Rickenbacker 4001 C64 MOD ベース入手編

僕が甲虫楽団で使用しているもう1本のベース(他方はHofner HCT 500/1)について記します。Rickenbacker(リッケンバッカー)社製の4000番台シリーズで、ポール・マッカートニーがビートルズ中期~ソロ初期にかけて使用していたことで有名です。まずは入手編です。

リッケンバッカーのベースを入手しようと思うまで

僕は昔からその特徴的な形状が好きで2001年にFernandes社製の4001コピーモデルを購入して使用していました。ボディはジェットグロー(黒色)で、スルーネック、クリア塗装されたネック、トースターピックアップ、リックオーサウンド(ステレオ出力)まで再現された優れモノでした。
その後、2004年にRickenbacker社本物の4003(色は2003年限定色のモンテズマ・ブラウン)を中古で購入し、Fernandes社製は売却しました。
それからしばらく4003を使っていましたが、遠目にも外見がポール使用器と異なっているのが気になっていました。最も異なるのはネックです。ポール使用器はバインディングがなく、ポジションマークもシンプルなドットのタイプです。4003はネックにバインディングがあり、ポジションマークはトライアングルインレイでした。4000番台の仕様としては後者の方が標準ですし豪華ではあるのですが。ポールのものはリックオーサウンドも無いので、4001の廉価版という位置づけなのかもしれません。
それは名前にも表れていて、よく4001Sと表記されるポール使用器ですがSはStandardの意味という説があります(SpecialやSuperではなく)。4001自体が4000DX(DX=デラックス)の改良版ですのでその廉価版はLite等ではなくStandardというわけです。もともとポール使用器の仕様はイギリスの楽器代理店ローズ・モーリス経由で型番1999としてヨーロッパに販売するためのものだったので大量に製造・販売できるよう仕様を簡略化した可能性があると思います。いずれにせよ、ヨーロッパを代表するミュージシャンであるポールをこのモデルの広告塔に使用する企みだったことは確かでしょう。

左:コピーモデル 右:4003

4001入手作戦開始

ポール使用器はそんな特殊な経緯の製品なので現行品で同様の仕様は存在せず、リイシュー(復刻版)として製造されたものを入手することになります。かつては4001 V63という製品がありましたが、その後4001 C64としてリニューアルしました。いずれも2012年までに廃番になっています。
漠然とポール仕様のものが欲しいと思い始めた2010年春の時点で、V63の中古は20万円弱、C64の新品は40万円前後でした。V63の中古は20年以上前に製造されたものがほとんどでしたし、年代が進むにつれ小ぶりな作りになっているので食指が伸びませんでした。となるとV63の改良版であるはずのC64が候補になりますが、ご多分にもれずビートルズのプレミアがついて高値です。右用のベースはリバースヘッド(ヘッドのデザインが左右逆)になっていることも気がかりでした。これは、ポール使用器が左用ボディに右用ネックを装着しているのを正反対にしたという意図ですが、ポール使用器の場合はしかたなく右用ネックを使ったのでしょうからそれを無理やり左右ひっくり返すとはなんとも滑稽です。
その後日本限定でヘッドが逆になっていないモデルが1999という当時の型番で発売されたので、そちらが最有力候補でしたがそれにしても高いので中古の登場を待っていました。

4001 V63/C64入手実行

2010年夏、オークションにRickenbakcer 4001が出品されました。ヘッドのデザインから一見してC64ですが、説明文を読むと電気系統や金属パーツはほとんどV63などの寄せ集め(リッケンバッカー社の純正品ではあるものの)とのことでした。この状態に組み上げてからは使用していないようなので経緯が不思議ですが、出品者はV63のボディにC64のパーツを着けて究極の4001を作成したかったのかもしれません(それのどの辺が究極なのかわかりませんが)。改造品ということで値段も10万円台前半が予想されましたし、オリジナル性(新規製作時の状態の維持)はさほど重視していなかったので興味があったのですが、リバースヘッドの滑稽さだけが気がかりでした。
ところがその懸念も「リバースヘッドは弦のテンションが通常と変わるので音に影響する(=ポールの音に近づく)」という説を目にして一気に瓦解し、入札合戦の末なんとか落札できました。同時に4003は売却しました。コピーモデルから出世魚のようについに本物の4001に至ったわけです。このベースは4001C64 MOD(modificationと「もどき」をかけて)と呼ぶことにしました。
左:4003 右:4001C64 MOD

リバースヘッド
ペグは60年代の逆巻き
テイルピースは5点留め。現行品?
ピックアップはV63のもの

仕様のポイント

ポール使用器を基準として4001Sシリーズ(V63やC64も含む)を評価する際の様々なポイントがあるようです。僕が知っている限りで列挙します。他にもあると思います。
  • 色(C64よりもっと黄色い?)
  • ボディ形状(C64でもまだまだとか)
  • ヘッド形状(V63は年代が進むにつれ小さく、短くなった)
  • ペグ(60年代やC64は回す方向が逆の「逆巻き」)
  • ネック(竿の部分は本来1ピースだが2010年製のC64では2ピースのものも!)
  • ホースシューピックアップ(60年代はカバーも磁化されていたが、V63のほとんどやC64は単なる飾り)
  • ピックアップのコイル巻き数(V63以外は巻き数が少なめ?)
  • リアピックアップマウントリング形状
  • ピックガード形状
  • テールピース(3点留めが正しい。C64は3点留め)

収支報告

Fernandes社製コピーモデルは4万円で購入して3万円で売却しました。Rickenbacker 4003は13万円で購入して11万円で売却しました。Rickenbacker 4001 C64 MODは13万円で購入しました。
16万円程度の出資で10年間3本のベースを手にしたことになります。中古でも需要がある楽器は中古で買い換えていくのが良いと思いました。


第一弾はここまで。第二弾では使用弦や改造など現在の状態について記します。

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2 コメント

  1. ブログを拝見いたしましたが、C64もどきって、これはC64ボディーそのものではないのですか?

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    1. コメントありがとうございます。

      生粋のC64には金銭的価値が劣るよ、という意図でしたが確かにボディはC64なので「もどき」は言い過ぎだったかもしれません。modificationもかけて「MOD」と言い換えることにしました。

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