ポール・マッカートニーとローリング・ストーンズは何度共演した?録音・ライブ・発言を整理

ポール・マッカートニーが、ローリング・ストーンズの2026年のアルバム『Foreign Tongues』収録曲「Covered In You」でベースを演奏しています。

ポールがストーンズの作品でベースを弾くのは、2023年の「Bite My Head Off」に続いて2曲目。ただし、2曲は別々の機会に録音されたのではありません。同じセッションで演奏した2曲が、3年の間隔を空けて別々のアルバムに収録されました。

ビートルズとローリング・ストーンズは60年以上にわたって比較されてきましたが、ポール本人とストーンズの共演は意外に多くありません。

「Covered In You」でポールは10分間だけストーンズになった

「Covered In You」で求められたのは、ポールらしい歌うようなベースではなく、歪んだ音で押し切る単純なパンク・ベースでした。

ミック・ジャガーは、ポールがこの方向の演奏を受け入れるかプロデューサーのアンドリュー・ワットに確認しています。ワットは「ポールならできる」と答え、ポールは約10分で必要な演奏を完成させました。

低音は細かく動かず、ギターとドラムの間を太い音で埋めています。ビートルズの「Something」や「Dear Prudence」で聴ける装飾的なベースとは正反対です。

本人もこの体験を「ストーンズのセッションマンになった」と表現しました。曲を書き、歌い、全体を決めるポール・マッカートニーではなく、指示されたベースを弾く一人の奏者になれたことを楽しんでいます。

2023年と2026年に発表された2曲は同じ日に録音

アンドリュー・ワットは当時、ポールの新作(のちの『The Boys of Dungeon Lane』)とローリング・ストーンズの新作を並行してプロデュースしていました。その接点から、2022年頃にポールがストーンズのセッションへ参加します。

この日に録音したのが「Bite My Head Off」と「Covered In You」です。

  • 2023年:「Bite My Head Off」を『Hackney Diamonds』に収録
  • 2026年:「Covered In You」を『Foreign Tongues』に収録

つまり2026年にポールが再びストーンズと録音したのではなく、同じ日のもう一つの成果が3年後に姿を現しました。

「Bite My Head Off」では、ポールのベースがギターのように歪んでいます。公式映像にはポールがスタジオでベースを弾く姿も差し込まれています。録音後、ポールは「ストーンズとベースを弾いた。しかも自分はビートルズだ」と少年のように興奮していた、とワットは証言しています。

キース・リチャーズはこのセッションを「昔のようだった」と振り返り、2026年には「ポールはバンドにいることを本当に恋しがっている」と語りました。ポールが喜んだのは歴史的な競演という肩書ではなく、同世代のバンドの中で演奏することそのものだったのでしょう。

ポールが参加したストーンズ作品は4曲

発売年 担当
1967年 We Love You バッキング・ボーカル、手拍子
1967年 Dandelion バッキング・ボーカル
2023年 Bite My Head Off ベース
2026年 Covered In You ベース

1967年の「We Love You」では、ジョン・レノンとポールがバッキング・ボーカルを担当しました。ミックとキースがビートルズの「All You Need Is Love」のコーラスに加わった直後であり、お返しのような参加です。

「Dandelion」への参加は長く資料によって見解が分かれていましたが、キースは2023年のインタビューで、ジョンとポールが「We Love You」と「Dandelion」に参加したと説明しています。

これより前の1963年には、ジョンとポールがストーンズへ「I Wanna Be Your Man」を提供しました。ただしポールはストーンズ版の録音には参加していません。

ステージではロン・ウッドと共演

ポールがミックまたはキースと同じステージで一緒に演奏した確実な例は確認できませんでした。一方、ロン・ウッドとは少なくとも4回演奏しています。選曲はすべて「Get Back」です。

  • 2011年12月5日:ロンドン・O2アリーナ
  • 2012年3月29日:ロイヤル・アルバート・ホール
  • 2018年12月16日:ロンドン・O2アリーナ
  • 2024年12月19日:ロンドン・O2アリーナ

2012年は、ロンに加えてロジャー・ダルトリーとポール・ウェラーも参加しました。

2018年にはリンゴ・スターも加わっています。詳細は過去記事「ポール・マッカートニー2018年最終公演にリンゴ・スターとロン・ウッド ゲスト出演」にまとめています。

2024年の共演では、半世紀以上行方不明だった1961年製ヘフナー500/1をポールが使用しました。戻ってきたベースで演奏する曲が「Get Back」、横でギターを弾くのがロン・ウッド。出来すぎた場面ですが、2011年から同じ曲を繰り返してきた二人だから成立しました。詳細は「ポール・マッカートニー2024年最終公演でリンゴ・スターやロン・ウッドと共演 盗まれたベースも登場」をご覧ください。

2013年にはポールの息子ジェイムズのライブ(彼のツアー前の前夜祭みたいな位置付け)でポールとロンがサポートとして演奏する、という場面がありました。

ロンの番組にポールがゲスト出演

2012年6月25日放送の『The Ronnie Wood Show』には、ポールがゲスト出演しました。二人は「Get Back」や「Maybe I'm Amazed」、3拍子の曲について語るだけでなく、ギターを手に即興演奏しています。


演奏したのは「Twenty Flight Rock」「Chains」「That'll Be The Day」など。ビートルズ対ストーンズという巨大な看板を外すと、二人の共通言語は10代のころに覚えたエディ・コクラン、バディ・ホリー、チャック・ベリーです。

ロンが在籍したFacesは、1971年にポールの「Maybe I'm Amazed」をカバーしています。ロンにとってポールは、時々ステージへ呼ばれる有名人ではなく、ローリング・ストーンズ加入前から演奏してきた曲の作者でもあります。

「ビートルズの方が上」「ストーンズはカバーバンド」

両者は互いを褒めるだけではありません。キースは2015年に『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』を酷評。ポールは2020年にビートルズの方が上だと答え、2021年にはストーンズを「ブルースのカバーバンド」と表現しました。

ミックは「ビートルズも最初はカバーバンドだった」と返し、ロサンゼルス公演では「ポールには後でブルースのカバーに参加してもらう」と観客を笑わせました。

しかし発言の前後まで読めば、深刻な対立ではありません。ポールはストーンズへの敬意を同時に語り、ミックはビートルズとの比較を宣伝や地域対抗の産物として扱っています。その後、ポールが実際にその「ブルースのカバーバンド」のスタジオへ入り、ベースを弾きました。

ポールはストーンズとの録音でバンドの一員に戻った

重要なのは、現在のポールが自分の名前を背負わずに演奏できる数少ない場所として、ストーンズのスタジオが機能したことです。

「Covered In You」を聴くときは、ポールらしいフレーズを探すより、ポールがどれだけ自分を消してストーンズの一員になっているかを聴くべきです。

ポールとリンゴの2026年の共演については「ポール・マッカートニーが新作『Home To Us』でリンゴ・スターとボーカルを分け合う(過去のレコーディング共演まとめ)」にまとめています。

主な参照先:The Rolling Stones公式映像、Paul McCartney公式サイト、ABKCO、JohnLennon.com、Apple Music、People、MusicRadar、The Guardianほか。

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