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ポール・マッカートニー日本武道館公演から1週間あまり経ちました。当日の様子を個人的視点で複数回に分けて投稿します。
開演前のウェーブ |
武道館に向けて出発
武道館公演記念グッズの発売が前日に発表され、朝からグッズ売り場に並んでいる人が多いことをSNSで知った。昨日に続く異例の夏日で行列に並ぶ方々の体力の消耗が心配。13時の販売開始早々に限定Tシャツは売り切れ、予約販売に切り替わったとのこと。買い占めに遭ったらしい。ここまでは想定内だが、それにしても用意された枚数が少なかったように思う。ファンの今日にかける思いを甘く見すぎているのでは無いか。16時半過ぎにポールが会場入りしたことをこれまたSNSで確認したのち半蔵門付近から歩いて武道館に向かう。これにより九段下駅の反対側からアプローチすることになり混雑を避けることができる。ポールも似たようなルートで来るはずなので被らないよう時間をずらしてのんびりと歩きながら徐々に気分を高めることにしたのだった。天気は曇となり暑さは大分緩和された。
武道館へのルート |
武道館周辺の様子
北の丸公園の中を進むにつれ徐々に喧騒が近づいてくる。まず聞こえてくるのは拡声器による案内だ。とはいえまだ声は遠いので内容はわからない。そうしているうちに木の隙間から光る玉ねぎが姿を表した。ポールの入り待ちの人だかりは既に解除されているようだが、まだ多くの人が武道館周辺に居た。このまま開場まで居る人も多いのだろう。まず目につくのは武道館の2階のベランダを占拠している列。グッズ売り場の列がさばききれず、武道館の建物を使用して迂回しているということだ。昨晩見に来た看板を再び写真に収める。看板の前では自撮りする人が多かった。メディアも多数取材に来ていて来場者にインタビューしていた。コスプレしている人も多く皆思い思いにお祭りムードを楽しんでいるようだった。階段を上るとグッズ購入待ち行列 |
看板を撮影する人多数 |
サウンドチェック
武道館に到着した17時頃はポールがサウンドチェックを行なっているようだったので建物の南側に回りギリギリまで近づく。ここは座席の引換や当日券販売の列があり、自分のように音漏れを聞こうと集まっている人も居た。建物から少し離れていても明確に音が漏れ聞こえてきており、これなら本公演時に1000名規模の聴衆が建物周辺に集まったというのもうなづける。サウンドチェックの進行はいつもと同じ。すなわちレスポールのエレキギターから始まり、ヘフナーベース、ピアノ、マーチンのアコースティックギター、12弦ギター、と順番に楽器を持ち替えて1~2曲ずつ演奏。ヘフナーベースの曲はいつもより多めに念入りに演奏しており、Penny Laneが繰り返し聞こえてきた。いつもならウクレレを弾くところでマンドリンでDance Tonightを演奏。これらの曲は本編で演奏すると確信した。久しぶりの曲や初めての曲を直前に確認しているのだろう。その後はエピフォンテキサン、マジックピアノといつも通りのメニューでサウンドチェックは終了。
当日券購入待ち行列は音漏れ最適スポットでもある |
チケット引換所(くじ引き会場) |
開場待ち
ポールの会場入り時刻は前日までのドーム公演に比べて1時間程度遅い。今日は開場から開演までがドームより1時間短いとはいえ、ドームは30分遅れの開演が常だったので今日も最低30分は開演が遅れるだろう。実際、本来の開場時間の17時30分を過ぎても開場せず、入場待ちの列は長くなる一方だった。とくに2階席の行列は同じ公園内にある科学技術館の辺りで折り返すまでに達したらしい(前掲の地図参照)。自分も2階席だったため、今から並んでも入場は18時半以降になると予想。北の丸公園まで戻ってベンチを確保し、仮眠を取ることにした。公園にはポール武道館公演とは無関係そうな人も多く過ごしており、日本中もこんな風に今日の特別さを知らずに過ごしているんだろうなと想像しながら目を閉じた。暮れなずむ公園の中でそよ風を感じながら寝るのは気持ちいい。
17時前はまだこの程度の列だった |
限定Tシャツ予約
1時間ほど経ってアラームで起きたのち、SNSを確認したところ19時近くになって開場したようなので移動を開始した。入場待ちの列は依然として長かったのでまだ並ばず、先にグッズ売り場に行くことにした。この時間になるとグッズ売り場も空いており、並ばずにTシャツの予約券を入手できた。後日発送になるため送料が800円別途かかるとのこと。2種類の限定Tシャツのうち、ポールが飛び出してきそうな「白」は派手すぎて着る機会が無さそうなので、文字が描かれているだけの「赤」のみ買おうと思っていたが、1枚でも2枚でも送料は変わらないようであり、今日ここでしか販売しないとのことなので両方申し込む事にした。料金を支払って控えをもらったが、通し番号等は発行されておらず手書きの汚い住所で果たして届くのだろうか心配になった。この限定Tシャツは販売当日から早速オークションサイトで定価以上の転売が盛大に行われたが、後日ユニバーサルミュージックの通販サイトでなんと送料無料で販売されることが告知された。会場限定販売と聞いて送料800円を払った人からすぐさま批判が殺到し通販の商品リストから消える結果となった。実際、当日の販売を仕切っていたキョードー東京は会場限定販売のつもりだったのだろう。キョードー東京からユニバーサルミュージックに販売差し止めの申し入れがあったと想像している。転売業者を懲らしめるためには公式に通販するのが良い(定価以上で売れなくなるため)という意見も目にしたが、その日会場に確かにいた証としての価値を見出している人も多いのでこれで良かったと思う。
追記:その後ザ・ビートルズ・クラブでこのTシャツが通信販売されることになりました。
入場
そろそろやることも無くなったので列に並ぶことにした。最後尾は吉田茂像(前掲の地図参照)のあたりで、もはや折り返しておらずまっすぐ滞ることなく順調に進んでいた。武道館の敷地に入る頃に主催者側が拡声器で「半券は自分でもぎっで係員に渡せ」「あまり早くもがずに階段の辺りまで来てからもげ」、という難しい注文をしていた。入場の迅速化&係員が半券もぎりそこなって本体までダメージを与えることを回避(入場者の自己責任)、ということだろう。あまり早くもぎり過ぎて無くされても困るのもわかる。この方式は係員と入場者の接触を減らすことになり(だから迅速化になるのだが)、結局半券を渡さずに入場した人もいると聞く。後日半券が付いたままのチケットがオークションで定価以上で取引されるケースが出てきているが出所はこんなところかもしれない。
これも迅速化のためか荷物チェックが無かったが、公演中の撮影については他のドーム公演と同様、高性能カメラ禁止、動画撮影禁止だったようだ。
18時50分ごろの入場待ち列。一旦武道館と逆方向に進んでから迂回する |
会場内の様子
19時過ぎにようやく会場に入ると第一印象は「狭い!」だった。日本武道館には何度か来ていて狭いと感じたことは無かったのだが、ドーム公演でのポールに慣れるとこの会場は極端に小さく見える。北側に設置されたステージ上の設備自体は同じようだが、ステージ後ろや両脇にいつもある大きなスクリーンが無いためすっきりしている。
19時15分ごろの会場内 |
北東と北西に座席が設置されることが分かった当初はポールがほとんど見えないのではないかという懸念が渦巻いたが、実際は両脇の大きなスクリーンが無いせいで普段見ることのできない角度から、場合によってはアリーナの観客より近くで見られるので好評だったようだ。武道館公演に来るような人は通常のドーム公演に慣れ過ぎているだろうからなおさら楽しめたと思う。特に北東はグランドピアノに移動するポールが眼前にやってきて手を振ってくれるのは羨ましかった。北西の人もステージに出入りするポールやスタッフの様子が見えグランドピアノ演奏時はポールと正対することになるので負けていない。
斜め後ろから見ることで、ステージ上にポール直筆と思われる日本語カンペや、手書きのセットリスト、黒い画面に自動的に白い文字と矢印で次の歌詞を指し示すプロンプターが置いていあるのが見えたようだ。プロンプターはステージ上以外にグランドピアノの左側の足元、マジックピアノの鍵盤の右上に小さいものが設置されていた。
自分は今回、東の2階席から見たのでそれらには気づかなかったがそれでもドーム公演ではあり得ない角度から見ることとなり、ドラムのエイブの演奏やステージ床に映される映像を新鮮な気持ちで見ることができた。エイブの左後ろに常にスタッフがしゃがんで待機しているのがよく見えた。
開演へのカウントダウン
開演を待ちきれない客席ではスタンドは時計回りに、アリーナは後ろから前へ何度もウェーブが発生した。19時25分からいつものようにベサメ・ムーチョがBGMとして流れ出し、いつもと同じであれば開演は今から30分後であることが予想された。となると開演は1時間半遅れになる・・・。ドームならこの時スクリーンにポール関連の写真や映像がコラージュで縦に流れるが、今回は小さいスクリーンにもそれは表示されなかった。
警備員を並べて配置しているのはビートルズ日本公演のパロディ? |
会場の熱狂はSilly Love Songsで最高潮に達し、手拍子の音も一段と大きくなった。とくにWhat's wrong with that?のBメロではパンパパンのリズムで一糸乱れぬ手拍子の塊となり日本の魂を感じた気がして笑ってしまうとともに、このリズムの元祖はSilly Love Songsなのではないかとすら思った。
そのままTemporary Secretaryに切り替わると歓声がそこかしこから聞こえてくる。そして、The Endに至り会場の照明が落ちた。19時55分だった。
11 コメント
ブログアップありがとうございます。
返信削除武道館ライブを知らないものにとっては、ワクワクするブログです。
武道館前まで行った僕にとっては、臨場感あふれる文字が並んでいます。
当日の、天気など思い出しました。
しばらくは、楽しみができました。
お忙しいとは思いますが、続編、よろしくお願いします。
本当に楽しみに、待ってます。
コーヒーと、ライブ音源聞きながら、
ブログ読み返し、夜中にニコニコしよう!!!
家族に怒られぬよう。
PS この本文にもありましたが、前夜にもいかれたんですね。
J.M
コメントありがとうございます。
削除前夜の東京ドーム公演には行けなかったので、武道館に行ってみました。
前日の昼間から既に看板が設置されていたようです。
ひゃ~ 大変ですね(゜o゜)
返信削除ドームで長蛇の列に並んだ身には
とてもじゃないけれど、体力持たない。
そのうえ1時間半の遅れに、文句も言わず
(おわびや、お知らせも無かったのでしょうか)
ただひたすら待つのも、楽ではありませんね。
コメントありがとうございます。
削除主催者側も混乱していたようで、開演遅れについて現場で統一的な説明は無かったと思います。
ご無沙汰してます、サウサリートの伊藤です。当店のお客さん達四名が一台の車に乗って武道館側の駐車場に車を止め(駐車料金:五百円@営業時間内)で演奏開始と同時に最後まで全員で歌いきったという愉快なレポを戴きました。今度チケが買えなかったらその手を使おうっとw
返信削除ご無沙汰しております。
削除時間・体力・お金、すべての面でもっとも効率が良い楽しみ方かもしれませんね。
どこにコメント入れようか迷ってしまうほど楽しい記事をありがとうございます
返信削除いつも楽しみに拝見しております
南スタンド2Fにて参加してまいりました
25日から東京STAYしていたので
当日は偵察の為10時半頃到着(笑)
こんなに早く来て恥ずかしいくらいかと思いきや
既にGoodsで列ができていたので即行並びました
だいたい100人+@目 といったところ
なのにですよ!
限定Tシャツ 目の前でなくなりました\(≧∇≦)/
予定時間を少し過ぎて販売開始
2~3Cut目にはブースの前に到着
あ、Sがない え?LLも? あらLしか残ってないのね
ここであと二人程で買えるぞといったところ
えっと 今日が最終日迷って他のどうしようかな・・・
と目を離した隙に あれ?Lはがされてる
ああ・・・持ってかれたぁ・・・
この時点で 今回知り合ったお友達に一斉連絡 13:39
自分の番になり スタッフさんに確認したところ
両方とも売切れです ・・・マジかぁ・・・
あきらめて横へどいたところ
予約の紙を配布しだしたので これまた一斉連絡
ただ 完売を知ったのではなく
早くから並んで しかも目の前でなくなったので
その衝撃は半端なかったです
それもこれも 今ではいい思い出ですけど(笑)
ハプニングぐらいないと楽しくないですよね(^.^)b
もひとつハプニング
入り待ちで まさかの逆側(笑)
あのみんなが写真取ってる看板バックにPaulが納まる様
Tシャツのショックを跳ね除け 念入りにスタンバイしたのに
コアな方が周りにいっぱいいただけにこれまた・・・
でもねそうしたことがあったからこそ
余計にいい思い出になってますよ
計12時間も同じ場所にいたなんて・・・
Paulのためじゃないとできない(笑)
この記事で網羅できていない、朝からポールの会場入りまでの様子を詳しく教えていただきありがとうございます。
削除現場にいたかのように楽しく拝見しました。
ポールがこの日に限って右側(武道館側)から顔を出したのは何故なんでしょうね。
ポール専属カメラマンが左側に良い位置を取れなかったからと言う説を目にしました。
ホテル出待ちの人に確認したところ
削除Paulはホテルでは確かに左側に乗ったとのこと
普通にいったらわざわざ回り込まないのでそうでしょうね
どうも途中で入れ替わったようです
Paulは会場である武道館と
あの看板を見ながら感慨深く入っていきたかったのでしょうか
構図として会場を抑えたいカメラマンさんの意向にしても
それはそれで仕方ないですね
いい画を抑えていただかなくてはなりませんから
今となってはナゾですね(笑)
重ね重ねになりますが コアな方達程左側に集結
いい意味で期待を裏切ってくれる
Paulらしい一場面だったと思います
Paulが右側で通過した時、道の向こう側の方は
よぉっしゃぁぁあああ!! と 誰もが雄叫びをあげ
満面笑みでガッツポーズ
こちら側は
あ"ぁ"ぁ"あ"あ"っ とか ぉぉおおぃ! とか
え"ぇ"ぇ"え"え"え"~などと思い思いにどよめいたものの
自然と残念な気持ちより
向こう側の方々の笑顔が見れてHappayな気持ちになりました
自分を含め 今までも入り待ちや出待ちで
生Paul何度も観てますから
ま、たまにはね あのうれしそうな顔を見たら
何も言えんよね
うちらもPaulに対してああいう顔でいるんだね
これはこれでよかったね♪と素直に喜びあえました
Paulが愛される理由がここにあるんだと再認識する瞬間でした
仲間内の方で
Paulの後頭部レアショット抑えた方いましたよ
後で見せてもらって大爆笑でした
こんにちは。わくわくして記事を読まさせていただいてます。
返信削除興奮の場に身を置きながら観察は鋭く、考察も的確で、上質のルポかノンフィクションを読んでいるようです。
とくに「公園にはポール武道館公演とは無関係そうな人・・・そよ風を感じながら寝るのは気持ちいい。」のくだりは名文で、酔いました。
つづきを期待しています。
コメントありがとうございます。
削除何年か後に自分で読み返したときに当時の様子と気持ちを思い出せるよう心掛けて書いています。