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ビートルズ日本公演を軸に日本の「ザ・ビートルズ史」を描いた映画『ミスタームーンライト〜1966 ザ・ビートルズ武道館公演 みんなで見た夢〜』が2023年1月27日から劇場公開されました。初日に見て来た感想です。
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【レポート】『ミスタームーンライト』東考育監督とビートルズ研究家・監修の藤本国彦が作品の裏側を語る!
ネタバレ無し感想
想像をやすやすと超えてくる力作でした。証言者の出演交渉、ビートルズ本人素材の収集、イメージシーンの撮影…作品の完成度を高めるために一切妥協しないという制作者の強い意志を感じます。膨大なインタビュー素材をテンポよくつなぎ合わせて日本におけるビートルズを立体的に描いており、その臨場感は見るものを1960年代の日本に誘ってくれます。すばらしい作品を世に出していただきありがとうございました。
ネタバレあり感想
日本とビートルズを描く作品にも関わらず、いきなりリバプールのキャヴァン・クラブにいるフリーダ・ケリー(ビートルズ公式ファンクラブ運営担当)という大物から始まり、畳み込むようにジュリア・ベアード(ジョン・レノンの異父妹)、さらにはトニー・ブラムウェル(ビートルズのロードマネージャー)まで出てくることに本作の本気度を感じました。フリーダがキャヴァン・クラブ内で感慨深げに語っていましたが、当時のキャヴァン・クラブとは所在地が違うことは申し添えておかなければなりません。
フリーダ・ケリーは自身を題材にしたドキュメンタリー映画のプロモーションで2013年に来日しています。当時の様子はこちら→レポート:「愛しのフリーダ」Q&A付最速上映
その後はこれでもかとビートルズ日本公演を語る上で欠かせない証言者のオンパレードで、出てきていない主要人物は浅井慎平さん(ビートルズ来日時に帯同し多くの写真を撮影)ぐらいしか思いつきません。浅井慎平さんは2016年のビートルズ公式映画『ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK The Touring Years』で証言しているのでそちらも合わせて見ることをお勧めします。
『ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK The Touring Years』について当ブログでの記事一覧はこちら→https://blog.kouchu.info/search/label/EightDaysAWeek
ビートルズ日本公演を語る際、前座としてドリフターズが出演したことは必ずと言っていいほど話題になりますが、今作では触れられていません。ドリフターズのメンバーの過去の発言を思い返すに、あまり当時について語る言葉を持っていないのだと思います(覚えていないか興味が無い)。志村けんさんがご存命だったらきっと証言者として出演していたでしょう。当時ドリフターズには未加入でしたが、ビートルズ日本公演にも参加した生粋のビートルズファンでした。
志村けんさんとビートルズの関係については→志村けんさん死去 ドリフターズが前座で出演しただけではないビートルズとの密接な関係
インタビュー素材は選び放題だったはずで、その選別や並べ替えが監督の腕の見せ所だったと思います。非常にセンス良く一つの事象を複数の証言者の多面的な発言を細切れにして臨場感を高めていました。当時のことを懐かしく語る座談会に居合わせた感覚です。一方、来日公演実現に直接関わった方々は多くが鬼籍に入っていることから、来日交渉の生々しい現場の描写に物足りなさは正直ありました。その点は周辺にいた人の証言や当時の報道内容を積み重ねていく推理小説の手触りで飽きさせずに見せてくれました。
全体的に証言内容自体はどこかで見知ったものが多かった気がしますが、高橋克彦さんがビートルズに会うためにロンドンに行って実際に会えたエピソードは初めて聞きました。
ビートルズ本人映像が何度も登場することにも驚きました。昨年公開された警視庁撮影映像も使用していましたし、ビートルズが世界各地のコンサートやテレビで演奏している映像が音声付きで複数回登場します。しかしながら肝心のビートルズ日本公演の音声付き映像が登場しないのは予想されてはいたものの残念です。スタジオ音源は1曲も使用されておらず、本作の題名になっている「Mr Moonlight」が使えなかったのは無念だったと思います。このあたりの経緯をご存知無い方は当時作成された来日ドキュメンタリーについて語る部分で何のことを言っているのかわからなかったかもしれません。以下が当該ドキュメンタリーの有名なシーンです。↓
ビートルズ日本公演そのものを表現する際に本物の音源を使用できないのは定番なのでそこをいかに演出するかが見どころとなっています。本作は全編にわたって新たに撮影したイメージシーンが豊富なので何をしてくるかの期待感が高まりましたが意外とあっさりしていました。これはこれで想像力をかきたてられるので意図的かもしれません。
ドキュメンタリー作品の、とくにエンディングがどうなるかは証言者が印象的なフレーズを口にするか次第で運任せのところもあります。今回は饒舌な髙嶋弘之さんに頼りすぎな感がありました。興ざめなメタ発言もいくつかありましたし、もっと硬軟うまく配分してスタイリッシュに終わる手もあったと思います。エンディングロールで101歳からカウントダウンしてビートルズの好きな曲を市井の人にインタビューする企画はとても良かったです。
内容的にも映像作品としても「ビートルズと日本」に関する決定版と言えます。全てのビートルズファンにおすすめできる作品です。泣く泣くカットしたインタビュー素材がたくさんあるはずなのでディレクターズカット版の発売を期待します!
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