ビートルズのトリビュートショー「レット・イット・ビー」来日ツアーが2014年3月4日東京の東急シアターオーブ(渋谷ヒカリエ11階)にて開幕しました。この初日公演に行ってきました。
いつのまにか(たぶん2月末)「KOSE Presents」になっていたこのイベント、2012年の「RAIN」(くわしくはこちら)の後継という位置づけですが、RAIN以上に目立った宣伝活動が無いままひっそりと初日を迎えました。
この日はスペシャル・サポーターの福田彩乃さんも来場し、キャストと共に取材に応じました。
ものまねタレント福田彩乃、「ザ・ビートルズ」のトリビュートライブを見て絶賛(livedoorニュース)
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福田彩乃のモノマネを海外キャスト絶賛(デイリースポーツ)
福田彩乃がニワトリものまねで『LET IT BE』はサイコー!(TOKYO HEADLINE)
福田彩乃が絶賛…ビートルズ・トリビュート(読売新聞)
3月4日夜、東京でローリング・ストーンズとビートルズのコンサートが同時に開催される奇跡が起こった!(ハフィントンポスト)
渋谷でビートルズのトリビュートライブ「レット・イット・ビー」-日本初公演(シブヤ経済新聞)
初日の客の入りは8割程度といったところです。客層は老若男女でしたが、RAINより平均年齢が下がったように思いました。当日の写真はイベント公式Facebookページが豊富です。
まず感じたのはRAINによく似ているということです。日本からすれば当たり前のようにも思いますが、実際は別団体でアメリカではRAINがLET IT BEを著作権(ショーのフォーマット)侵害で訴えたぐらいです。
両者の日本公演で同じだったのは以下のような部分です。
- ミュージカルというよりはバンド編成によるライブパフォーマンス(つまりコンサート)
- ビートルズの曲を年代に沿って衣装やセットを変えながら演奏する
- アコースティックコーナーがある(前の3人が座って演奏する)
- 曲順、曲の構成(端折り方)が同じ個所がある(とくにショー後半)
- ステージ両脇にテレビ型のスクリーンがある
- 開演前/休憩中に60年代音楽が流れる(Mellow YellowやGood Vibrationなど選曲も同じ)
- 開演前にビートルズトリビアクイズが上映される
- オープニングの映像はほとんど同じ(たぶん音や演出は同一で「RAIN」が「LET IT BE」に変わっただけ)
- ステージの合間に当時のCMやニュース映像が流れる(映像素材が一部同じ)
- 上演時間(約1時間演奏→20分休憩→約1時間演奏)※10~20分RAINの方が短い
RAINから改良されたと思われる箇所は以下です。
- 曲数が増えた(31曲→40曲)
- 映像に日本語字幕が付いた
- ビートルズの名MCの再現が増えた(あまり観客に伝わっていないようだが・・・)
- 演奏中の様子を多数スクリーンに映すようになった
- キャヴァン・クラブとロイヤル・バラエティ・パフォーマンスのシーンが追加された(その代りエド・サリヴァン・ショーのシーンは削除)
- シェイ・スタジアムのシーンではMCに長いエコーをかけたり歓声をかぶせるなどして球場コンサートの雰囲気を強調
- 演奏や歌にところどころアレンジを加えている(賛否両論あるだろうが)
ポール・マッカートニー役:Iain Hornal
ジョン・レノン役:Ryan Coath
ジョージ・ハリスン役:Paul Mannion
リンゴ・スター役:Phil Martin
キーボード類:Ryan Alex Farmery
それぞれについて感想を記します。
ポール・マッカートニー役:Iain Hornal
すばらしい歌を聴かせてくれました。彼個人の写真や映像を見るとナイーブな印象がありましたが、ステージ上で笑顔を振りまいて激しく動く様子にプロ根性を感じました。ただポールっぽいかと言えば話は別で、見た目は想像より似ていましたが歌、ベース、ギターはポールのものとは違う気がしました。ベースを右利きで弾くのはこのイベントの主旨としてはマイナス点です。ピアノはとても上手でした。
ジョン・レノン役:Ryan Coath
ミュージシャンとしては印象に残るポイントはありませんでしたが(逆に不満もありません)、本業が役者なようで、ジョン風すっとんきょうな立ち居振る舞いやMCで孤軍奮闘というぐらいステージをけん引していました。海外のトリビュートバンドは太っているジョン役が多いですが、彼はスリムなのも好印象です。
ジョージ・ハリスン役:Paul Mannion
マニアのポイントを押さえた期待を裏切らない演奏ですが、顔、立ち姿、声はジョージという感じではありませんでした。リンゴ役のPhil Martinの方が見た目がジョージに似ていると思いました。歌そのものは感動させるだけのものがありました。
リンゴ・スター役:Phil Martin
手数は申し分ないのですが、一打一打に気合いが足りないように感じました。ドラムを撫でているような印象です。これならもう一人のリンゴ役のChris McBurneyの方が期待できそうです。The Endのドラムソロは迫力あって良かったので単に手を抜いていただけかもしれません。MCは現代のリンゴ風にピース&ラブを連呼していました。
キーボード類:Ryan Alex Farmery
活躍が伝わりにくかったですが、キーボードのソロパートは軽々と弾きこなしていました。ビートルズ中期の曲の印象的なフレーズはところどころ自動演奏していたようです。
こう書くと不満だらけのように見えてしまいますが、演奏の堅実さと歌の力強さは日本のビートルズコピーバンドではなかなか見られないもので充分楽しめました。観客もみな楽しんでいたようで、一緒に歌うのはもちろん、ところどころ立ち上がったり手拍子していました。ネットでの口コミでもそこそこ評判が高いようです。
なお、MCはほとんどが英語で最後に「アリガトウ」というくらいでした。RAINのときもそうでしたが、あまりに英語MCへの観客の反応が薄いので今後日本語が増えるかもしれません。
グッズ販売は2000円のパンフレット(プログラム/小冊子)があるのみでした。パンフレットは大判で写真が多い(だが来日メンバーの写真ではない)20ページ超のものです。10列目以内確約のプレミアムシートには他にもお土産があるようでした。
最後に完全ネタバレとなるセットリスト(演奏曲目/演奏曲順)を共有します。RAINでは演奏しなかった曲を太字で示します。
■キャヴァン・クラブ(薄暗いステージにベスト姿)
I Saw Her Standing There
Please Please Me
From Me to You
It Won't Be Long
■ロイヤル・バラエティ・パフォーマンス(黒いスーツで。宝石ジャラジャラ発言)
She Loves You(3番カット)
I Want to Hold Your Hand(2回目のサビ以降カット)
All My Loving
■主演映画(黒いスーツで。ジョンはアコースティックギター)
A Hard Day's Night
Can't Buy Me Love
Do You Want to Know a Secret
Yesterday
■シェイ・スタジアム(1965年同所ライブでの衣装。ヘリコプターの音など)
Help!
I Feel Fine(2回目のサビ以降カット)
Ticket to Ride(2回目のサビ以降カット)
Drive My Car(3番カット)
Twist & Shout(ビートルズのライブでの演奏を意識した短縮バージョン)
Day Tripper(2番カット)
■サージェント・ペパーズ(ミリタリールック。アルバムジャケット風セット)
Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band
With a Little Help From My Friends(2回目のサビ以降カット)
Lucy in The Sky With a Diamond
When I'm Sixty-Four(イントロが長い)
Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band (Reprise)
A Day in the Life(オーケストラ上昇フレーズ6小節短い)
(20分休憩)
■フラワーパワー(サイケデリックな衣装)
Magical Mystery Tour(間奏まで)
All You Need Is Love(3番カット)
Strawberry Fields Forever
Blackbird(ここから椅子に座ってアコースティックセットになる)
Two of Us(2回目のサビ以降カット)
Norwegian Wood (This Bird Has Flown)
Here Comes the Sun
In My Life
The Long and Winding Road(間奏以降カット)
While My Guitar Gently Weeps(「Love」のストリングス入バージョンで始まり途中から通常バージョンに)
■アビーロード(アルバムジャケット風衣装)
Come Together(2番カット)
Get Back
Revolution(2番カット)
The End(ドラムソロから。ギターソロは3人分を一人で弾く)
■アンコール(ジョンのみソロ時代のミリタリージャケットに着替え)
Give Peace A Chance(短縮バージョン) ※ジョン・レノンのソロ曲
Let It Be(3番カット)
■ダブルアンコール
Hey Jude(2番カット。リフレインは女性→男性などアカペラで歌わせる)
※RAINで演奏されてLET IT BEで演奏されなかった曲・・・I'm Happy Just To Dance With You、Eleanor Rigby
※イベント公式サイトに演奏曲例として掲示されていたが演奏されなかった曲・・・Penny Lane、Long Tall Sally、I Wanna Be Your Man、Yellow Submarine、Eleanor Rigby、I Am the Walrus
8 コメント
レポートありがとうございます!
返信削除ただ、一昨年RAINを、昨年The Fab Fourを観てしまった私としては、LET IT BEとRAINが「兄弟演目」だとすれば、The Fab Four以上のものは望めないと個人的には思っていますので、今回はパスの予定です。(それだけにレポートでLET IT BEの様子がわかるのは有難いです。)
それでも多くの方がLET IT BEでビートルズを感じていただけるとよいと思います。
コメントありがとうございます。
削除RAINとThe Fab Fourを既にご覧になったのであれば今回のLET IT BEを見送るというのは妥当な判断かと思います。
ここまで内容がRAINに酷似しているとは思いませんでしたし、ダブルキャストの半分を見た限りでは歌や演奏はThe Fab Fourには及びませんでした。
演出はThe Fab Fourより華やかですし、RAINから正統進化しているので単体で見れば充分楽しめる内容にはなっていると思います。
58歳、素人のビートルズファンです。3/9の昼にLet It Be を観ました。歌も演奏も素人的には満足でした。しかし曲の2番を端折(はしょ)るという演奏スタイルには全く納得できませんでした。最初の内は、本物のコンサートでも端折ったのでそれを再現して見せているのだろうと思ってたけれど、ビートルズがライブを止めてからの曲まで端折っていたのが欲求不満で終わるだけ。単に曲数を増やして見せただけではないか、ビートルズを愚弄しているではないか、とさえ思ってしまう。そして、ジョン役がHere Comes The Sun でカポをなかなか装着できず、3番だけようやく合奏してた。客をなめてるんではないかと思った。でも、せっかくだから楽しんではきましたけど。今回初めて知った、甲虫楽団さんの存在、ぜひ下北沢に聴きに行きたいと思います、今回のプロらしい分析を拝読したところ、きっと満足させてくれそうだから。
返信削除コメントありがとうございます。
削除甲虫楽団は一介のアマチュアバンドに過ぎず、英語が母国語のプロミュージシャンであるLET IT BEのメンバーにはかなわないところもあると思いますが、ビートルズの楽曲に対する敬意とこだわりは負けていないと自負しています。
次回ライブは2014年5月17日(土)夜 JR総武線小岩駅徒歩すぐ「ジョニーエンジェル」でのワンマンライブを予定しています。見た目はまったくビートルズっぽくありませんが、音の忠実再現をモットーにビートルズの楽曲を30曲以上端折ることなく演奏します。
詳細決まりましたら甲虫楽団公式サイトでお知らせします。このブログ右上のお知らせ欄からもリンクされます。
昨日名古屋公演に行ってきたものです。
返信削除本当に細かいレポートありがとうございます。感謝申し上げます!
セットリストや使用楽器参考になりました!
RAINも観たのでもう少しマニアックな曲もやってほしかったですけどね・・・
コメントありがとうございます。
返信削除ここまでRAINに似ているとは思いませんでしたね。
多くの人を満足させようとすると内容が似通ってしまうのかもしれませんが・・・。
3月16日に福岡公演に行きました。市民会館という古い建物ですが、音響はかの山下達郎が絶賛するものです。前から8列目の真ん中と言う良席でした。結論からいうと、ショーと割り切ってみれば、なかなか楽しめる水準に達していたと思います。ただ、小生は11月15日のポールの公演をヤフードームで聞いてしまったので、どうしてもそれと比較する瞬間が去来しました。RAINというのは知らないのですが、小生1977年にブロードウエーのたしか、WINTER GARDENという劇場で、当時、話題になっていた「BEATLEMANIA]という出し物を鑑賞しました。常設の劇場だけあって、もうすこしセットが凝っていたような記憶があります。しかし、なにせ30年近く前の記憶ですから。今回も、ほとんど同じ印象です。
返信削除コメントありがとうございます。
削除ビートルズトリビュートショー「RAIN」立ち上げにはBeatlemaniaの出演者も関わっているそうで、そのRAINをお手本にした今回のLET IT BEにも連綿と受け継がれているのだと思います。