レビュー:映画『ジョン・レノン〜音楽で世界を変えた男の真実〜』

 ジョン・レノンの誕生からビートルズデビュー期までを追ったドキュメンタリー映画『ジョン・レノン 音楽で世界を変えた男の真実』が2022年12月8日(ジョンの命日)から日本で劇場公開されました。

海外版イメージ

JOHN LENNON 音楽で世界を変えた男の真実(日本公式サイト)

海外版トレーラー↓

 

「音楽で世界を変えた男の真実」と仰々しい邦題ですが、少なくとも「音楽で世界を変えた」部分については描かれていません。原題は「Looking for Lennon」であって、ジョンを探求するためにリバプールに行って友人知人に話を聞いた、という内容です。
聞き慣れたジョンの生い立ちからビートルズのデビューまでのエピソードを当時を知る人たちの証言で補いながら順を追って描きます。淡々とした展開で、劇的な演出や深い考察などはありません。
珍しい写真も多く披露されておりそれぞれの証言は臨場感があって興味深いのですが、掘り下げが足りないように感じます。母ジュリアの死で終わるぐらいの濃密さがあった方がよかったかもしれません。ビートルズのメンバーはほとんど登場しないので、その割り切りはよかったと思います。
ビートルズの前身バンド、クオリーメン(新録の演奏シーンもあります)以外で僕が以前から知っていた証言者は、ユルゲン・フォルマー(ビートルズハンブルグ時代を知る写真家)、 ハンター・デイヴィス(ビートルズ公認伝記作家)、サム・リーチ(ビートルズのプロモーター、本作完成前に死去。くわしくは→こちら)、でした。
こういったビートルズ非公式の映画にしては珍しく、ビートルズやジョンの本物の音源が複数使用されています。利用料が高いとかそもそも使用許諾が下りないと聞いたことがありますが、本作はどういったカラクリでしょうか。

本作はジョンの生い立ちについて初めて知る用途にはお勧めできません。ある程度知っている人が想像力の解像度を上げるために見る映画だと思いました。

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