ジョン・レノンとチャック・ベリー |
ジョンにとってエルヴィスは畏怖の対象だったと思いますが、チャック・ベリーには同志のような感情を抱いていたのではないでしょうか。リフを基準に曲を作り上げ、こだわりぬいた自作詞を弾き語るというスタイルが共通しています。
そのせいか、ジョンはビートルズ時代からソロ時代に至るまで気軽にチャック・ベリーの曲を取り上げています。気軽過ぎて盗用で訴えられて和解させられるほどです。ビートルズの「Come Together」はチャック・ベリーの「You Can't Catch Me」から歌詞やメロディーを拝借しているとされました。(以下の動画の1分10秒あたり)
和解の条件として、ジョンはアルバムにチャック・ベリーの曲を収めることになりました。たぶん著作権使用料がチャック・ベリー側に払われることを意図していたはずで、何の曲でも良かったと思うのですが、 問題の「You Can't Catch Me」を「Come Together」に寄せたアレンジで収録したのはジョンのギャグでしょうか。
そういったもめごとはありましたが、ジョンとチャック・ベリー本人の関係は良好だったのでしょう、ジョンの死後はジョンの息子ジュリアンとステージ上で共演することもありました。
後者の映像は「ロックの殿堂」創設時のセレモニーのもので、チャック・ベリーは真っ先に殿堂入りしています。
ポール・マッカートニーもチャック・ベリーに影響を受けていると思いますが、ビートルズの中で「チャック・ベリー担当はジョン」 という認識があったのでしょうか、ジョンとは少し異なった一歩引いたアプローチでチャック・ベリーを自分に取り入れています。
チャック・ベリーとポール・マッカートニー |
チャック・ベリーの「Back in the USA」から着想を得て「Back in the USSR」を作りましたし、「I Saw Her Standing There」の歌詞にはチャック・ベリーの「Little Queenie」からの影響を感じます。また、「I Saw Her Standing There」のベースのリフはチャック・ベリーの「I'm Talking About You」から引用したとポール本人も認めています。
このようにビートルズから親近感を持って愛されたチャック・ベリーの曲はビートルズによって数多く演奏されています。以下の15曲が確認されています。(★=ビートルズ版音源が公式発売済)
Roll Over Beethoven ★
Sweet Little Sixteen ★
Johnny B. Goode ★
Maybellene
Rock and Roll Music ★
Almost Grown
Carol ★
Little Queenie →ビートルズ版
Reelin' and Rockin'
Thirty Days
Vacation Time
Memphis, Tennessee ★
Too Much Monkey Business ★
I Got to Find my Baby ★
I'm Talking About You ★
9曲がビートルズ名義で公式発売されており、これはビートルズがカバーしたアーティストの中で最多です。
ビートルズ関係者はSNSで追悼コメントを発表しています。
Paul on Chuck Berry: pic.twitter.com/87DxRupRcI— Paul McCartney (@PaulMcCartney) 2017年3月20日
R I P. And peace and love Chuck Berry Mr. rock 'n' roll music 😎✌️🌟💖🎵🎶☮ pic.twitter.com/hS2S2lUORf— #RingoStarr (@ringostarrmusic) 2017年3月18日
"If you had to give Rock 'n' Roll another name, you might call it Chuck Berry"— John Lennon (@johnlennon) 2017年3月18日
John Lennon (with Chuck Berry)
Mike Douglas TV Show, 1972 pic.twitter.com/ViJtLblEwt
RIP Chuck Berry. The 1st song that @thebeatles performed at their 1st US concert was "Roll Over Beethoven."— George Harrison (@GeorgeHarrison) 2017年3月19日
Watch: https://t.co/rFyPCranEw pic.twitter.com/8JSgALNjDY
追記:RIP @ChuckBerry-inspiration to The Beatles. John,1970 ”We all owe a lot to him.” Paul,2016 “one of greatest poets America has ever produced” pic.twitter.com/Yl9oZrP1Kq— The Beatles (@thebeatles) 2017年3月19日
チャック・ベリーの葬儀でポール・マッカートニーのメッセージ(SNSに掲載したものとは別)が読み上げられたようです。
キッスのジーン・シモンズ、チャック・ベリーの葬儀で感動的なスピーチを披露(NME)
Chuck Berry Laid to Rest at All-Star St. Louis Memorial (RollingStone)
2 コメント
日本でのリアルタイムでの人気はイマイチだったのかな?
返信削除「ビートルズがカバーしたあの~」的な。
チャックベリーに「直接」影響を受けた日本のアーチストってあまり聞かないかも?
やっぱりビートルズやストーンズを通して間接的な影響か。
彼の音楽がなかったらビートルズもどうなっていたのか判らないってのは、あるんだろうね。
合掌。
※初来日は1981年だって。The WHOよりは早かったwww
コメントありがとうございます。
削除確かにチャック・ベリーはそのままだと
日本人には受け入れられにくいのかもしれません。
一方ビートルズがカバーした「ロック・アンド・ロール・ミュージック」は日本でも人気が高いので、ビートルズのセンスの普遍性を感じました。