リンゴ・スター夫妻 私物オークション落札総額11億円超える

「終活」とも「断捨離」とも評されているリンゴ・スター夫妻の私物オークション「Property From The Collection of Ringo Starr and Barbara Bach」が2015年12月3日~5日にアメリカ ビバリーヒルズで開催されました。1300点以上が出品され、手数料込の落札総額は920万米ドルを超えました。
ジョン・レノンから贈られたギターを弾くリンゴ

主催したのはもうすっかりおなじみのJulien's Auctionsです。
Property From The Collection of Ringo Starr and Barbara Bach
夫妻のサイン入りカタログ1000ドルで販売

開催前の出品物紹介

直前お披露目イベントの様子

今回最も高値を付けたのはリンゴが1963年5月~1964年2月に使用していたラディック社の「オイスター・ブラック・パール」ドラムキットで、211万米ドル(約2億6千万円)でした。ポール・マッカートニーもこのキットの一部を借りてソロアルバム「McCartney」で使用したそうで、価値を高める要因になっています。
 
落札したのはインディアナポリス・コルツのオーナー、ジム・アーセイでした。彼は先月もThe Beatlesロゴ入りドラムヘッドを205万米ドルで落札しています(くわしくは→こちら)。ヘッドだけなのに今回のキットとほとんど値段が変わらないのは、そのヘッドがビートルズのエド・サリヴァン・ショー初出演時に使用されていたからです。それほどアメリカ人にとって、エド・サリヴァン・ショーの意味するところは大きいのでしょう。また、今回の出品物に装着されているロゴ入りヘッドはレプリカ(本物はポール・マッカートニーが所有。借りパク?)なので、本物のヘッドと組み合わせてホンモノ度を高めたいという意図もあると思います。
ポールの背後にドラムヘッドが見える
彼は既にビートルズ本人が使用したギターを複数所有しており、「これで45年ぶりにビートルズが揃った」という主旨の発言をしています。ポール・マッカートニーは物持ちが非常に良く使用した楽器が市場に出回ることが無いので、どのギターをポール役と見なしているか興味あります。
彼はこれらの楽器を使用してビートルズトリビュートライブを開催する構想があるそうです。是非実現して欲しいです。

落札金額第2位は91万米ドル(約1億1千万円)をつけたRickenbacker 1996(325モデルのイギリス輸出版)です。ジョン・レノンが有名な黒地に白いピックガードのRickenbacker 325ギターの代替品として1964年のクリスマスシーズンに使用しました(くわしくは→こちら) 。
リンゴが1968年のアルバム「The Beatles」レコーディング中に非公式に脱退した後、復帰した際にジョンから贈られたものだそうです。ジョンはこの小ぶりなギターがリンゴに合うと考えたのだろう、とリンゴ本人が語っています。このギターでリンゴももっと作曲するように、という計らいだったとも聞きます。
このギターを落札したのは、またもやジム・アーセイです。ジョンが使用したRickenbacker 325タイプのギターのうち、お金で手に入るのは現状これしか無いので(残りはオノ・ヨーコ所有)、この金額もうなずけます。彼は他に、リンゴのトレードマークであるリング(指輪)も落札しています。筋金入りです。

落札金額第3位はアルバム「The Beatles」(通称ホワイトアルバム)モノラル イギリス初版シリアルナンバーNo.0000001で79万ドル(約9千700万円)でした。今度の落札者はジム・アーセイでは無く、あきらかになっていません。

追記:史上最も高値でオークションで落札されたレコードであるとギネスに認定されました。(参考
落札される瞬間の様子(65万ドルで落札後、手数料が加算されて79万ドルになった)↓
1番&リンゴが所有していたというプレミアム以外に、レコードとしての音の鮮度に興味があります。

その他ビートルズ関連では、ジョージ・ハリスン追悼コンサート出演のお礼として遺族から形見分けされたグレッチ テネシアン 17万9千米ドルが続きます。この値段からして、1964年~1965頃にビートルズのレコーディングやステージでジョージが使用していたものとは別なのだと思います。
 
その他、「Hello, Goodbye」のプロモーションビデオで使用したドラムキットが11万5千米ドル、ラディック2代目で使用したスネアドラム(ポールが「McCartney」で使用)が7万5千米ドル、というのが目立ったところです。

人からもらった大事なものや思い出の品を何故ここまで徹底的に放出するのか、といぶかしがる声もありますが、こうやって次世代に話題と夢を提供してくれるのはありがたいことです。リンゴ・スターは2013年~2014年に開催した『Peace & Love』展(くわしくは→こちら)の出展物を整理した際、自分のコレクションが膨大過ぎて身に余ると感じたことが、今回のオークションのきっかけとなったそうです。収益金は夫妻が設立したロータス基金に寄付されます。

この数日間は世界を巻き込んだお祭りの様相を呈していました。 期間中リンゴが終始上機嫌だったのが嬉しくもあり少し切なくもありました。一連のオークションでさらに知見を深めたビートルズ楽器研究界の大家Andy Babiuk,は改訂版「 Beatles Gear」の発売記念サイン会を開催しました。ビートルズ公式ファンクラブを仕切っていたフリーダ・ケリーは同オークションが主催した映画「愛しのフリーダ」上映イベントのため渡米し、リンゴとも7年ぶりに再会しました。
リンゴ、バーバラ、フリーダ


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