015年の来日発表当初からファンの間で強く噂されていました。ドーム公演のチケット一般発売日(2月28日)を過ぎても武道館公演の発表がなかったため、一時は実現が危ぶまれましたが、招聘元が交渉中であることを明言し、期待は持続しました。
2. 公式発表:同年1月
ドーム公演を含む主要日程は、2015年1月29日18時に情報解禁となり、一部では15時頃から号外も配布されました。そして待望の日本武道館公演は、同年3月20日午前4時に正式発表され、大きな話題を呼びました。
3. 特記事項:日本武道館公演が実現
このツアーでは大きな日程変更や中止はなく、無事に全公演が開催されました。特に日本武道館公演は、ポールにとって1966年のザ・ビートルズとしての公演以来、実に49年ぶりとなる歴史的なステージとなりました。前年の雪辱を果たす意味合いも込められたこの武道館公演は、ファンにとって忘れられない一夜となりました。
4. チケット料金:500円アップ
チケット価格は会場によって大きく異なり、特に日本武道館公演は多様な価格設定がなされました。
- ドーム公演(東京・大阪): S席18,000円、A席16,000円、B席14,000円が基本。その他、参加席(10,500円)、注釈付きS席(18,000円)、バルコニーS席(18,000円、京セラドーム大阪のみ)、体感席(5,500円)などが設定されました。
- 日本武道館公演: SS席100,000円、S席80,000円、A席60,000円、B席40,000円という高額な設定に加え、25歳以下限定のC席が2,100円というビートルズ公演時のA席と同料金で提供されたのが大きな特徴でした。さらに、注釈付きB席(40,000円)、D席(立見席、20,000円)、参加席(20,000円)なども販売されました。
- VIPパッケージ・サウンドチェック参加券: ドーム公演向けには、サウンドチェック参加券(67,000円、別途公演チケット必要)や、FRONT ROW PACKAGE(93,500円)、HOT SOUND PACKAGE(83,500円)といったVIPパッケージも用意されました。
2015年のツアー、特に日本武道館公演は、前年のキャンセルという背景もあって、特別なイベントとして位置づけられました。武道館のSS席10万円という価格設定は大きな話題となりましたが、同時に若年層向けの廉価なC席を設けるなど、幅広いファン層への配慮も見られました。また、ドーム公演においても「参加席」や「体感席」といった多様な券種を用意することで、様々なニーズに応えようとする主催者側の意図がうかがえます。
G. 2017年 – One On One Japan Tour 2017
1. 背景:2年ぶりの再来日
2015年の成功裏に終わった「Out There! Japan Tour」から2年という比較的短いインターバルで、ポール・マッカートニーは再び日本のファンの前に帰ってきました。「One On One Japan Tour 2017」と題されたこのツアーは、日本のファンとの強固な絆と、日本市場での彼の変わらぬ人気を示すものでした。
2. 公式発表:元日
ドーム公演の開催は、2017年の元日である1月1日午前0時という印象的なタイミングで発表されました。そして、前回同様に注目度の高い日本武道館での公演は、同年3月10日午前4時に追加発表され、新聞各紙での報道や号外の配布、ワイドショーでの紹介など、大々的なプロモーションが展開されました。
3. 特記事項:とくになし
全公演がスムーズに実施されました。
4. チケット料金:2年前と変わらず
チケット価格は、2015年の設定がほぼ踏襲されました。
- ドーム公演: S席18,000円、A席16,000円、B席14,000円。
- 日本武道館公演: SS席100,000円、S席80,000円、A席60,000円、B席40,000円、C席2,100円。
- VIPパッケージおよびサウンドチェック参加券についても、詳細は後日発表と告知されていました。
2015年に続き、2017年もドーム公演と高価格帯の日本武道館公演を組み合わせるというツアー形式が取られたことは、このパターンが日本市場において成功を収めていることを示唆しています。
H. 2018年 – Freshen Up Japan Tour 2018
1. 背景:ニューアルバム『エジプト・ステーション』を携えて
前回の「One On One Japan Tour」から約1年半という、さらに短いインターバルで、ポール・マッカートニーは2018年秋に再び日本を訪れました。この「Freshen Up Japan Tour 2018」は、同年にリリースされたニューアルバム『エジプト・ステーション』のプロモーションも兼ねていました。
2. 公式発表:同年8月
東京ドームおよび初の名古屋公演となるナゴヤドームでの公演は、2018年8月8日早朝に発表されました。さらに、同年9月28日午前4時には、サプライズとして両国国技館での追加公演が発表され、大きな話題を呼びました。
3. 特記事項:初めての国技館そして名古屋
特筆すべきは、ポール・マッカートニーにとって初となる名古屋での公演が実現したこと、そして伝統的な相撲の会場である両国国技館でコンサートが行われたことです。
4. チケット料金:500円アップ
- ドーム公演(東京・名古屋): S席18,500円、A席16,500円、B席14,500円と、前回のドーム公演から若干の値上げが見られました。
- 両国国技館公演: 一般席は38,500円と高額でしたが、21歳以下限定で2,100円という廉価な席も用意されました。
- VIPパッケージ・サウンドチェック参加券: ドーム公演向けには、サウンドチェック参加券(67,000円)や、FRONT ROW PACKAGE(93,500円)、HOT SOUND PACKAGE(83,500円)といったVIPパッケージも前回同様に販売されました。
2018年のツアーで初めて名古屋公演が実現し、さらに両国国技館という異色の会場が選ばれたことは、ポール・マッカートニー側が日本のファンを飽きさせないための新たな体験を提供し、未開拓の地域市場にもリーチしようとする戦略の表れと考えられます。
III. ポール・マッカートニー日本公演の傾向分析
ポール・マッカートニーの長年にわたる日本公演の歴史を振り返ると、いくつかの顕著な傾向が見て取れます。これらの傾向は、彼の日本市場に対する考え方や、ツアー運営の戦略、そしてファンとの関係性を理解する上で重要な手がかりとなります。
A. 開催時期:春と秋の風物詩
過去の日本公演は、主に3月から5月にかけての春季、または10月から11月にかけての秋季に集中しています。具体的には、1990年(3月上旬)、1993年(11月中旬)、2002年(11月中旬)、2013年(11月中旬)、2014年(5月中旬)、2015年(4月下旬)、2017年(4月下旬)、2018年(10月末~11月初旬)と、このパターンが一貫して見られます。
この開催時期の偏りは、いくつかの要因によって説明できるかもしれません。まず、11月開催が多いのは会場候補となるドーム球場が押さえやすいからでしょう。また、日本の気候条件が考慮されている可能性もあります。春と秋は比較的気候が安定しており、観客の移動・待機にとっても快適な時期です。
B. ポール・マッカートニーの滞在期間
複数の都市を巡る場合や、東京ドームで連続公演を行う場合など、公演日程は1週間以上に及ぶことが一般的です。これに公演前後の準備や移動、プロモーション活動などを加味すると、1回の来日における日本滞在期間は、概ね10日前後になることが多いようです
C. 開催場所:ドーム球場を主軸に、特別な会場、そして新たな都市へ
ポール・マッカートニーの日本公演における主要な開催場所は、圧倒的に東京ドームです。その収容能力と設備の充実度から、世界的スーパースターの公演会場として定着しています。
これに次ぐのが大阪のドーム球場(大阪ドーム/京セラドーム大阪)です。
1993年には初めて福岡ドーム(現:みずほPayPayドーム福岡)での公演が実現し、2013年にも福岡ヤフオク!ドーム(当時)で公演が行われました。そして2018年には、待望のナゴヤドームでの初公演が実現しました。
特筆すべきは、日本武道館での公演です。ビートルズとして1966年に歴史的な公演を行ったこの会場は、ポールにとっても日本のファンにとっても特別な意味を持ちます。2014年に予定されながら中止となった後、2015年、2017年と立て続けに武道館公演が実現し、ドーム公演とは異なる親密な雰囲気と高額なチケット設定で「特別なイベント」として位置づけられました。
さらに2018年には、相撲の殿堂である両国国技館での公演も行われ、会場選びにおける新たな試みも見られました。
D. 開催曜日:週末と平日を組み合わせた柔軟な日程
公演日程を曜日別に見ると、週末(金・土・日)と平日(月~木)がバランス良く組み合わされています。
例えば、1990年は土、月、水、金、日、火。1993年は金、日、月、木、金。2002年は月、水、木、日、月。2013年は月、火、金、月、火、木。2015年は火、木、土、月、火。2017年は火、木、土、日。2018年は水、木、月、木。
会場の確保のしやすさやツアー日程全体の効率性を考慮して平日にも公演を設定しているものと考えられます。特に東京ドームのような大規模会場では、複数日連続して使用することが多く、その場合、必然的に平日が含まれることになります。
E. チケット代金:時代と共に上昇、多様化する価格設定
チケット代金は、来日公演の歴史と共に顕著な上昇と多様化を見せています。
1990年の初ソロ来日時はS席7,000円でした。これが2002年にはS席14,000円と2倍に上昇しています。
2013年の「Out There! Japan Tour」では、S席16,500円となり、さらに価格が上昇しました。
2015年以降のツアーでは、この価格帯がドーム公演の基準となりつつ、日本武道館公演ではSS席100,000円、2018年の両国国技館公演では38,500円といった高額な席が登場する一方で、若者限定で2000円台で販売、位置の悪い席は格安で販売するなど価格設定が柔軟に行われるようになりました。
1993年のチャリティーサウンドチェック(10万円)を先駆けとして、2015年以降はサウンドチェック参加券(67,000円程度)や、最前ブロック確約などの特典が付いたVIPパッケージ(8万円~10万円程度)も恒常的に販売されるようになりました。
F. 公式発表から初日までの日数:短期間化の傾向と戦略的情報公開
公演の発表から初日までは2ヶ月半から4ヶ月程度が一般的です
1990年の初来日は、前年12月23日の新聞広告での告知から約2ヶ月半後の3月3日が当初の初日(変更後も同日)でした。2002年は8月5日の発表から約3ヶ月後の11月11日が初日でした。
2013年の「Out There! Japan Tour」は、主要日程が7月16日に発表され、初日は約4ヶ月後の11月11日(追加公演)でした。しかし、大阪公演の会場発表は9月12日(公演の約2ヶ月前)、追加公演の発表は10月14日(公演の約1ヶ月前)と、段階的な情報公開がなされました。
2015年の「リベンジ公演」では、ドーム公演が1月29日に発表され、初日は約3ヶ月弱後の4月21日でした。日本武道館公演は3月20日の発表で、公演日は約1ヶ月後の4月28日でした。
2017年は、ドーム公演が1月1日に発表され、初日は約4ヶ月弱後の4月25日(武道館)。武道館公演の発表は3月10日で、公演まで約1ヶ月半でした。
2018年は、ドーム公演が8月8日に発表され、初日は約2ヶ月半後の10月31日。両国国技館公演は9月28日の発表で、公演日は約1ヶ月強後の11月5日でした。
日本武道館や両国国技館といった特別な会場での公演は、さらに短いリードタイム(1ヶ月~1ヶ月半程度)で追加発表されるケースが多いことがわかります。インターネットやSNSが普及した現代においては、情報拡散のスピードが速いため、比較的短いリードタイムでも十分な告知が可能であり、むしろ集中的な話題喚起に繋がっていると言えるでしょう。
IV. 今後の日本公演の開催予想
ポール・マッカートニーは、2020年以降も「Got Back」ツアーと銘打った大規模なワールドツアーを精力的に展開しており、その音楽活動への情熱は衰えを知りません。御年80歳を超えてもなお、3時間近くに及ぶステージをこなす姿は驚異的であり、多くのファンに勇気と感動を与え続けています。
こうした近年の活動状況を踏まえると、今後の日本公演の可能性は決して低くないと考えられます。
もしも2026年秋に来日するとすれば7月下旬〜8月上旬に発表されるはずなので要注目です。


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