2025年も今日で終わりです。当ブログの独自視点による2025年のビートルズ関連十大ニュースをカウントダウン形式で振り返りたいと思います。文中で各ニュースに関連する記事にリンクしています。
各年(2012年~)の十大ニュースは以下にまとめています。
https://blog.kouchu.info/search/label/10NEWS
第10位:ヘフナー社(Karl Höfner GmbH)の破産報道
長年ビートルズ・サウンドの象徴であった「ヴァイオリン・ベース(500/1)」の製造元、ドイツのヘフナー社が12月に破産を申請したというニュースは、年末にファンを驚かせました。
ポール・マッカートニー本人がSNSで「ヘフナーがなくなるのはとても悲しい」と追悼ともとれるコメントを発表しています。
第9位:サム・メンデス監督によるビートルズ伝記映画プロジェクト、キャスト発表
2028年公開予定の「メンバー4人それぞれの視点から描く4部作映画」の具体的な輪郭が見えてきました。
春に発表されたポール・メスカル(ポール役)、ハリス・ディキンソン(ジョン役)、バリー・コーガン(リンゴ役)、ジョセフ・クイン(ジョージ役)という「旬」の若手俳優たちの起用に続き、秋には女性陣のキャストも明らかになりました。
- リンダ・マッカートニー役: シアーシャ・ローナン
- オノ・ヨーコ役: アンナ・サワイ
- パティ・ボイド役: エイミー・ルー・ウッド
- モーリン・スターキー役: ミア・マッケナ=ブルース
特に『SHOGUN 将軍』でエミー賞を受賞したアンナ・サワイの起用は大きな話題となりました。パティ・ボイド本人がキャスティングに好意的な反応を示していることも、ファンの期待を高めています。
第8位:ビートルズ・チルドレンの活動活発化
今年は「ビートルズの息子たち」が、単なる二世としてではなく、横の繋がりを持ってシーンを賑わせた年でした。
- ジェイムス、ショーン、ザックの共演: ザック・スターキー率いるスーパーグループ「Mantra of the Cosmos」の楽曲『Rip Off』に、ショーン・レノンとジェイムス・マッカートニーが参加。ザックは「ビートルズの再来ではない」と否定しましたが、3人が一つの楽曲にクレジットされるのは歴史的事件です。ザックはザ・フーの脱退騒動でもメディアを騒がせました。
- ショーン・レノンの獅子奮迅: 父の『Mind Games』ボックスセットでのグラミー受賞、レス・クレイプールとのバンド「The Claypool Lennon Delirium」の再始動発表(アルバムはAIの思考実験をテーマにした『The Great Parrot Ox...』)、そしてビートルズ公式プロジェクトの監修と、名実ともにレガシーの守護者となりました。
- ダニー・ハリスンとジュリアン・レノン: ダニーは父の盟友ジェフ・リン(ELO)のラストツアーに参加し、ジュリアンは新EP『Because...』やクリッシー・ハインドとのデュエットで精力的に活動しました。
第7位:相次ぐ訃報
ビートルズと密接な関係にあった、あるいは彼らから多大な影響を受けた偉大なアーティストたちが今年、相次いで旅立ちました。
- ブライアン・ウィルソン(6月没): 『Rubber Soul』に触発されて『Pet Sounds』を作り、それが『Sgt. Pepper's』を生んだという、ポールとの良きライバル関係は有名です。
- オジー・オズボーン(7月没): 「ビートルズがいなければ私は存在しなかった」と公言し続けたメタル界の帝王。特にジョンへの敬愛は深く、その姿勢は最後まで変わりませんでした。
- デヴィッド・リンチ(1月没): 映画監督として知られますが、ポールとは以前から親交がありました。
第6位:ジョージ・ハリスン「Give Me Love」初公式MVと『バングラデシュ』解禁
ジョージ関連では、名盤『Living in the Material World』収録の「Give Me Love (Give Me Peace on Earth)」に、発売から50年以上を経て初めて公式ミュージックビデオが制作されました。
監督を務めたのは『ストレンジャー・シングス』のマイク役でおなじみ、フィン・ヴォルフハルト。フライアー・パークを舞台にした美しいアニメーションです。
また、長らく権利関係でストリーミング未解禁だったライブ盤『The Concert for Bangladesh』がついに全プラットフォームで解禁されたことも、ファンにとっては嬉しいニュースでした。
第5位:リンゴ・スター、カントリーへの回帰と85歳のツアー
85歳を迎えたリンゴ・スターは、今年も「Peace and Love」のメッセージと共に世界を駆け巡りました。
特筆すべきは、1月リリースの新作アルバム『Look Up』で、1970年の『Beaucoups of Blues』以来となる本格的なカントリー・ミュージックに回帰したこと。T・ボーン・バーネットのプロデュースによるナッシュビル録音で、ビリー・ストリングスら現代の名手とも共演。オール・スター・バンドでのツアーも健在です。
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| Look Up - Ringo Starr |
第4位:ポール・マッカートニー「Got Back」ツアー2025:セットリストの進化
ポールも83歳にして大規模なツアーを継続。「Got Back」ツアー2025では、セットリストに興味深い変化がありました。
オープニングにビートルズの「Help!」を持ってきたことは大きなサプライズでした。また、ソロの名曲「Coming Up」の復活や、昨年に続き「Now and Then」の演奏も定着しました。
第3位:「Now and Then」グラミー賞受賞
2023年末にリリースされた「最後の新曲」が、2025年2月の第67回グラミー賞で「最優秀ロック・パフォーマンス賞」を受賞しました。
ビートルズが21世紀に、過去のカタログ部門ではなく、現役のアーティストたちと同じ土俵で戦って勝利したことの意味は計り知れません。授賞式にはポールとリンゴは欠席しましたが、ショーン・レノンが代理で登壇し、「父、ジョージ、そしてポールとリンゴに代わって」とスピーチした姿は感動的でした。
第2位:50年以上前のビートルズの音源が続々と流出
6月、世界中のビートルズ・コレクターを震撼させる出来事がありました。1966年6月25日、西ドイツ・エッセン(Grugahalle)で行われたコンサートのサウンドボード録音が突如としてネット上に流出したのです。
12月には立て続けに1963年に録音したデモ音源「Love of the Loved」「Misery」「What Goes On」が公知になっています。
第1位:『ザ・ビートルズ・アンソロジー』30周年:プロジェクトの再定義
栄えある第1位は、やはりこの巨大プロジェクトの帰還です。1995年の「アンソロジー」から30年。単なる再発に留まらない、テクノロジーを駆使した「アップデート」が行われました。
- 映像版の進化: Disney+で独占配信されたドキュメンタリーシリーズは、ピーター・ジャクソンのチームによって映像がリマスターされただけでなく、「第9エピソード」が追加されました。1994-95年のポール、ジョージ、リンゴによる「スリートルズ」のセッションや、庭でのウクレレ演奏など、これまで断片的にしか見られなかった映像が1本の作品としてまとめられました。
- 『Anthology 4』のリリース: 噂されていた未発表音源集の第4弾がついに登場。「Now and Then」はもちろん、1995年当時は技術的制約で音が籠もっていた「Free As A Bird」と「Real Love」が、最新のMAL技術(AI音源分離)でリミックス・リマスターされました。
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