2025年11月リリースの『Anthology 4』に期待していた未発表音源(Carnival of Lightなど)が含まれなかったことに肩を落としていた矢先、YouTubeや海外フォーラムを中心に、長年存在だけが知られていた1963年の未発表音源が立て続けに流出しました。
今回明らかになったのは以下の3つです。
- Love of the Loved (Paul's Acoustic Demo 1963)
- Misery (Cavern Club Rehearsal Jan 1963)
- What Goes On (John's Demo 1963)
いずれも歴史的価値が極めて高いものです。
ついに全貌が判明した「What Goes On」
このブログでは2017年に、ジョージ・ハリスンの遺産(Estate)から流出したとされる「What Goes On」のアセテート盤がオークションに出品された話題を取り上げました。
What Goes Onのデモ音源がオークションに
当時は短いスニペット(断片)しか聴くことができず、「ジョンがリードボーカルをとっているらしい」「リズムが違うらしい」といった推測止まりでしたが、今回の流出でついにフルバージョン(約2分)の全貌が明らかになりました。
聴いてみて驚いたのは、その「雰囲気」の違いです。
1965年の『Rubber Soul』に収録されたリンゴ・スターのボーカル版は、陽気なカントリー&ウェスタン調ですが、この1963年版デモは全く異なります。
- ボーカル: ジョン・レノンがリードをとり、ポールがハーモニーをつけています。
- 曲調: バディ・ホリーや初期ボブ・ディランを彷彿とさせる、哀愁漂うフォーク・ロック調です。
- 歌詞: リンゴ版とは歌詞が大きく異なります。特に "waiting for the tides of time" というフレーズが含まれており、これが後に『Rubber Soul』セッションで書き換えられたことが分かります。
「Love of the Loved」と「Misery」
Love of the Loved (1963 Acoustic Demo)
デッカ・オーディションのテイクが有名ですが、今回出たのはシラ・ブラックへの提供用と思われるポールのアコースティック・デモ。デッカ版のような「エルヴィス風の気取った歌い方」ではなく、シンプルなボーカルです。
Misery (Cavern Club Rehearsal)
マーク・ルイソン氏の講演会などで断片が紹介されていた1963年1月下旬録音とされるキャバーン・クラブでのリハーサル音源。スタジオ版の特徴であるジョージ・マーティンのピアノが入っていない、純粋なギターバンドとしての演奏です。ヘレン・シャピロ(Helen Shapiro)のために書かれた楽曲だったため(結局ボツになりましたが)、この時点では歌詞の主人公が女性のままです。


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