「サウンド&レコーディング・マガジン」に「While My Guitar Gently Weeps」の録音裏話掲載


雑誌「サウンド&レコーディング・マガジン」2012年7月号の「Classic Tracks」コーナーで「While My Guitar Gently Weeps」が取り上げられており、エンジニアを務めたケン・スコットがインタビューに応えています。
自叙伝「Abbey Road to Ziggy Stardust」を発売したばかりとあって活発な活動です。

これは英語の記事を日本語に翻訳したものであり、原文が以下に掲載されています。
http://www.performing-musician.com/sos/jun12/articles/classic-tracks-0612.htm

内容は以前の投稿(1)(2)で紹介したものと重複する部分もありますが、今回はこの1曲について詳細に解説しており、とくにレコーディング技術に注目した内容になっています。
その中でも興味深い内容としては
  • Anthology 3に収録されている同曲のアコースティックバージョンはGibsonのギターをNeumann KM56のマイクで収録した。
  • リンゴ・スターのドラムの録音に使用したマイクはおそらくスネア:Neumann KM56、 バスドラム:AKG D20、タム:AKG D19s、オーバーヘッド:STC 4038
  • ポール・マッカートニーのベースの録音はDIも使用したが、STC 4038、Neumann U67、 AKG C12のどれかでマイク収録もしていた。
  • オルガンの録音にはおそらく2本のSTC 4038を使用した。
  • ジョン・レノンとジョージ・ハリスンのギターの録音にはおそらくNeumann U67を使用した。
  • 使用した3M M23(8トラックマルチレコーダー)ではADT(Artificial Double Tracking )やフランジングの技術がまだ使えなかったため、 Studer(こちらは4トラック)でエリック・クラプトンのギターを録音した。
  • エリック・クラプトンは自分のギターの音をビートルズのように加工することを望んだのでADTやフランジングで加工することにした。ジョージのギターをいつもそのように加工していたわけではないが。
  • クリス・トーマスがオシレーターを小刻みに前後に動かしてテープの回転速度を変えエリック・クラプトンのギターとオルガンの音を加工した。
  • ミキシングの段階でビートルズは「高音と低音をめいいっぱい上げろ」と指示するのが常だった。
  • 当時のイコライザーは100Hz~5KHzの範囲でしか調整できなかったが、現代の機材とは異なり両端の周波数帯をブーストしても、良い音のままだった。

その他、「Sexy Sadie」の長時間に渡る録音ではビートルズを信じて根気よく付き合っていたこと、ミスまでも的確に採用するビートルズの型破りなセンスに脱帽したこと、「Birthday」が誕生した日の秘話などを語っています。

今回の記事はどうも「ザ・ビートルズレコーディング・セッション」からの引用が多い気がします。もちろん事実は一つなので内容が似ることは当たり前だと思うのですが、それにしても表現や着目する点が似ています。



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